「海にかかる霧」キム・ユンソク“毎日が船酔い…10年先まで船で撮影する映画はしません”

OSEN |

※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
映画「海にかかる霧」がいわゆる韓国の夏映画BIG4のうち最後に観客に会う準備をしている。“キム・ユンソク、JYJ ユチョン主演”というタイトルはもちろん、映画「殺人の追憶」の脚本を手がけたシム・ソンボ監督が始めてメガホンを取った作品、そして映画「殺人の追憶」「グエムル-漢江の怪物-」「スノーピアサー」等を演出したポン・ジュノ監督が制作を手がけた作品等、映画を期待させる様々なタイトルが「海にかかる霧」の前に付いている。

しかし、何より「海にかかる霧」の前に付けたい修飾語は“リアリティ”だ。BIG4「群盗:民乱の時代」「バトル・オーシャン/海上決戦」に比べて「海にかかる霧」は非常にリアルだ。密航者たちの死によって露になる人間の本能は、酷いほど現実的で、彼らのストーリーが繰り広げられるチョンジン号もリアルだ。

これは実際に船の上でほとんどの撮影を行ったため可能だった。茫々たる海原の上に実際に船を浮かばせて撮影を行い、リアルな船の中のシーンを作ることができたのだ。しかし、おかげで俳優たちの苦労は並大抵のものではなかったようだ。劇中で船長のチョルジュ役を務めたキム・ユンソクは、船酔いで苦労した話をしながら、また船に乗ることになったらどうだろうかという質問に「もう」と叫び、今後10年先までは絶対に乗らないと話す。

「船酔いがひどくなると、本当に死ぬほど辛いです。今日も船酔い、明日も船酔いをするから、もう大変でした。でも酔い止めはどんどん飲むと酔うじゃないですか。酔って台詞が思い出せないといけないので、少しずつ飲みながら我慢して撮影をしました。本当に船での撮影はうんざりです。10年先までは船で撮影する映画はしません。ハハ」

船での生活は、俳優たちを本物の船乗り顔負けの外見に変えた。劇中で自在に方言を使いながら船を操り、魚を捕る俳優たちの姿は、本当に船乗りだと言われてもおかしくないほどだった。ドキュメンタリーを見ながら船乗りの外見と行動を研究したというキム・ユンソクは、撮影中に船乗りの行動パターンと同じく行動したという。おかげで、夜な夜な場所を選ばず酒を飲んだとの、大変だが楽しかったビハインドストーリーを聞かせてくれた。

「ドキュメンタリーを見ながら研究もして、直接港に行って船員たちと話し合ったり、ものすごく準備をしました。映画の中の時代は98年度で、あの時の船員たちはもっとみすぼらしいだろうと思いました。最近はもっといい服を着るのでしょう。しかし、あの時は通貨危機の時でしたから、もっと大変だったと思います。船乗りの外見を維持し続けるには方法がありませんでした。あの方々の行動パターンを真似するしかありません。それで夕食を食べながら酒を飲み、俳優たちと話しあったりしました。海の上で飲んでみたり、桟橋でも飲んでみたり。JYJ?アイドルなんていないですよ。ユチョンさんもそのようなところで食べ続けていると溶け込んでいました(笑)」

何より劇中の人物のリアルな姿が映画をさらに深いものにする。密航者たちの死に直面した6人の船員たちは、それぞれ深いところに隠していた人間の本能を露呈し、破局に向かっていく。そのうち、キム・ユンソクが扮したチョルジュは本人の表現通り非常に理性的だ。その理性が見る人々を説得できないかも知れないけれど、キム・ユンソクは「守らなければいけない」という父の気持ちでチョルジュを演技したという。また、人間がそのような状況におかれると、チョルジュの姿が出るはずだと、かえって「あなたがチョルジュだったならどうすると思うか?」と聞き返した。

「僕がお聞きしたいですね。あなたならチョルジュの状況でどうしますか?船長という人をサイコパスや殺人鬼だと考えてはいけません。私たちもその状況におかれたら、5対5に分かれるかもしれません。最も理性的な人は船長だと思います。単純に考えずに、裏返して考えて見れば、一番理性的な判断を下して、生きている人々を救おうとする人が船長です」

記者 : キム・ギョンジュ