「ミセン-未生-」ZE:A シワン“これ以上のドラマに再び出会うのは難しいと思えるほど得たものが多い作品”

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名だたるドラマ賞を総なめにし、「ミセンシンドローム」と呼ばれる社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ「ミセン-未生-」が現在DVD発売中、好評レンタル中だ。部下・上司・正社員・契約社員・キャリアウーマンなど、働く様々な立場の人の物語を深く描き、広く共感を呼んだ本作は、“これまでの韓国ドラマの概念をくつがえされた”“生涯心に残る最高の作品”として絶賛された。
本作品で主演を務めたのは、ZE:A シワン。ソン・ガンホに「驚くべき演技力」と大絶賛されたほか、同世代のJYJ ユチョンやイ・ジュンからも“俳優のライバル”と指名されるほどの演技力を持つ彼が本作について語ってくれた。

―チャン・グレというキャラクターを演じるうえで一番努力した点があれば教えてください。

シワン:僕の経験を最大限生かすように努力しました。僕が練習生の頃、そして歌手としてデビューした直後に感じた様々な感情を、チャン・グレを演じるうえで改めて思いだし演技に反映させました。

―夏から冬までと長い撮影期間でしたが、現場の雰囲気はどうでしたか?

シワン:「ミセン-未生-」の撮影現場は先輩方もたくさんいらっしゃいましたが、それでも僕の心の内で思った事は……「あぁ狂った人たちだ」でした。変に思われるかもしれませんが、僕が感じた初めの印象はそうでした。この作品に対しても、演技に対しても皆さん狂ったようになっていて。まさに何かに取り憑かれた様な人達。ただただこれ一つしか見えない人達だけが集まった様な、そんな雰囲気がありました。

―シワンさんはどうでした? シワンさんもとり憑かれましたか?

シワン:そんな雰囲気があるので自然について行くしかなかったんです。僕が狂い、取り憑かれなければならない雰囲気にいたので、より一層そうなろうと努力しました。

―1番印象に残っている撮影現場でのエピソードはありますか?

シワン:営業3課でのシーンも多く、営業3課のメンバーと呼吸を合わせる事がとても多かったんです。デミョン兄さんが本人の意図とは関係なくムードメーカーになっていました。夜遅くまで撮影したりする日が多くなると……環境が変わる事に対して、とても素直に反応される方なんだと思います。遅い時間になると眠気がおそってくるんですが、その姿がそのまま表情に出ていて(笑) それを見たオ課長(=イ・ソンミン) が笑いを堪えられなくて笑ってしまったり。そのせいで僕たちも笑いをこらえるのに苦労した事がとても多かったんです(笑) 代表的なのは、オ次長がプレゼン発表をするシーンで……そのシーンの撮影がとても遅い時間だったんですが、デミョン兄さんの眠気がちょうど来た時だったんです。自分のシーン撮影なのに、目を開けたまま眠るデミョン兄さんの姿が見えるんです(笑) そのせいで、笑いをこらえるのがとても大変でした。

―撮影現場で1番辛かった事は何ですか?

シワン:とにかく笑いをこらえる事ですね。営業3課の誰か一人が笑い始めたら、笑いをこらえられないんです(笑) オ次長が一番笑いを堪えられない人なんですが、オ次長が一度笑い始めたら、僕たち営業3課はしばらく撮影ができなかったですね(笑)

―そんなキム・デミョンさん演じるキム代理はとてもアドリブが多かったとお伺いしましたが、どうでしたか?

シワン:アドリブはたくさんされていましたね。準備もたくさんして来られますし……(笑) でも、デミョン兄さんが、アドリブをたくさん織り交ぜてくれる事で脚本のまま自分の中で決め込んでいたチャン・グレというキャラクターを思いっきりゆさぶってくれたんだと思います。そのおかげで、より生き生きとした感じを作ってくれたんだと思います
とても印象に残っている事があって。休憩室の自販機のシーンがありましたよね。「僕はアメリカーノ、課長は何にしますか?」アメリカーノのボタンをピッと押して「品切れです。」これもリハーサルしながら僕も思いついてポンとアドリブを投げて。ある瞬間にこれがピッタリ合ってくるんです。現場で作られる事がほとんど大部分でした。

―他にはどんな印象的な事がありましたか?

シワン:キム代理との香水のやり取り(※) もそうでしたし……(笑) 他に僕たちのアドリブで何があったっけ? キム代理とやった部分はほとんど台本通りに行かなかったと見ていただいて良いと思います。台本にアドリブで肉付けをしたと思ってくだされば良いです。キム代理とチャン・グレが一緒に撮ったシーンはほとんどがアドリブなんです。
(※ドラマの中でキム代理がよくやるコミカルなやり取り。「新しい香水を買ったんだ」とキム代理が相手の顔の前に手首を出し、相手が香りを嗅ごうとするとそのままおでこを小突く)

―シワンさんもアドリブはされましたか?

シワン:たくさんアドリブしましたよ……逆に台本通りにやったのはありませんでした。少なくともデミョン兄さんと一緒に撮ったシーンでは確実に(笑) デミョン兄さん自体が台本にある物を出して来ないので、それに合わせて僕が平行にやらざるをえないんです。そんな事がとてもたくさんありました。

―物語の初めに登場する名場面で、オ課長とのグレのとても印象的なエレベーターでのやりとりがありますね。そのシーンの撮影エピソードはありますか?

シワン:僕はあのシーンが、チャン・グレが元々持っていた性格と一番大きく相反するシーンだと思いました。チャン・グレは、自分がどんな風になろうが、社会に出て一生懸命頑張れば良いのだと思い、死ぬほど頑張らなきゃという思いを胸に抱いて社会に出た人間なんです。そんなグレが、自分が置かれた状況について誰かに鬱憤を吐き出す事自体が、彼の性格としてはとても挑戦的かつ難しい話だったと思いました。もし僕だったとしても、あの状況で話を切り出すのは難しいと思うのですが……なのでグレにとっても容易くはいかないシーンだったと思います。チャン・グレが自分の本心を、しかも上司に表現する時どの程度で表したのだろうか? そのさじ加減をつかむのが、一番難しかったです。

―他のインターン生のミスに勘違いからチャン・グレが怒られてしまい、その後誤解に気が付いたオ課長が「うちの子が怒られたじゃないか!」と憤るシーンがありましたね。社会に馴染めないグレにとって分岐点となる大切なシーンでしたが、撮影する際はどうでしたか?

シワン:オ課長が<ウリエ(うちの子)>という言葉を使うんですよね、グレに。その単語はグレにとってとても大きく感じられざる単語なんです。一人だと思いこんでたけれど、<ウリエ(うちの子)>と言う単語を使ってくださって自分が生きなければならない理由、この会社にずっと通わなければならない理由、一生懸命生きれる理由、そのような機会になったのだと思います。なのでその言葉がグレにとってとても大きくて重要な単語であり……なので、<ウリ(私たち)>という言葉をしばしば使いましたし、<ウリ>と言う台詞もしばしば登場したのだと思います。

―入社試験でのプレゼンシーンも忘れてはならない名場面の一つですが、以前インタビューで撮る前の緊張感など、とても辛かったとお聞きしました。

シワン:プレゼンは、ハン・ソンニュルを演じたヨハン兄さんと僕で本当に沢山準備をしました。ドラマの序盤でしたし台詞もとても長くて……しかも専門用語も多かったですし……。思い出すのは、ヨハン兄さんと僕が練習室で、明け方に撮影が終わってから2人で会って台詞を合わせてみたり、覚えたりした事ですね。個人的にデミョン兄さんを捕まえて、どうしたら良いのか聞いてみたりもしましたよ。「一度やってみるから聞いて下さい」とお願いしたりも。そうしながら無事撮影できたシーンだったと思います。
あのシーンについてとても挑戦的だったと思う事は、70分の放送時間のうち、40分がプレゼンのエピソードだったんです。普通のドラマだったらプレゼンは、こんな風だった! それで結果はこうなりました! って省略して見せてしまうと思うのですが、準備する過程からプレゼンする過程まで全て映しましたよね。ドラマとして考えても、とても大きな挑戦をしたと思いましたし、画期的だったと思います。

―プレゼンシーンが視聴者を感動させた理由は何だと思いますか?

シワン:普通に僕が持って行ったキーポイントは真実性だったと思います。あのグレのプレゼンを見直した時、マニュアル的に見てグレのプレゼンは認めてもらえないプレゼンなんです。ですが彼が認めてもらえたのは、グレの持つ唯一の長所が真実性なんだと思われます。きっとあのシーンが皆さんに喜ばれたのは、そこだけにフォーカスしたからだと思います。

―自分を庇ってくれる母親への負い目を感じているグレが、母の本当の想いを知り「僕は母の誇りだ!」と自信を取り戻すシーンは放送時、多くの視聴者から共感を得たと評判でした。あのシーンは、どの様に撮影に臨まれましたか?

シワン:僕とグレが共感しあえる部分がたくさんあったシーンでした。僕は、家ではいつも母にとって常に良い子でまっすぐな子だったんです。そんな僕のことを母親が、他の母親たちや保育園に行った時にとても自慢する人だったんです。僕が、幼いにもかかわらずその話を聞いた時恥ずかしくなるくらいに(笑) 撮影する時に、そんな思い出をオーバーラップしながら演じました。誰でも、家族にとってはどんな子供でも大切だとよく言いますよね。そんなところに、僕だけではなく視聴者のみなさんにも共感していただけたようです。

―物語の後半の名場面のひとつに、グレが、グレを敵視するチャン・ベッキと市場でお酒を飲みながら靴下やパンツを売るエピソードがありますが、演技に没入する為に本当にお酒を飲んで演技したと聞きました。

シワン:本当にお酒を飲みながら撮影しました。監督が先に提案なさったんです。「酒を飲んでやってみようか?」と。(チャン・ベッキを演じた) ハヌルや僕は酒好きなので……(笑)

―オ課長から贈られるクリスマスカードのシーンもとても感動的でしたが、その時の撮影現場の様子を教えてください。

シワン:あのシーンは、過ぎ去った様々な事が走馬灯の様に全部よみがえってくる感じをうけました。そして今までしてきた仕事が決して無駄ではなかったという思いを感じていました。疎外され、一生懸命努力しても誰も認めてくれなくて、この社会で必要の無い人間に思えて来たけれど、振り返ってみたら結局はその過程が無駄ではなかったと感じました。その上ナレーションがまた良かったんです。

―「ミセン-未生-」の象徴的なシーンで、屋上でオ課長がグレに“未生と完生”と囲碁用語を使って「おれたちはまだ未生(弱い石) だ」と話をするシーン(4話) がありますね。演じていてどのように感じましたか。

シワン:成功に向かって、もう一つの扉を開いた様な感じ……。キム代理がグレに話していた言葉だったと思いますが(「俺たちは成功とか失敗ではなく、死ぬまで扉を開け続けていくんだと思う」) 終わりの無い扉をずっと開いて行くだけの過程のようにも思えますし……。“完生”と言う単語は、存在するのが容易ではない単語だと思います。

―「ミセン-未生-」ではナレーションもとても素晴らしく心に残るものが多くありました。どんなナレーションが一番印象に残っていますか?

シワン:クリスマスカードを屋上で読むシーンで出てくる「ずっと酔っていよう」が最高だったと思います。そのシーンの歌や言葉が上手く調和していて、とても素晴らしいシーンができたと思います。
結論から簡単にあの言葉の要点を言うのなら、「常に酔いしれなければならない」と言う事なんですけれど。ただそれが「僕にとって何に酔えば良いのか?」と言う疑問を投げたようにも考えられますし、酔っていなければならないと言う事は「常にためらわずに、緊張し、何かに向かって進んでいく為に途切れる事なく自身を鞭打たなければならない」というメッセージにも取れます。いろいろと含まれた言葉なので、僕にとってたくさん考える事の出来たシーンだったと思います。

―グレにとってオ課長が人生のメンターとなっていきますが、特にそう思えるシーンはどこだと思いますか?

シワン:そう思えるようなシーンはドラマを通じたくさんありましたが、その中でも特に印象に残っているのは、物語の後半の回で、オ課長がグレを正社員にするため無理をするのを、グレが止めようと「どうか正当で無いと判断できる仕事をなさらないで下さい」とお願いをするんです。屋上でしぶとくお願するんです。「僕の為と思ってなさるのならどうかやめて下さい」と。オ課長がグレをどれくらい大切に思っているのかを知っているので、グレが絶対に話さなければならない、そんなシーンだったと思います。そのシーンが端的にでる場面ではないかと思います。

―未生を大いに導いたんですね?

シワン:どうしても未生に関する話しを簡単に見つけられるので……わざわざ努力しなくても容易く未生に関する記事や、話しに接する事が出来るので……未生の中にいるけれど、外から沢山理解してもらえるのでそのおかげで、沢山感じられるんです。未生でいる事が。

―1人、気の合うパートナーがいるとしたら誰ですか?

シワン:1人、ということではなく、全体的に呼吸がよく合ったと思います。全体的にそんな意思も多かったですし。みんな、お互いの呼吸を感じようとする努力を沢山したのだと思います。なので、その雰囲気の中で僕も自然について行きました。呼吸は本当に良く合いましたね。

―チャン・グレの役を演じながら、自分自身に何か変化はありましたか?

シワン:頭ではなく、まずは心で近づいて行こうとする努力をする様になりました。僕の元々持つ性格と、チャン・グレと唯一違う部分は、僕は理性が先に来るタイプなので、感情よりも理性でまず動いてしまうんです。けれどもチャン・グレは仕事に関して、もちろん実力は足りませんが、人の心を動かす感性的な部分があるんです。チャン・グレは理性より感性が先にでてくるタイプなので、その部分をまねる為に演じる時もそうですが、理性より感性を先に出せる様にたくさん努力しました。また、そんな人生を生きてみるのが、いま以外にこんな機会があるのだろう?とたくさん考えもしました。ひたすら心だけで動く、そんな人になる為に努力しました。

―アン・ヨンイとハ先生の中で個人的にタイプは?

シワン:(アン・ヨンイを演じた) ソラは、現実にはいない仮想の人物を、僕自身の目で実際に見ている感じがしました。あんなにキレイで完璧な人が、ミスも抜けもなく完璧にしてくるし、誰が見ても感嘆するほど外国語にも長けていて、演技も上手だし、自己管理も徹底する人だし。なので現実に実在しない仮想の人物を見ている感じがしま…す…。ハ先生イ・ジュウォンさんも共演した時間はそこまで長くありませんでしたが、あの方はソウル大学出身というくらい過去の経歴もまじめですし、キレイですし……。お二人とも異性としては完璧にOKです(笑)

―記憶に残っている名場面、名台詞はありますか?

シワン:「ミセン」ではとても多かったです……。1つ2つしか無かったならすぐに選ぶ事が出来るんですが、本当たくさんあるので。何を選べば良いのかとても難しいです。今思い出せるのは、キム代理が僕にした話もそうですし、「おれたちは成功とか失敗ではなく、死ぬまで扉を開け続けていくんだと思う。」という言葉。人生は最後にたどり付くまで終わりでは無いという話なんだと思います。
胸が痛かった台詞で覚えているのは、オ課長の友達ビョン・ヨンチョルを接待するシーンの台詞ですね。友達であるビョン・ヨンチョルがオ課長に「僕は自分が酒を飲みたい時に飲むが、お前は人が飲みたい時に飲むよな」と言った時、とても胸が痛かったです。幼い頃、酔っぱらって帰ってくる父をあまり良く思っていませんでした。ですがこの台詞を聞いてから「あの時、うちの父親はどうだったんだろう?」と考えてしまいます。
あと、オ課長の先輩の台詞の「会社は戦場だが、外は地獄だ」ですね。いま自分が置かれた状況が悪いと思ったけれど、この巣を出た瞬間さらに地獄が待っていると言う事じゃないですか! その言葉が「現実を認め満足し生きなければならない」と言うメッセージになるとも思います。
ほかにも本当に思い出の様な言葉がとてもたくさんありましたね。

―人間チャン・グレを一番良く説明出来るワンシーンを上げられますか?

シワン:一番グレらしいと思った部分は1話の塩辛のシーンですね。塩辛のシーンは完全に屈辱をうけて、その上インターンの仲間にもからかわれて裏切られ、結局は一人取り残されてしましたよね。それにもかかわらず顔に出さない。胸の内はメラメラと怒っていても…。
その直後、オ課長とほかのインターン生に会って。グレは、顔を赤らめたり怒ったりする代わりに「今日、僕が出来なかった課題を戻ってやります」と言って振り返り、自身の心を強く固める姿がとてもチャン・グレらしいと思いました。「必ずやってみせるぞ!」と誓い実際にやろうとする姿が、出来ない事でもやってみせようと最後まで努力する姿が、チャン・グレの姿をちゃんと表現してくれる様に思いました。

―ドラマの中ではたくさんの食事シーンも出てきましたが、シワンさんはホルモン店、鶏肉店、など何がお好みですか?

シワン:お腹を満たす時は鶏肉(タッカルビ) ですね。ご飯と食べる時はタッカルビで酒を飲む時はホルモンです。

―1番好きな食べ物は何ですか?

シワン:なんでもよく食べます。僕は偏食はしません。ヨルダンに行っても食べ物のせいで辛かった事も全くありませんでしたし、むしろその食べ物が恋しくてヨルダン食、中東食のレストランに一度行こうとオ課長と既に約束もしてます。

―アンマン旧市街地での追撃シーンやペトラ、ワディム砂漠でもシーンも出てきますね。海外での撮影エピソードをお願いします。

シワン:もう走る事しかしませんでしたよ。何日も走りましたし、1年分の運動をそこで全部したんじゃないかと思うほど走りました。その上、ピッタリしたスーツを着てジャンプしたり……無理もしました……。アンマンの旧市街地では、とにかくずーっと追撃ばかりしていたように思います。それからペトラでも勿論撮影でしたが、撮影よりもっと敬意を払う風景を見ました。そこは自然の偉大さを感じる事の出来た場所でした。ペトラ砂漠はやはり生涯行けるかどうか分からない慣れない土地で不思議な体験をした気がしますね。

―ペトラ砂漠のシーンでは、オ次長が印象的なセリフがありますね。

シワン:道についてお話されましたね。ペトラで道についてお話になったんですが、そこで派生したのが1話で出た「道とは歩むものではなく、前に進むためにある」ですね。「道は定まった物ではなく、結局自分で作り、作り終えて振り返った時それが道なのだ」と言う意味です。その意味がペトラという場所でより表現できました。
ワディム砂漠は、結局最後まで追撃したソ・ジンサンを捕まえた場所ですし、ヨルダンで初めてオ課長に再会した場所です。

―ヨルダンでの車の衝突シーンありますよね? アクションはとても迫力があって、街の人混みもリアルでした。その時の緊張感など感想をお願いします。

シワン:僕たちはそこでは外国人なので、外国でそんな撮影をして、もしかしたら穏やかでいられないとも思いますが、それにもかかわらず多くの面で協力して下さって撮影できたシーンでした。車の衝突シーンは現地のスタントマンに協力してもらい撮影しましたし。
他にも印象的だったのが、グレが倒れるシーンで見学していた方が心配して走って来て下さったんです。それが原因でNGになるところでした(笑) 幸いNGにはなりませんでしたが、それくらいに純粋で情に厚い方たちでした。僕が血を流してる様にメイクをして撮影したときも、アラビア語だったので詳しくは分かりませんがニュアンス的に、「君、大丈夫か? 血が出てるから治療しなければいけないぞ! 一旦うちの店に入って来いよ! 治療しなきゃだめだよ!」ってお店に連れて入ろうとするんです。「大丈夫です」と言ったら自分の家族を呼んできて「叔父さん、この人が怪我したんだけど治療していないんだ、俺が見るには大怪我なんだ。誰かに斧みたいので叩かれたみたいなんだ!」と話していて。そのくらいに情に厚い方たちでした。

―撮影が終った時、どんな気持ちでしたが?

シワン:チャン・グレとして生きて来た数ヶ月をもう整理する時が来たな~と。撮影が終わる少し前から見送る準備をしていました。僕とチャン・グレを切り離す準備を。

―「ミセン-未生-」に出演して得た物と失った物はありますか?

シワン:失った物はありません。得た物は数知れず多いです。チャン・グレとして生きる機会を得ましたし、この素晴らしい作品で素晴らしいスタッフの皆さんや素晴らしい俳優陣と共に演じる機会を得ました。得た物はこの上なく多いと思います。

―撮影を通じてスーツ姿には慣れましたか?

シワン:僕はスーツより……スーツは本当にたくさん着ましたが。お父さんスーツの方が一番愛着がわきます。お父さんスーツが一番チャン・グレらしいと思うんです。なので、お父さんスーツを脱いだ時、あまりにも早く脱いでしまった様で残念な気持ちでいっぱいでした。

―撮影も終え、チャン・グレから離れ……今後も俳優イム・シワンとして活躍されると思いますが、今どんな心境ですか?

シワン:僕がこの撮影をしながら一番多く感じた事は、僕は今まで自分がチャン・グレだったので共感を得られたのだと思っていました。でも重要なポイントは、僕がチャン・グレだったからではなく、チャン・グレを見てらっしゃった皆さんがチャン・グレだったからだと気が付きました。だから、共感を得られたのだと。
なので、僕はチャン・グレを演じた人間であり、これからは現実の中でチャン・グレである方を応援する人間になるんだと思います。恐れ多くも「僕がチャン・グレだった」ということも、実際にチャン・グレである方にとても申し訳ない話なのだと思います。

―シワンさんにとって一言で「ミセン-未生-」とは何でしょうか?

シワン:「ミセン(未生)」は完生である。再び出会うのは難しい作品。

―俳優イム・シワンがチャン・グレに一言いうなら?

シワン:僕が演じて来たチャン・グレの生き方が決して正解だとは言えません。ですがチャン・グレの、自分が生きる理由を猛烈に探して行く姿が一方では感心に思い、一方では不憫にも感じて……。なので抱きしめてあげたい人だと思います。もしチャン・グレに会えたなら、一度抱きしめてあげたい気持ちが大きいです。

―「ミセン-未生-」をご覧になる皆さんに一言お願いします。

シワン:「ミセン」に感心を持って下さった皆さんに、本当に感謝の言葉をお伝えしたいです。あと、現実のチャン・グレさんたちに申し上げたいです。これ以上苦しまないで、と言いたいのですが……。それより、この「ミセン-未生-」を通して言いたい重要な事は、あなただけが辛いのではなく、大多数の方がそんな苦しみを持っているんです。だから僕たちはお互い抱きあいながら、お互いの為に一生懸命生きていけたらと思います。お互いファイト!

「ミセン-未生-」
原作:ユン・テホ「未生~ミセン」
演出:キム・ウォンソク「トキメキ☆成均館スキャンダル」「モンスター~僕だけのラブスター~」/脚本:チョン・ユンジョン「アラン使道伝」

キャスト:イム・シワン(ZE:A)「太陽を抱く月」「トライアングル」/カン・ソラ「ドクター異邦人」「メンドロントット(原題)」/カン・ハヌル「相続者たち」/イ・ソンミン「パスタ~恋が出来るまで~」「ミス・コリア」/ピョン・ヨハン「元カノクラブ(原題)」

<DVD BOX-1>
発売日:2015年10月28日(水)
価格:12,500円+税/4枚組
特典映像:メイキング映像ほか予定
<DVD BOX-2>
発売日:2015年11月27日(金)
価格:12,500円+税/4枚組
特典映像:メイキング映像ほか予定
<レンタルDVD>
2015年11月3日(火)TSUTAYA先行スタート!
※こちらの作品はTSUTAYA 先行でレンタル、〈テレビ放送版〉となります。

2014年 韓国/音声:オリジナル韓国語 字幕:日本語/全20話/全2BOX
原題:미생 未生/発売・販売元:エスピーオー/(C)CJ E&M Corporation,all rights reserved.

公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/misen

記者 : Kstyle編集部