【REPORT】サイボーグ・アイドルが見せた一大スペクタクル巨編 VIXXとファンの魂の交感が生み出すユートピア
Kstyle |
韓国の男性6人組VIXXが横浜、神戸の二会場で2度目の単独コンサート「VIXX LIVE FANTASIA in Japan [UTOPIA]」を開催した(4月9日、横浜アリーナ、12日、神戸ワールド記念ホール)。男女の演技者を交えたステージはストーリー性があり、スケールも大きい。そして2時間半という長丁場のライブを見えた後には「なるほど、ツアータイトルのUTOPIAとはこのことだったのか!?」と思わせる実にニクい構成が光った。
「Error」の世界を踏襲したサイボーグ・アイドル
本公演は「VIXX LIVE FANTASIA [UTOPIA]」と題したワールドツアーの一環。3月28、29日に開催されたソウル公演の構成に日本独自の曲をプラスし、オリジナルのセットリストで臨んだ。これまで新曲を発表するたびにコンセプチュアルなPVや振り付けを披露し、“コンセプチュアル・アイドル”の名をほしいままにしてきたVIXX。それゆえ、会場に入った瞬間から、この日も一つのコンセプトに基づいていることが分かった。会場に流れる音楽はインダストリアルなサウンド。ステージの両サイドには剥き出しのパイプが配置され、その上では鉄製の心臓が鼓動を打っている。この心臓は昨年秋に発表したシングル「Error」のプロモーションで見たものと同一。つまり、「Error」での設定同様、彼らはサイボーグとしてステージに舞い降りるに違いない……そんな予感に襲われる。
そして舞台上に水槽型のカプセルが現れ、中には人工呼吸器をつけた6人が! 彼らが自らそれを外し、ステージ前方に進めば、いよいよ本編がスタートだ! 序盤は「傷つく準備ができてる」や「呪いの人形」、そして廃嘘を背景にした「暗闇を照らせ」、雷音から幕を開けた「Secret Night」とダークな色彩を放つ曲が中心。そこにキレのあるダンスがピタリとハマり、「呪いの人形」ではオーディエンスが「チェッカチェッカ」(日本語で「チクタク」な時計の針の音) と声を合わせるなど、フロアの盛り上がりも半端ない。だが、「Secret Night」のエンディングではバックダンサーによる電気ショック(?) 攻撃で全員が膝から崩れる事態に。どうなる、VIXX??
衆人環視の中、鉄の心臓を移植するパフォーマンスは狂気に満ちている。ファンのおののきを鎮めたのはメンバーのソロ・ステージだった。
トップバッターはホンビン。ジャンプしながら勢いよくステージインした彼のダンスは背景のモニター画面に同化し、視覚的面白さ満点。何者かと格闘するように踊るが、最後は相手のパンチにノックダウン。それにラッパーのラビが続き、自作曲の「Ghost」を披露。ゴージャスな黒のファーにゴールドのブリンブリンをあしらい、攻撃的なラップを繰り出す様はまさに王者の風格。一度照明を落とし、アカペラ・ラップでアクセントをつけるなどメリハリの付け方も格好いい。その後、6人は赤のスーツ&黒のインナーに着替えて「After Dark」を歌い、第一部が終了。まずはコンセプチュアルな姿を一気に見せた。
ファンの愛で人間性を回復するメンバーたち
リーダー(エン) からのキス攻撃に疲労しているかと思われたヒョギ。彼の立ち直りは意外にも早く、スーツに白の蝶ネクタイをスタイリッシュにあしらい、ソロ・ステージの3番手として登場。ジェフ・バーネットの「Call you mine」カバーはピアノの弾き語りから始まり、ファルセット・ボイスが光る。さらに間奏部ではジャケットを脱ぎ、ダンスで見せ場を作り、マジカルに取り出した赤いバラを客席に投げ入れた後には「愛してる~」のラブ・メッセージ!
続いたケンも負けてはいない。スポットライトを浴びてのアカペラからスタートした「Rolling in the deep」は女性歌手Adeleの同名曲をカバーしたもの。グレーのハーフコートとシックにチェンジした彼は花道も使いながら独唱でファンを酔わす。ソロ・ステージを終え、ダブル・ピース・サインで戻るケンを、エンが「格好いい」と迎えたほどだ。
こうしてVIXXとファンが一つになろうとした時、魔王が顔を出し邪魔をする。そして舞台は暗転し……。
会場中が星になって輝いたユートピア
衝撃の結末から転じたアンコールは文字通り夢のような世界だった。モニター上には「皆さんのハートはドキドキしてますか? 本当? 本当に~? OK?」というメッセージが浮かび、赤いハート型のインジケーターが、ファンの歓声をチェック。それが100%になった時、「Welcome to Utopia」というメッセージが表れ、アリーナはユートピアと化した。つまり、本編は壮大な伏線、イントロとなっていたのだ。カジュアルなパーカー姿で登場した血の通った彼らは心の底からステージを楽しんでいる。アンコールは最新曲「別れの公式」から始まり、何度もブレイクをとった「今日からキミはボクのモノ」ではその度に終わると見せかけながら際限なく全力で歌っていく。そしてラストの「デ・ダ・ナ・ダ・ノ」では照明が星のように点滅し、モニター上にも煌く星が! 会場を埋め尽くしたファン一人ひとりも星となって光を放ち、VIXXという名の6人のスターをさらに輝かせ、至福のフィナーレとなった。
日本1st Singleのタイトルでもある「Error」を発展させたストーリーを軸にし、一大スペクタクル巨編として見せてくれたVIXX。彼らは花道、サブステージを駆使し、アンコールではメンバーがフロアに降りファンと直接触れ合う場面もあった。スケールの大きさで圧倒しながらも、彼らとの距離感はアリーナとは思えないほど。それは、VIXXとファンが共に同じ輝きを放つユートピアのならではのものだった。
ライター:きむ・たく
VIXX LIVE FANTASIA in Japan [UTOPIA]
会場:横浜アリーナ
日時:2015年4月9日(木) 18:00 開場 / 19:00 開演
【セットリスト】
01. 傷つく準備ができてる
02. 呪いの人形
03. 暗闇を照らせ
04. Secret Night
05. Cloning / ホンビンsolo
06. Ghost / ラビsolo ※自作曲(未発表曲)
07. After Dark
08. Sad Ending
09. Say U Say Me
10. Call you mine / ヒョギsolo
11. Rolling in the deep / ケンsolo
12. Time Machine
13. Rock Ur Body
14. Love Letter -Japanese Ver.-
15. 青春だって
16. ハルマル (言う事) / レオsolo ※自作曲(未発表曲)
17. Self-Disunion / エンsolo
18. ハイド
19. Beautiful Killer
20. 奇跡 (Eternity)
21. Error –Japanese Ver.-
<アンコール>
22. 別れの公式
23. 今日からキミはボクのもの
24. デ・ダ・ナ・ダ・ノ
VIXX公式サイト[realvixx.jp]:http://vixx.cjve.jp
記者 : Kstyle編集部、Photo by 田中聖太郎