ユ・ヨンソク「挑戦を続ける原動力は楽しさを感じること」

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※この記事には映画「その日の雰囲気」のストーリーに関する内容が含まれています。

インタビューの間ずっとユ・ヨンソクの答えは模範解答のように正しかった。しかし、まったく飾らない人柄だった。長い間苦労し、地道に築いてきた粘り強さも見えた。ユ・ヨンソクの人生が語ってくれた。ユ・ヨンソクはtvN「応答せよ1944」のチルボン役で人気を得た後も安定した選択をしなかった。「尚衣院 -サンイウォン-」「隠密な計画」「提報者~ES細胞捏造事件~」など、一つも重なるキャラクターがない。また、彼は大学院で修士課程を修了し、アフリカに行って「ユ・ヨンソクのDREAM」という本を出した。2015年には「壁抜け男」でミュージカルにも挑戦した。韓国で14日に公開された映画「その日の雰囲気」もユ・ヨンソクのまた違う挑戦だ。不躾で甘いストーリーの中のユ・ヨンソクはこれまで見せたチルボン役やドラマ「幸せのレシピ~愛言葉はメンドロントット」のゴヌとは違うときめきを披露する。ユ・ヨンソクのフィルモグラフィが語る彼の挑戦の数々が今後のユ・ヨンソクをさらに期待させる。慎重に答えを選ぶインタビューの中で、ユ・ヨンソクにさらに夢中になった。

―映画「その日の雰囲気」が公開を控えていますが(インタビューは13日に行われた)感想はどうですか? これまで見せた演技とは違うので、反応が期待されます。

ユ・ヨンソク:これまでとは違うイメージでもあるので、皆様はどうご覧になったのだろうと思いました。映画を見た方々が「ユ・ヨンソクの違う姿が見られて楽しかった」「ユ・ヨンソクの実体は何だ? 本当はあの姿が本物なんじゃないか?」と言ってくださるほど、楽しく観ていただけたようです。これまでは重い映画にたくさん出演してきましたが、新年を迎えて愉快で面白い映画に出演できて嬉しいです。

―一番知りたかったことは、台本をもらった時の感想です。

ユ・ヨンソク:台詞や状況がとても新鮮でリアルでした。そして、ジェヒョンの役を立体的に演じることができると思いました。映画の前半では遊び人で、ふてぶてしい面もありますが、後半に行くにつれてジェヒョンが持っている愛の真心を見せたら、立体的なキャラクターを表現できると希望を持ちました。少し当惑する台詞や状況がありますが、それにもかかわらず、このキャラクターが魅力的だと考えれば、面白いと思いました。

―劇中でジェヒョン(ユ・ヨンソク)は付き合っていた彼女に新しい恋人ができても、「別れたらまた連絡ちょうだい」というほど、愛にはクールですが、スジョン(ムン・チェウォン)が壁を作ってもジェヒョンはアタックを続けます。まるで「僕にとってこんな女性は君が初めてだ」という感じがしました。ジェヒョンはスジョンのどんな点に素直になれましたか?

ユ・ヨンソク:初めからスジョンに他の人とは違う部分を発見していたのではなく、最初はジェヒョンがいつもやっていた通りにアタックしていたと思います。目的地が同じだったので、一緒に行ったんだと思います。僕が思うに、実はジェヒョンも今のような恋愛観に固執する前にスジョンのような恋愛をしていた時期があったと思います。長い期間の恋愛で傷ついた経験があったのではないかと思います。その後、そのような恋愛に対してわざと拒否し、一夜限りの恋とか自由恋愛にこだわっている恋愛観に変わったと思います。スジョンと一緒に時間を過ごしながら、今は忘れたけれど、昔、自分もそうだった愛の思い出を思い出すと思います。だから、スジョンという人は違う視点で見たんだと思います。

―ユ・ヨンソクはどんな人ですか? すぐ恋に落ちますか? それとも時間をかけて観察する方ですか?

ユ・ヨンソク:すぐではありません。時間が少し必要です。一度心を許したら、長く付き合う方です。

―「その日の雰囲気」の中には、ユ・ヨンソクさん自身も女性たちがジェヒョンにときめくと思うシーンがあると思いますが、どんなシーンですか?

ユ・ヨンソク:足のマッサージをするシーンでもそうです。足のマッサージをするシーンにときめくというより、何か自然に普段とは違う雰囲気を演出するため、雨が降るとか、雨の中、相手を気遣って傘をさして自分の肩が濡れたりするシーンが、女性たちがときめき、心を許すポイントだと思います。ジェヒョンは最初、大胆にアタックしますが、素直です。自分の感情に率直でありながら勇気のある行動をする性格でもあります。バスケットボールの競技場でダンクシュートをしてみたいと可愛くピョンピョン跳ねるスジョンの腰を支えて上に上げるシーンも良かったです。

―デートを楽しむシーンで色んな風景が出てきます。普段から旅行が好きだと聞きましたが、撮影しながら楽しめましたか?

ユ・ヨンソク:はい。色んな地方を行き来しながら撮影しました。できるだけ現地で有名な料理を食べようとしました。観光地には行けませんでしたが、現地の料理はお店を検索して食べようとしました。

―記憶に残る風景はありますか?

ユ・ヨンソク:麗水(ヨス)にあるお寺が記憶に残ります。ジンチョル(パク・ミヌ)を探しにお寺に行った時に見渡した海の風景です。山の中にあるお寺から見渡す海の風景が素晴らしかったです。胸がスカッとしました。

―チョ・ギュジャン監督は独立映画で活動してきた方で、「その日の雰囲気」で初めて商業映画を演出しました。息は合いましたか? 撮影直前に直接台本の会議に参加したと聞きました。

ユ・ヨンソク:「その日の雰囲気」は監督が最初から書いたシナリオではなくて、以前企画されたシナリオを修正し、進化させた作品です。そのような理由で僕の意見もたくさん受け入れてくれました。演出者の視角も重要ですが、作品を受け入れる俳優の意見も尊重してくれました。意見もたくさん聞いてくれました。台本作業に参加し、特に監督とたくさん話し合いました。撮影が終わるといつも美味しい料理を食べて、ビールを飲みながらその日の撮影の話をしたり、次の日にどう撮影をするかについて話し合いました。

―映画を撮影しながら俳優が台本作業に参加するのは珍しいことですが、新たな経験ではありませんでしたか?

ユ・ヨンソク:前はこれほど台本作業に参加したことがありませんでした。でも、「その日の雰囲気」は僕が引っ張っていかなければならない映画だったから。最初にキャスティングされた時に渡された台本はリアルで、19禁映画の雰囲気がありましたが、撮影しながらたくさん純化されました。ピンク色のように綺麗なラブストーリーに変わりました。

―ああ、それでは、最初の企画当時はもっと赤裸々な内容だったのですか?

ユ・ヨンソク:会話やシーンの表現がそうでしたが、今の映画は最初の企画と純化されたものの中間くらいに合わせたものです。台本を初めてもらった時よりだいぶ整いました。だから、監督に僕はこの映画が持っている新鮮さに惹かれたので、もっと大胆に以前考えていたシナリオの内容を反映しても良いかもしれないと提案しました。ヒロインが悩む部分もあるので、適正なレベルに調律して修正し、今の作品になりました。

―一晩を一緒に過ごすまでの流れは良かったけれど、その後から退屈だという評価もあります。どう思いますか?

ユ・ヨンソク:ロマンスジャンルは守らなければならない枠があります。知らない男女が出会って、恋に落ちたら、その後、その二人をすれ違わせるのがポイントです。その後、別れさせ、また再会させるか、またすれ違わせて別れさせるか、そのような枠があります。他の映画では病気になるとか、二人の間で誤解が生じるケースが多いです。エンディングもそうです。「その日の雰囲気」は普遍的な共感を持ったシーンで配置しましたが、台詞で差別化を図ろうとしました。ある面では、最後のシーンの駅はロマンス映画で定番の場所ですが、今回の映画で駅は2人が初めて出会う空間でもあり、電車が与える意味があると思いました。だから、駅を諦められなかったのかもしれません。そのシーンで初めて僕が言った台詞をスジョンが繰り返して言うシーンを入れ、少し差別化しようと努力しました。

―ジェヒョンを演じながら学んた恋愛の技はありますか?

ユ・ヨンソク:率直な感情だと思います。数人の女性から最近は率直に勇気を持って近づいてくる男性が多くないと言われました。以前より消極的に変わった気がすると言っていました。ジェヒョンのように嘘をつかず、正直に近づいた方がむしろいいと思います。惚れたら惚れたと話して、遠回しに言わないのような率直な姿勢が重要だと思います。女性が感動して心を開くまで大きなものは必要ではないことが分かりました。バナナ牛乳のストローの端にビニールを被せておいたことに感動するなど、些細なことから出発するものなんです。高いレストランや素敵な場所、大きなものに対する感動よりも、些細な配慮が積み重なった時、結局、心を開くようになるということを知りました。

―でも、それはユ・ヨンソクさんのビジュアルだから可能なことじゃないですか? エンドロールのボーナス映像で流れたチョ・ジェユンさんとキム・スルギさんのシーンは、ユ・ヨンソクさんの姿とはあまりにも対照的でした。

ユ・ヨンソク:ジェヒョンの場合、最初の台詞を言う前に自然な会話がありました。サンドイッチやバナナ牛乳をあげるんです。見てすぐに「一緒に寝よう」と言ったら副作用が伴うでしょう。エンドロールの映像はそんな注意事項だと思います。その映像を初めて撮影した時はスルギさんがジェユンさんの頬を叩いて、最後にはキスをしました。ハハ。

―「その日の雰囲気」は独り身、カップル、倦怠期カップルなど見る人によって違うものを感じると思います。そのうち、誰が最も完璧に「その日の雰囲気」を楽しめると思いますか?

ユ・ヨンソク:「その日の雰囲気」を完璧に楽しむためには何の制約もなく、どんな状況にいても気楽に映画を見ればいいと思います。ただ、映画を見てから映画館を出る時、自分の隣に座った人の顔を見るようになったらさらにいいと思います。挨拶を交わす時間にするのはどうですかね? もしくは、公共交通機関に乗って帰りながら、隣に座った人はどんな人だろうとワクワクする気持ちを持つようになれば、映画を観た後、面白い瞬間になると思います。

―「応答せよ1994」以来、本当に休む暇もなく活動を続けました。でも、まだ「応答せよ1994」のチルボンを超えるほどの結果がないのも事実です。残念な気持ちはないですか?

ユ・ヨンソク:「応答せよ1994」という作品に出演してから多くのことが変わりました。でも、僕を評価するのは僕の周りの視線であって、僕自身は2003年から作品活動を続けてきて、上手くいった作品もあれば、上手くいかなかった作品もあるような過程の繰り返しでした。「応答せよ1994」が特にたくさん愛されたから関心が集まっていますが、これからもそうなると思います。試行錯誤もあるだろうし、運が伴わない時もあります。でも、重要に考えるべきなのは、今回の作品が前作より愛されるかどうかという悩みではなく、この作品に出演した時、心に決めたことを成し遂げたのか、新しく見せるべきのイメージやキャラクターの姿を上手く伝えられたのかだと思います。

―「応答せよ1994」以来、チルボンと似たような役を演じて流れに乗ることもできたのに、「尚衣院」「提報者」「隠密な計画」でそれぞれ違うキャラクターを演じました。作品を選択する時、どんなことを基準にしていますか?

ユ・ヨンソク:常に違うイメージを探そうとします。たくさん愛されたキャラクターを再び演じたいというよりも、いくらたくさん愛されたといえ、自分の中のまた違う姿を探そうと試みています。

―常に違うイメージを探して、ミュージカルに挑戦し、大学院にも通いました。俳優活動のほかにも挑戦を続ける原動力は何ですか?

ユ・ヨンソク:作業自体について楽しさを感じていると思います。新しい出会いがあること、特に新しい人に出会うことが好きです。結局、俳優は人に対する悩みを表現しなければなりませんが、その作業をしながら新しい人と出会って、その過程が楽しくて新しいから、また違うことを試みるようになります。

―2015年はミュージカル「壁抜け男」でミュージカルに挑戦しました。今年も新しくやりたいことがありますか?

ユ・ヨンソク:違うイメージを見せようと努力しています。今まで男性的だったり、乱れている姿を見せたことがない気がします。例えば失業者など、乱れていて、整理されていない自然な姿を見せたらどうかなと考えています。

―映画「その日の雰囲気」の撮影と同時にミュージカル「壁抜け男」の公演を続けています。ミュージカルに出演しながら新しく気づいたことはありますか?

ユ・ヨンソク:撮影する時や演技をする時、“その日の雰囲気”が本当に重要だということです。公演する時も、いつも同じ歌詞とメロディーで公演するのに、その日の雰囲気はいつも違います。雨が降る時や寒い時、観客が多い時や公演時間が昼か夜かによって公演会場の雰囲気がかなり変わって、俳優の演技も変わります。現場の雰囲気が俳優に多くの影響を与えるということに気づきました。

―慌てる時もあると思います。

ユ・ヨンソク:休まず歌ったり踊ったりするので、少しでも気を緩めたらミスをしてしまいます。でも、公演は続けなければならないから、汗が出ます。ミスしたことも多いです。

―実際にミスしたことはありますか?

ユ・ヨンソク:もちろんあります。観客は気づいていなくてもミスをする時があります。ミュージカルはメロディーがずっと流れるからリズムを逃すこともありますが、その瞬間に歌詞が思い浮かばないと、心臓がドキドキします。

―今後もミュージカルでユ・ヨンソクの姿を見ることができますか?

ユ・ヨンソク:ミュージカルもそうだし、演劇もそうだし、時間があれば今後も着実に公演を続けていきたいです。

―ミュージカルを通じて歌を聞きましたが、個人的にはユ・ヨンソクの歌を音源で聞きたいです。OST(劇中歌)などを歌う計画はありませんか?

ユ・ヨンソク:自然な機会があればやりたいです。「応答せよ1994」のOSTで歌った歌は家族が大好きで、今も家族の携帯電話の着メロはその曲です(笑) 今後もアルバムを出すよりは作品と関わって歌を歌える機会があればやりたいです。俳優活動の一環だからです。

―どんな歌が好きですか?

ユ・ヨンソク:歌う曲はバラードが合っている気がしますが、聞く曲はジャンルが偏っていません。

―2014年、アフリカのエチオピアを訪れた後、「ユ・ヨンソクのドリーム」というフォトエッセイを出しました。そのエッセイでエチオピアの子供“ツケ”と結んだ縁が印象的でした。その後の話が知りたいです。

ユ・ヨンソク:その後も後援を続けています。ツケの成長過程がずっと届いてきます。この間、年末にツケが写真を送ってくれました。元気に暮らしていました。いつか機会があればまた行きたいです。僕があの時にあげた服はよく着ているか知りたいです(笑)

―エチオピアの多くの子供の中でツケと縁を結んだきっかけが知りたいです。本では首相の夢を持ったツケに惹かれたと書かれていました。

ユ・ヨンソク:そこの子供たちは夢という単語が意味ないほど、僕たちが考えるような夢を持っていません。素朴なものが夢です。学校の野原に花がほしい、水がほしいなど僕たちには当たり前なことが彼らにとっては夢なんです。でも、ツケは僕たちが共感できる大きな夢を持っていました。その旅行は“ドリーム”というテーマを持って行った旅行で、その友達が持っている夢自体に驚きました。もう少し役に立ちたいと思いました。

―ユ・ヨンソクさんにはそこに行ってきてから生まれた夢はありますか?

ユ・ヨンソク:以前は○○な俳優になりたい、○○な人になりたいという夢がありましたが、彼らが考える夢について再び考えるようになりました。僕たちは当たり前に思う小さなことがある人にとっては夢として受け入れられるということを知りました。実は僕も目標のような夢よりも、毎回小さな夢を持とうと思うようになりました。今回の作品でも、作品が終わってから映画を見た観客が帰る時に隣に座った人と挨拶をするようになったらいいなと思いました。些細なことですが、そんな夢をたくさん作っていこうと思いました。夢と聞いたら、漠然と感じる単語です。だから、実現が難しい漠然とした夢を見るよりも、その中で小さくて素朴な、今すぐにでも実現できる小さな夢を作り続けて夢を見ていけば満足できると思います。

―素敵な言葉です。本の中の表現も素敵でした。普段、ものを書くことも多いですか?

ユ・ヨンソク:普段は頻繁に書く方ではないですが、そこに行った時は様々な考えが頭に浮かびました。旅行は普段できなかったことを考えて、余裕もあるから、すごい大きな旅行じゃなくてもいいから時々旅立ちたいです。

―本当に忙しい生活を過ごしているから、休みたい気持ちもあると思います。

ユ・ヨンソク:休みたい時もあります。でも、気に入った作品や役を見ると、やりたくなります。それで、今まで休めず走ってきたと思います。今年は作品もするが、少しずつ余裕を持って作品をしたらどうかなと思いました。

―2016年、個人的に成し遂げたい目標を聞かせてください。

ユ・ヨンソク:まずは今年始めた作品を最後まで無事に終えてから旅行に行きたいです。サーフィンを習って、温かい春が来たらキャンプに行ってみようかなと考えています。海辺に行ってキャンプを楽しんだらどうですかね?

記者 : パク・スジョン、写真 : ク・ヘジョン、翻訳 : チェ・ユンジョン、ナ・ウンジョン