ラッパーIRON「ヒップホップは絶対に死なない…ラップの偏見を破りたい」

OSEN |

写真=ソン・ヨンホ記者
ラッパーIRONが戻ってきた。昨年、Mnetのオーディション番組「SHOW ME THE MONEY 3」で準優勝し注目を浴びたIRONが3月31日、シングル「Blu」をリリースして音楽界に本格的に挑戦状を突きつけた。

「SHOW ME THE MONEY 3」以来6ヶ月ぶりだ。IRONは「人気が出て仕事のオファーが多い時期を生かすべきだったが、それが出来なかった」とし、自身の作業が完成するまで気を長くして待ってくれた事務所に感謝の気持ちを伝えた。絶えず「自分という人間は、自分の音楽は何なのか」を悩み、スランプにも陥ったという彼が、インタビュー中に強調した言葉は“真摯な気持ち”だった。

ミュージシャンとして、ラッパーとして、本質を探すことに力を注いだとする彼は「ヒップホップはディス(侮辱、蔑みを意味するdisrespectの略語で、他の人を見下したり、攻撃するヒップホップ文化の一つ)が全てではない。より多くのことをお見せしたい」とし、ヒップホップで音楽の幅を広げたいとの気持ちを伝えた。「Blu」はそのようなIRONの進化したラップに、ボーカルのバビロンの胸に響く個性的なボイスが調和した。これからがスタートだ。

―デビューアルバムだ。格別な感想があると思われるが。

IRON:気分が良い。実験的な部分、洗練さ、大衆性など様々なことを考慮したが、思ったより良い曲が出来たと思う。実は、今回のアルバムで悩んだのはアイデンティティだ。一人で閉じこもって音楽をしてきたため、見せるラップや発音の部分で短所を見つけ出しながら自分のアイデンティティを確立することに専念した。

―今回のアルバムでもっとも気を配った部分は?

IRON:真摯な気持ちだ。特定の箇所でラップをする“見せる方式”よりは、ラップを楽器のように使おうとした。歌詞の伝達力にも気を配った。「SHOW ME THE MONEY」を通じてグルーヴやスウィングの部分についてたくさん学んだ。はっきりと韓国語の歌詞を伝えながらグルーヴを共に活かすことは簡単ではない。実は、しばらくスランプに陥った。そこで、音楽作業に大分時間がかかったが、事務所がそれを理解してくれ感謝している。実は、人気が出て仕事が多い時期を生かすべきだったが、会社でそういった部分について焦るよりは、本質的な部分を探せるように配慮してくれた。

―誰と一緒に作業をしたのか。

IRON:Rock Bottomというグループだ。様々なクルーが集まり音楽作業をするが、それぞれ個性がはっきりとしていてジャンルを問わず多方面の色を持っている。一言でいうと、ジャンルが破壊的で進歩的なアーティスト集団だ。韓国ヒップホップでスタートを切っただけで、海外でもなかなか見当たらないクルーだと思う。僕の音楽の同僚で、結束力が強い。

―「SHOW ME THE MONEY」で大きな恩恵を受けたと思うか。

IRON:本当にそうだと思う。これからは一生懸命音楽をする姿をたくさんお見せしたい。

―Mnet「UNPRETTY RAP STAR」も人気だ。AOAのジミンと共に歌った「PUSS」が最近話題を集めたが。

IRON:楽しく毎回見ている。実は「PUSS」の場合、直前に連絡を受け、ステージに立つ4~5日前から作業を始めたため思い残りがある。それでもとても楽しく作業をした。ジミンは本当に上手だった。

写真=ソン・ヨンホ記者
―最近ヒップホップが数年間人気を集めている。ヒップホップミュージシャンとしてどう思うのか。

IRON:大衆に感謝している部分も大きく、はっきり言えるのは、ヒップホップは絶対に死なないということだ。ただし、韓国のヒップホップは今まで“ディス”にだけ偏っていることが残念だ。海外では様々な題材でラップをする。発音がしっかりとしているものが上手いラップの基準という偏見を破りたい。ラップのジャンルを区分せず、多彩かつ洗練されたラップをしたい。

―ラップが上手いということに基準があるだろうか。

IRON:どうだろう……雰囲気だ。ラップを上手く書き、グルーヴを活かしながら本人の色を探すことが基準と言われているのではないだろうか。そのような面でヤン・ドングン先輩は100年に1度の人材だ。韓国にこのような人がまたいるだろうか。歌もダンスも演技も、あらゆる面で優れている。先輩のようになりたい。言葉が少ない方だが、たまに言われる一言に非常に大きな影響を受ける。ヤン・ドングン先輩と一緒にKBS 2TVの「不朽の名曲」に出演した時も「全く期待していない」とおっしゃったが、後で満足気に笑いながら見てくださるのを見て、本当にありがたかった。僕の内外で非常に大きな力になった。

―首にあるタトゥーの意味は?

IRON:目だ。目を見るとその人が分かるという。正確には第3の目だ。世の中を深く、そして広く見ようとの意味を込めた。

―今回の「Blu」で歌を歌ったバビロンというボーカルが印象的だ。

IRON:フィーチャリングボーカルを探すのに苦労した。曲に合うボーカルを探すことは簡単ではなかった。MVを見て偶然見つけた宝物だ。卓越で人格的にも良い人で、本当に良い音楽をする。大衆にアピールする部分が確かにある。

―後に一緒にやってみたい(ボーカル)歌手は?

IRON:チョン・イングォン、キム・チュジャ、チャン・サイク先輩のようなレジェンドの方。そのような方々とご一緒するためには、僕がもっと成長し、認められなければならないだろう。

―今回のアルバムの目標は?

IRON:ランキングは重要ではないとは言えないが、もっとも大きな目標は地上波放送の番組で本当にカッコいいヒップホップのステージをお見せすることだ。これまでは欲張るばかりで、それこそ完成されてないアイアンマン、空き缶だったとすれば、完全体となりカムバックしたIRONとして、アーティストとして認められる人になりたい。大衆に認められること、それが目標だと思う。

―最後に一言。

IRON:これからRock Bottom IRONが2015年、皆様を“ゆすり”ます。ギャングスターですから。ハハハ。

記者 : チェ・ナヨン