「藁にもすがる獣たち」チョン・ウソン“厳しい時期もあった…いつも感謝しながら受け入れた”

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写真=MEGABOX中央PLUS M
チョン・ウソンが、新作「藁にもすがる獣たち」と相手役のチョン・ドヨン、10代の頃に高校を中退した話まで、さまざまな話を打ち明けた。

ソウル三清洞(サムチョンドン)スローパークでは、映画「藁にもすがる獣たち」主演俳優チョン・ウソンのインタビューが行われた。

「第49回ロッテルダム国際映画祭」で審査員賞を受賞した「藁にもすがる獣たち」は、現地で行われた特別上映GVの全席が完売するなど、注目を集めた。関係者によると、ロッテルダム映画祭で映画を観覧した海外有数の映画祭のプログラマーたちから招待の問い合わせが相次いでいるという。また、「第34回スイス・フリブール国際映画祭」の長編コンペティション部門にも公式出品され、注目を集めている。

チョン・ウソンは劇中で、消えた恋人のため借金に苦しみ、一発儲けようとするテヨン役を務めた。膨大な借金を残して消えてしまった恋人のため、最後の一発を計画する出入国管理所の公務員テヨンは、借金と利子にかこつけて高利貸しのドゥマンからあらゆる脅迫を受け、不安な生活を続けていく。そんな中、人生を変えられるような巨額のお金を発見するという人物である。

これに先立ち、「藁にもすがる獣たち」は新型コロナウイルス感染症拡散の影響で、公開日を延期した。2月12日公開する予定だったが、制作陣は「拡散による被害をなるべく防止し、改善を願う気持ちで決断を下した。安全を優先にするために、このような決定をした」と了解を求めた。

マスクを持参してきたチョン・ウソンは、「多くの人々と公の場での出会うのは重要なことだが、まずはそれ(新型コロナウイルス感染拡大)を乗り越える方が大切なので、早く安定してほしい。我々が安定した日常を取り戻すことを望んでいるし、そうなるべきだと思う。今は、映画のヒットよりは、完成した映画に対する評価と理解に満足感を感じ、心を落ち着かせてなだめるべきではないかと思う」と改善を願う気持ちを表した。

映画を選択した理由について、「まずシナリオを読んで、チョン・ドヨンさんが出演するという話を聞いた。その中でヨニの存在感が良いと思った。俳優が作品を選択するとき、女優の方が中心となり存在感が大きい映画が多くないので、そんな欲も大きく影響した。俳優としての欲よりは、隣でテヨンという役を合わせていったら、良いバランスと見ごたえのある映画になると思った」と明らかにした。

チョン・ウソンは「僕が、役に立つか迷惑になるかは分からない。結果が出たら分かるだろう。ヨニの存在感もあるけれど、お金の入ったバッグが流れることによる、人々の密度がある。流れて過ぎていくのではなく、密度があるから、その人の選択がなぜここに及んだかを理解をすることができるストーリー構成である。そのような構成もよかった」と話した。

「テヨンのキャラクターが原作小説よりもずっと軽快になったのではないか」との質問に、「先入観がうまれると思い、わざと小説を読まなかった。そして、シナリオを読んだが、抜け穴が見えた。テヨンが持っている人間的な一面を強調したら、暗い話だが軽快な哀れみの対象になれると思った」と答えた。

前作の「ザ・キング」「鋼鉄の雨」「人狼 JIN-ROH」「無垢なる証人」などと比較すると、180度違う演技を見せたチョン・ウソンは、特にイメージチェンジやどんでん返しを計画したわけではないと話した。

抜けているところが多い“いいカモキャラクター”について「イメージチェンジやどんでん返しを意図したわけではない。シナリオを読んでキャラクターをデザインする時、真剣にアプローチせざるをえなかった。もちろん、テヨンが間抜けで手抜きで“いいカモ”だけど、彼自身で完璧だし、危機を乗り越えようとする人だ。本編が完成して、人々に違和感を与えていないと感じた。悪くない選択だったと思う」と話した。

チョン・ウソンは、今回の映画でデビュー後初めてチョン・ドヨンと共演した。これは「藁にもすがる獣たち」が、観客の関心をさらに集めている理由でもある。2人は恋人として登場し、ストーリーを引っ張っていく。

「会う場面が少なくて残念ではなかったか」という質問に、チョン・ウソンは「ドヨンさんもそうだが、少し残念だった。長い間会うストーリーだったら、もっと楽しく撮影できたんじゃないかという話をした。その映画が持つ残念さなのかもしれないが、美徳でもある。観客には2人の俳優のケミ(ケミストリー、相手との相性)に対する期待を伝えることができたし、次の作品ではここで見せられなかったケミを期待してもらえるようにする」とし、2作目に対する期待を高めた。

チョン・ドヨンに対しては「女優の方が中心となり、長い期間で大役を背負うというキャラクターを与えられる機会は多くない。そういう状況で自身の場を守ることができたというのは、それほど映画に対する愛情と責任、愛があったからこそ今のチョン・ドヨンになることができたと思う。現場でそれを確認することができて嬉しかった。なので、もっと愛情が持てる役者になった」と称賛した。

俳優をはじめ、映画監督デビュー、俳優マネジメント会社の設立など、さまざまな分野で影響力を見せているチョン・ウソンは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使としても活動している。

彼は「UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)親善大使は、自然に声を出したし、自分のことだからしている。人類が存続する限り、絶えず一緒に考えなければならない戦争と平和に対する物語である。(悪質な書き込みや否定的なコメントなど)そのコメントに対する負担はない。このようなコメントをする人々にあえて悪口を言いたくはない。ある意味でそれは理解の差である。時間がかかるし、おそらく世代が変わっても残念ながらそんな理解の差はずっと存在し続けるのが人間社会だから」と話した。

チョン・ウソンは、昨年「百想(ペクサン)芸術大賞」の映画部門大賞と「青龍(チョンリョン)映画賞」の主演男優賞を受賞し、俳優キャリアの頂点を飾った。今年は「ザ・ガーディアン/守護者」を通じて、初の長編映画の監督としてデビューを控えている。

チョン・ウソンはクランクインを控えた2月10日、「現場の雰囲気は良いんじゃないかと思う(笑)。数ヶ月間、毎日準備しているが、早く撮影に入りたい。あるロケーションが入ったら、『これは良い選択なのか? 変えたほうがいいかな?』と毎回悩む。そのようにバタバタと時間が過ぎても、今のところは楽しんでいる」とし、笑顔を見せた。

「チョン・ウソンにも、映画のタイトルのように壮絶で切羽詰まった瞬間があったか」という質問に、「高1の時に高校を中退して学校を出たけれど、母親が罪人かのように教員室で頭を下げていた。そして方背洞(パンベドン)のカフェ通りに出て、泣き出す母親を見た。その時から、数年間は『どこに行って寝たらいいんだろう』とうろうろしながらさまよった。幸い、デビューした後は救命ボートの上に乗ったかのように救われ、いつも感謝の気持ちを忘れなかった。もちろん厳しい時期もあったけれど、それが絶望的な状況だと考えたことはない。いつも感謝しながら受け入れた」とし、肯定的に生きてきたと付け加えた。

R指定(青少年観覧不可)である「藁にもすがる獣たち」(監督:キム・ヨンフン、提供・配給:MEGABOX中央(株)PLUS M、制作:(株)BAエンターテインメント、MEGABOX中央(株)PLUS M)は、人生最後のチャンスであるお金の入ったバッグを自分のものにするために、最悪の一発を計画する平凡な人間たちの犯罪劇を描く作品だ。日本の作家曽根圭介が執筆した同名の小説を原作としており、韓国で2月19日に公開された。

記者 : ハ・スジョン