韓国ドラマは脇役がスゴイ!「パラサイト」から「トッケビ」「愛の不時着」まで、物語を彩る女優たちの七変化

Kstyle |

WILLエンターテインメントInstagram/ACE FACTORY/「愛の不時着」

ヒットドラマや映画には必ず素晴らしいバイプレイヤー(名脇役)が存在します。特に韓国では著名な総合大学の多くに演技を学ぶための演劇・映像関連学科が存在して高い演技力を持つ俳優の層が厚いことや、韓国ドラマの話数が多く脇役のキャラクターまでも色濃く描かれることから、印象的なバイブレイヤーを挙げたらキリがないほど。

そこでKstyleでは、最近活躍がめざましいバイブレイヤーをピックアップ。演じる役柄によって見た目や話し方、性格までガラリと変えるカメレオン俳優たちを紹介します。

 

◆ヨム・ヘラン

写真=ACE FACTORY
出演作:「トッケビ」「椿の花咲く頃」「悪霊狩猟団:カウンターズ」

「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」で、ウンタク(キム・ゴウン)母が残した保険金を狙い、ウンタクを召使のごとくこきつかう極悪非道な叔母役を演じ、その悪人ズラがあまりにも強烈だったヨム・ヘラン。続く「無法弁護士~最高のパートナー」でも、絶対権力者の手足となって悪事を重ねる秘書ナム・スンジャ役を演じ、視聴者をイライラさせました。

tvN「トッケビ」
ともすれば悪役のイメージが定着するところでしたが、「椿の花咲く頃」ではソウル大出身の離婚専門弁護士ジャヨン役でキャリアウーマンに変身。初めはドンベク(コン・ヒョジン)を夫の浮気相手と勘違いして冷たく当たっていましたが、誤解を解いてからはドンベクの味方になり、誤解から不仲になってしまった夫ギュテ(オ・ジョンセ)のピンチを救う姿がかっこよく、一気にファンを増やしました。オ・ジョンセとヨム・ヘランカップルは、主人公のカン・ハヌルとコン・ヒョジンカップルに負けないほど愛され、2組そろってKBS演技大賞ベストカップル賞を受賞。

KBS 2TV「椿の花咲く頃」
そしてヨム・ヘランをさらに有名にしたのが「悪霊狩猟団:カウンターズ」のチュ・メオク役。昼はククス屋の従業員、店を閉めると悪霊を退治する正義のヒーローとなるカウンターズのメンバーで、治癒能力を持ち、カウンターズになりたての主人公ソ・ムン(チョ・ビョンギュ)を気にかける母親のようなキャラクターが大好評で、2021年百想芸術大賞助演女優賞を受賞しました。また「サンガプ屋台」では、地獄の門番・閻魔大王役で、さらに振り幅のある演技を見せつけています。

OCN「悪霊狩猟団:カウンターズ」ポスター
2000年に演劇を始め、舞台を見たポン・ジュノ監督の目に留まって2003年「殺人の追憶」の端役でスクリーンデビュー。2016年には脚本家ノ・ヒギョンの目に留まり「ディア・マイ・フレンズ」でドラマデビューを果たしたヨム・ヘラン。着実にフィルモグラフィーを積み重ねたことが実を結び、2021年には初主演映画「光と鉄」で全州国際映画祭女優賞を受賞しています。

カメオ出演も多く、「刑務所のルールブック」では、麻薬中毒の息子ハニャン(イ・キュヒョン)に厳しく当たるも心の中では息子を心配する母親役で出演。「賢い医師生活」では第1話で、3年間の闘病の末に死亡宣告を受けた子供の母親役で登場し、延命治療をめぐって担当のジョンウォン(ユ・ヨンソク)にくってかかるも、娘の死後には心からのお礼を言うシーンが印象的でした。

 

◆キム・ソニョン

出演作:「愛の不時着」「椿の花咲く頃」「ショッピング王ルイ」

「椿の花咲く頃」で、オンサン商店街のおばちゃん仲間“通称オベンジャーズ”のリーダー格パク・チャンスク役を演じたキム・ソニョン。最初はドンベクを偏見の目で見るも、親しくなってからは限りなく温かく、ピンチを助ける情に厚い姿や、饒舌な語り口調と個性的なのおばちゃんファッションで視聴者を楽しませました。続いて出演した「愛の不時着」では、北朝鮮軍陸軍少尉の妻で舎宅村の人民班長ナ・ウォルスク役。夫の昇進のために大佐の妻ヨンエ(キム・ジョンナン)に尽くし、厳しい宿泊検問で住民から恐れられていますが、根は優しくて情に厚く、酒に酔うととんでもない失言を連発するシーンが爆笑でした。

tvN「愛の不時着」
2020年は「愛の不時着」で百想芸術大賞助演女優賞、「コンデインターン」でMBC演技大賞最優秀助演女優賞、「オー!サムグァンビラ」でKBS演技大賞長編ドラマ女性助演賞と3つの賞を受賞して大活躍でした。

1995年に演劇でデビュー。2014年の「ホテルキング」でドラマ初出演し、その翌年「恋のスケッチ~応答せよ1988~」で、夫を亡くし、高校生の息子ソヌ(コ・ギョンピョ)と幼い娘を懸命に育てる母親キム・ソニョン役で大ブレイク。ソヌの服やスニーカーを買うために銭湯の清掃の仕事を内緒で始める母ソニョンと、その事実を知って胸を痛める息子ソヌの母子愛は涙なしでは見られませんでした。

tvN「ロマンスは別冊付録」
“韓国の情に厚いおばちゃん代表”的な役がハマり役ですが、バリバリのキャリアウーマンを演じることも。「十八の瞬間」では、外資系IT企業のマネージャーとして働く母ソンヒ役を演じました。娘スビン(キム・ヒャンギ)を有名大学に入れることに必死で、ジュヌ(オン・ソンウ)との交際を猛反対するのですが、単なる教育ママにとどまらず、娘を理解しようと葛藤する姿は共感を呼びました。「ロマンスは別冊付録」では、キョル出版社のコンテンツ開発部マーケティングチーム長ヨンア役で、イ・ナヨン扮するヒロインの頼れる上司をおしゃれに演じており、チャンスクやウォルスクとのギャップに驚くことうけあいです。

「ショッピング王ルイ」では、ルイ(ソ・イングク)の祖母ゴールドライン会長(キム・ヨンオク)の執事ホ・ジョンラン役。敏腕執事ですが、高校時代は“釜山の斧”と呼ばれる不良だったことがわかり大爆笑。犬猿の仲のキム執事(オム・ヒョソプ)とラブラインも見どころでした。

MBC「ショッピング王ルイ」
「この恋は初めてだから」ではヒロイン・ジホ(チョン・ソミン)の母親役。セヒとの結婚が偽装だとは知らずに、セヒにジホのことを託す手紙の内容には泣かされました。

シン・ウォンホ監督との縁で「刑務所のリールブック」にカイスト(パク・ホサン)の元妻役で第13話(全16話版)にカメオ出演。「賢い医師生活」には第7話に患者役で出演。「恋のスケッチ~1988~」のキム・ソニョンとチェ・ムソンがそのまんま夫婦役で登場してファンを喜ばせました。顔を見るだけで「なにかが起きそう」とワクワクさせる女優キム・ソニョン。彼女の夫はイ・スンウォン映画監督で、演技のアドバイス受けることもあり、それが演技の深みに繋がっているのだとか。

 

◆ペク・ジウォン

写真=IKKLEエンターテインメント
出演作:「ボーイフレンド」「熱血司祭」「密会」

「ボーイフレンド」でパク・ボゴム扮するジニョクの母親役を演じ、立場が違い過ぎる息子の恋を心配するあまりスヒョン(ソン・ヘギョ)に「別れてくれ」と涙ながらに訴える姿が印象的だったペク・ジウォン。「熱血司祭」ではクダム聖堂の主任修道女キム・インギョン役で、すぐにキレる司祭ヘイル(キム・ナムギル)をなだめながらも、ある時はヘイル以上にキレやすいキャラクターが大人気。後半には意外な過去の特技(?)によってヘイルの力になり、その反転が大きな話題をさらいました。

tvN「ボーイフレンド」
1996年に演劇でデビューしたペク・ジウォンは、2012年に「妻の資格」でドラマデビューしてアン・パンソク監督と縁を結ぶと「密会」にも出演。20年来の友人ヘウォン(キム・ヒエ)の没落を願い、その地位を奪おうとするワン秘書役を演じて顔を知られるようになりました。続く「黄金の私の人生」ではジアン(シン・ヘソン)とジス(ソ・ウンス)の運命に関与する誘拐犯ジョンスク役を演じて有名に。確かな演技力と誠実な人柄で制作陣の絶大な信頼を得て、次々と作品が舞い込むようになりました。

若い頃は、ひとえまぶたの平凡な顔が女優に向いていないと言われてコンプレックスだったそうですが、今はその平凡さがどんな役でもこなせる強みになり、派手さはなくても空気のようにどんな作品にも自然に溶け込む演技が高く評価されています。

SBS「熱血司祭」
「被告人」では国選弁護士ウネ(クォン・ユリ)と同居する叔母役。父親が母親を殺した罪で服役中のウネの心の痛みを理解する人物を演じました。「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」ではエラ(キム・ジウォン)とソリ(ソン・ハユン)の担任教師役、ドンマン(パク・ソジュン)の試合を見に行くために仮病を使って早退しようとする2人の嘘を見破るも逃げられてしまいます。「恋愛体質~30歳になれば大丈夫」では、いじわるなスター作家チョン・ヘジョン役。「ブラームスが好きですか」では、スンア(パク・ウンビン)を助手として採用するも、実はいいようにこき使っていたイ・スンギョン教授役。「ザ・プロファイラー~見た通りに話せ~」では、第4に妄想障害という裏の顔を持つキム・ナヒ弁護士役で特別出演し、視聴者をハラハラドキドキさせました。

IKKLEエンターテインメントInstagram:「ラケット少年団」
Netflixで好評の「ラケット少年団」では、村への愛着が人一倍強く、よそ者を激しく嫌うシン女史役。口は悪いが情に厚いツンデレキャラを演じています。韓国tvNで8月にスタートした「ザ・ロード:1の悲劇」では、チ・ジニ扮する国民的キャスターが勤務するBSN報道局の局長クォン・ヨジン役で出演。今度はどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。

 

◆ソ・イスク

写真=QUANTUM ENM
出演作:「ホテルデルーナ」「スタートアップ」「相続者たち」

「ホテルデルーナ~月明かりの恋人」で、この世とあの世を行き来しながら人間の生死苦楽を管理しているマゴ神を演じたソ・イスク。マゴ神は12姉妹役という設定ですが、ドラマでは6人だけ登場したため、ソ・イスクは1人6役を演じています。姉妹それぞれが派手、無口、真面目、冷酷……など異なるキャラクターゆえに、声のトーンを変えてみたところ、自分でも混乱して演じるのに苦労したそうです。

tvN「ホテルデルーナ」
「スタートアップ:夢の扉」では、起業家を夢見る若者たちを支援するSHベンチャーキャピタル代表ユン・ソンハク役で、女性版スティーブ・ジョブズと称されるカリスマあふれるCEO役をかっこよく演じました。実はダルミ(ペ・スジ)の亡き父チャンミン(キム・ジュホン)に投資をしようとしていた人物で、スタートアップ支援施設“サンドボックス”の名称の由来がチャンミンに関与していたというエピソードも感動的でした。

ソ・イスク Instagram:「スタートアップ」
1989年に演劇、1990年にはミュージカルでデビューしたソ・イスクは、2010年の「済衆院」からテレビドラマに進出。気品と風格が感じられる外見からお金持ちや権力者を演じることが多いです。「相続者たち」では、カン・ハヌル扮するヒョシンの母役で、家門のことしか考えない冷徹な人物。「私の恋したテリウス~A Love Mission~」では、元NISブラック要員キム・ボン(ソ・ジソブ)をスパイだと疑い、執拗かつヒステリックに追うNIS副院長クォン・ヨンシル役を演じました。

JTBC「夫婦の世界」
「町の弁護士 チョ・ドゥルホ -罪と罰-」では、攻防戦を繰り広げるドゥルホ(パク・シニャン)とジャギョン(コ・ヒョンジョン)に対し、法廷に立った人すべてに公平で厳しく接する“生きる法の女神”シン・ミスク判事役でカリスマを発揮。「夫婦の世界」では権力者チェ会長の妻役で、家庭医学専門医ソヌ(キム・ヒエ)の元を訪れ、夫の性病が浮気によるものだと診断されて憤るも、ソヌの正直さや、同じように夫に浮気をされた女性という立場から夫テオ(パク・ヘジュン)への復讐を後押しする痛快な人物を演じました。

一方「誰も知らない」では、聖痕連続殺人最後の犠牲者の母役で出演。殺害された親友への罪悪感から刑事となって事件を追うチャ・ヨンジン(キム・ソヒョン)を娘のように気遣う慈悲深い人物を演じています。

 

◆イ・ジョンウン

写真=WILLエンターテインメント
出演作:「パラサイト」「椿の花咲く頃」「知ってるワイフ」

映画「パラサイト 半地下の家族」で物語のキーマンとなるパク家の家政婦ムングァン役を演じて世界にその名を知らしめたイ・ジョンウン。2009年の映画「母なる証明」でポン・ジュノ監督作品に初出演し、2017年の韓米合作アクション・アドベンチャー映画「オクジャ/okja」では、オクジャの鳴き声を担当しました。

Netflixの人気作品「椿の花咲く頃」では、幼いドンベクを児童養護施設に置き去りながら、いきなり現れて葛藤をもたらす母ジョンスク役で出演し、その目的が明かされると号泣した人も多いでしょう。

WILLエンターテインメント Instagram:「椿の花咲く頃」
1991年に演劇でデビューし、2000年からは映画、2013年からはドラマに進出したイ・ジョンウンが注目を集めたのは2015年のドラマ「ああ、私の幽霊さま」。現世に恨みを残してさまよう幽霊スネ(キム・スルギ)の助力者である巫女ソビンゴ役を温かくコミカルに演じて人気を博しました。その縁でユ・ジェウォン監督の「ハイバイ!ママ」にカメオ出演。再び巫女ソビンゴ役を演じてファンを喜ばせました。

「パラサイト 半地下の家族」の後、制作陣の熱烈オファーを受けて出演した「他人は地獄だ」では、イム・シワン扮する主人公が入居するエデン考試院の大家オム・ボクスン役を怪演。一見、世話焼きでフレンドリーだが、知れば知るほどうさんくさい謎めいた人物で、WEB漫画家の原作者キム・ヨンキが原作の「イメージにぴったりだ」と絶賛するほどのシンクロ率を見せました。イ・ビョンホン主演「ミスター・サンシャイン」では、キム・テリ扮するジョンウンお嬢様の小間使いハマン宅役で、コミカルかつキュートなキャラクターで愛されました。

CJエンターテインメント「パラサイト」
「恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ」では、母に捨てられた甥であるジュニョン(ナム・ジュヒョク)を実の息子同様の愛情を注ぐ叔母役。「知ってるワイフ」では、認知症を患い、過去を変えたジュヒョク(チソン)を娘婿だと受け入れるウジン(ハン・ジミン)の母ウンミ役。「まぶしくて-私たちの輝く時間-」では、急に老いてしまった娘ヘジャ(ハン・ジミン)を憐れむ母親役で母性溢れる演技が感動を呼びました。「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」では、ソリ(ソン・ハユン)の母役で、ジュマン(アン・ジェホン)の家族に“豚足屋の娘”と陰口をたたかれるソリに涙するシーンが印象的。

写真=WILLエンターテインメント「パラサイト」
現在51歳のイ・ジョンウンですが、「椿の花咲く頃」では10歳下のコン・ヒョジン、「知ってるワイフ」と「まぶしくて-私たちの輝く時間-」では13歳差のハン・ジミンの母親役を演じたことも話題に。年齢による違和感もなく、母親に見える演技力に驚かされます。

Netflixで好評の「ロースクール」では、民法を担当するキム・ウンスク教授役。韓国屈指のロースクールで起きた殺人事件を紐解こうとするヤン・ジョンフン教授(キム・ミョンミン)と学生たちを助けるキーパーソンで、ドラマの緊張感を高めています。

ロールモデルに挙げる樹木希林のように、特有の個性と情緒を持った女優イ・ジョンウンからこれからも目が離せません。

ライター:安部裕子

記者 : Kstyle編集部