Jellyfishファン・セジュン代表「アイドルだけ育つのが得?ソン・シギョンやパク・ヒョシンがいなかったら…」

10asia |

毎年多くのアイドルグループが活動する中で昨年、まるで宝石のように光を発したアイドルがいる。ボーイズグループVIXXのことだ。ヴァンパイア、ジキル&ハイド、呪い人形など活動するたびに明確なコンセプトと音楽性で武装したVIXXは、どのアイドルよりも激しい成長を見せている。

ここで注目すべき点は、VIXXは所属事務所であるJellyfishエンターテインメント(以下Jellyfish)が初めてデビューさせたアイドルであることだ。ソン・シギョン、パク・ヒョシン、ソ・イングクなどのミュージシャンが所属しているJellyfishは、VIXXの成功によってミュージシャンとアイドルを同時に成功させた所属事務所として評価されている。その中心に立っている作曲家出身ファン・セジュン代表と、ソウル江南(カンナム)区清潭洞(チョンダムドン)の社屋で会った。音楽性で武装した新旧ミュージシャンを育てている彼は「これ以上、アイドルは成功できない」と引き止める声が多かったにも関わらず、大胆にVIXXをデビューさせ、勝負をかけた。収益を考えればアイドルに集中すべきだが、ソン・シギョン、パク・ヒョシンがいたからこそVIXXのデビューが可能だったという気持ちで、音楽性と大衆性を同時に背負う所属事務所としての使命を持っていた。

―パク・ヒョシンが4年ぶりにリリースした「野花」が1位を獲得するなど非常に良い反応を得ている。

ファン・セジュン:これまでの苦しみを歌ったと言えるだろう。でも、悲しい感情だけ含まれているわけではない。大変な時間を過ごしながら、彼もかなり強くなったようだ。音楽のリリースだけでなく、ミュージカルやコンサートなど精力的に活動する予定だ。

―パク・ヒョシンがJellyfishの今年のスタートを切った。

ファン・セジュン:今年はまるで遊んでいるような気がする。ハハ。昨年は2ヶ月ごとに所属歌手のアルバムがリリースされたが、昨年12月以来ニューアルバムが出なかった。そして、今年3月末にパク・ヒョシンの新曲が出た。VIXXや(ソ)イングクも現在アルバムを準備している。

―Jellyfishは2007年に設立されて、今年が8年目だ。

ファン・セジュン:2007年8月に設立した。初めての所属歌手がソン・シギョンで、その次がキム・ヒョンジュンとパク・ヒョシンだった。現在、キム・ヒョンジュンはうちの所属歌手ではない。作曲家3人で作業するプロジェクトもやった。退屈になったら、面白いことを探してやるような気がする。忙しい時は仕事ばかりして余裕がない。

―私の場合も記事を書くのにそんなに時間がかからないのに、忙しいとその心の準備をする時間がなかなかできない。作曲家で経営も兼ねていると、“創作の脳”と“経営の脳”を分けなければならないという苦しみがあると思うが。

ファン・セジュン:昔、フリーランスで働いた時のように最初から最後まで作業するわけではないから、今は思い通りに仕事が進むような気がする。会社にプロデューサーチームがあるので、一人で作曲する時とはまた違う。以前のように壊れるまでピアノを弾いたり、一日中編曲することはできない。だから、選択と集中を上手くしなければならないと思う。とにかく、韓国も本当によくなった。歌謡界が産業化になったと言えるだろう。家内工業から企業化されて、作曲家にも良い環境になった。実際、以前は作曲家の(キャリア)寿命が短かったから。

―過去に行ったインタビューで音楽を長くやりたくて企画事務所を作ったと話したが、それもそのような脈絡だったのか?

ファン・セジュン:以前は30代半ばになると、もう“ホット”じゃない作曲家と思われてしまった。それは一人で作業したから仕方ない部分だった。音楽は創作なのでアイデアが無限な気がするが、そうでもない。昔、外国ではリズムとメロディーの担当がそれぞれだったり、1曲に数人の作曲家の名前が書いてあるのを見て、「素敵だ」「どうやってあんなことができるんだろう?」と思ったが、もはや韓国もその段階である。

―そういう点では音楽的な面白さも大きくなったのか?

ファン・セジュン:作曲家として満足度は高くなった一方、“虚しくなった”と言えるだろう。本当に虚しくなる。作品が発表されたら、もう自分のものではなくなるからだ。歌手が自分の曲で活動しているのに自分はコントロールできず、著作権だけ残る受動的な状態になる。作曲家が所属事務所を作るのもそのような理由があるからだと思う。作品や歌手に対する虚しさを満たすためだ。

―理解した。自分のものなのに、自分のものじゃなくなる。でも、企画事務所では音楽を作るだけではないから、“自分のもの”という概念がより強くなりそうだ。

ファン・セジュン:「SUPER STAR K5」の総括音楽監督をやった時、挑戦者の選曲にイ・ジョクの歌が多かった。イ・ジョクは自分の曲の使用をなかなか許可しない歌手だ。リメイクも許可しないが、そんな彼が理解できる。

―それだけ歌手の比重が大きいからだと思うが、そういう意味ではVIXXに対する愛情が格別でありそうだ。

ファン。セジュン:すごい愛情を持っている。実は彼らが私を呼ぶ呼び方を見ると面白い。ヒョシンは“兄”、イングクは親しい話し方の“代表”だが、VIXXは気兼ねする感じで代表”と呼ぶ。ヒョシンとシギョンは仲間のような感じが強くて、イングクはその間、そしてVIXXは自分が生んだ子どもと言っても過言ではないだろう。

―VIXXは昨年、多くのアイドルグループの中で目立つ成果を収めた。

ファン・セジュン:VIXXはまだ大衆的に人気があるというよりは、個性が強い人から愛されているようだ。平凡なものより独特なものが好きな人たちから良い反応を得ている。これを繋げて、大衆からも愛されなければならないが、それが悩みである。ややもすればマニアたちを失うかもしれないという心配もある。それで、両方を満足させるようにディテールに準備している。

―VIXXのカラーを維持するか、それとも変えるかの決定はなかなか難しい問題だと思う。

ファン・セジュン:他のチームとどのぐらい差別化できるかがカギになると思う。今年は大型新人もたくさん出ると言われているので、とにかく差別化が一番大きな問題だ。VIXXが出る時も「これ以上、男性アイドルは成功できない」と言われたが、EXOというものすごい人気を博しているチームもいるし、VIXXも上手く活動している。もはや韓国歌手は音楽的なことだけでなく、パフォーマンスのデザインまでも世界最高になったようだ。

―VIXXが初めて出た時、会社はどんな雰囲気だったのか?

ファン・セジュン:無謀だと思われた。Jellyfishの設立以来、私が無謀だったことが2回あるが、1回はヒョシンとミュージックビデオの撮影でスイスに行ったことだ。パク・ヨンハとパク・シヨンまで連れて30人がユングフラウまで行ったが、まるで独立映画を撮るような気分だった。雲の上から撮影したので、紫外線が非常に強く、火傷して病院にも通った。もちろん、反対する人は多かったが、彼らの話は全く耳に入らなかった。幸い結果は良かった。

―2回目の無謀な挑戦はVIXXの制作なのか?

ファン・セジュン:私がアイドルについてよく分からないから、心配と皮肉を言う声が多かった。でも、一つずつ全部自分でやった。

―なぜVIXXを作ろうと思ったのか?

ファン・セジュン:ソン・シギョンとパク・ヒョシンは同僚で、ソ・イングクはうちの会社の新人ではあるが、“一からの新人”ではなかったから“本物の新人”を育ててみたかった。

―“本物の新人”ガールズグループを育てる計画はないのか?

ファン・セジュン:10人以上の練習生がいるが、まだ誰をデビューさせるかは決めていない。VIXXも10人のうち6人を1ヶ月前に決めた。デビューしたらそんなことを考える余裕もなくなるので、デビューへの切実な気持ちを最後まで満喫してほしい。だからか、うちの練習生たちは比較的まだ純粋だと思う。

―練習の時、スターになる人材がある程度見えるのか?

ファン・セジュン:見えるが、実力と性格のうちどんな基準でデビューのメンバーを決めるかがいつも課題になる。どれだけ改善できるかを予測するのが一番難しい作業だと思う。

―誠実で才能もあるメンバーを探すのか?でも、2つは共存しにくい特性だが。

ファン・セジュン:そうだ。実力があって仲間と仲良くできる人を探す。でも、デビューするために(自分の短所を)隠しているかもしれないし……たぶんこれは全てのことに当てはまる人間の問題の決定版なのかもしれない。

―日本デビューの準備はどうなっているのか?

ファン・セジュン:日本市場は不思議だ。VIXXの場合、まだ日本で活動したことがないのに、昨年に初めて行った公演で5000席を埋め尽くした。ジャンルの差別化のおかげか、K-POPの人気が集客に影響を与えたようだ。

―VIXXと同じようなコンセプトが日本にはないのか?

ファン・セジュン:悲しみを表現するための強烈さが気に入られているようだ。日本のロックバンドのように、日本にも強烈だったり奇妙なコンセプトがないわけではない。でも、悲しくて叙情的なVIXXの魅力が愛されている理由だと思う。

―それは多くのバラードを作曲したから話せることではないと思う。他のジャンルでも悲しみの情緒が重要だという話なのか?

ファン・セジュン:そうだ。曲全体が悲しい必要はないが、50%ぐらいは悲しみを持っていなければならないと思う。人が音楽を聞く時は2つに分けられる。楽しい時と悲しい時だ。他は(偶然)流れるのを聞くだけで、わざと探して聞くことはない。例えば恋人と別れて聞きたくなるほどの吸入力が必要だと思うが、その吸引力の中でも最も強いのが悲しみだ。嬉しくても涙を流すじゃないか。悲しみほど、胸に強くじんと来る感情はないと思う。

―話を聞いていると、喜びより悲しみが強烈な感情のように思える。悲しい感情はパク・ヒョシンが上手く表現すると思うが。

ファン・セジュン:ヒョシンは悲しみを最も上手く表現する“達人”だ。泣く演技も上手いし。生まれつきの才能だと思う。

―再びVIXXの海外進出について話してみよう。VIXXの日本活動の計画は?

ファン・セジュン:今年、日本で正式に活動できそうだ。韓国のアルバムをそのまま日本でリリースするライセンスではなく、正式に日本語のアルバムで日本のファンと会えると思う。

―VIXXはCJ E&Mのグローバル・レーベルであるCJ Victorを通じて日本に進出するが、Jellyfish JAPANを設立する計画はないのか?

ファン・セジュン:進出はまだ難しい。音楽市場も変わり続けているし。

―VIXXはヨーロッパでも人気が高いが。

ファン・セジュン:ヨーロッパの作曲家が作った曲があるためか、人気がある。ヨーロッパの作曲家たちや大衆から反応がいい。「MIDEM」でも感じたが、これまでフランス、ドイツ、スウェーデン、イタリアなどで現地の反応を見て驚いた。現地の人が一緒に歌を歌ったり、ダンスも踊る。

―実はPSY(サイ)の「江南(カンナム)スタイル」もそうだったが、YouTubeの力が大きいと思う。どんなマーケティング案を実行しているのか知りたい。

ファン・セジュン:毎週、「VIXX TV」を公開している。ファンとの約束だから、できるだけ休まないようにしている。もう100回目に近くなっているので、かなり長く続いている。3~5分間の映像を作って共有できるというのがYouTubeの魅力だと思う。曲が普通4分ほどである点を考えれば、非常に短い時間だ。時間は問題にならないと思う。

―自分が作曲したテイの「愛は香りを残して」はかなり長い曲だ。作曲家として一緒に作業した歌手と連絡しているのか?

ファン・セジュン:かなり年をとっている方も多い。テイの場合は「愛は香りを残して」で人生逆転したので、私にとって特別な人だ。

―“代表ファン・セジュン”に充実していると、“作曲家ファン・セジュン”は相対的に比重が小さくなると思うが。

ファン・セジュン:他の作曲家と競争したり、刺激も受けるが、時には寂しくもなる。

―もし今作曲家として活動しても、過去の家内工業の方法が産業化され、作曲家の役割自体が変わった部分がきっとあると思うが?

ファン・セジュン:オンラインで音源のやり取りをするなど、多く変わった。2000年代初めまで音楽がインターネットを通じて行ったり来たりしたら、音質が悪くなると思うほどよく知らなかった。でも、SMエンターテインメントなどはすでにそうしていた。私がFly to the Skyの曲を作業する時もそうだった。パソコンで作ってミックスして作業を終えたが、それをパソコンでアメリカにいるイ・スマン先生に送って、先生が海外で確認すると言われた時、実はあまり気分がよくなかった(笑) でも、数年後、私がそうやっていた。イ・スマン先生は人より先を進んでいる方だ。

―作曲を始めるようになったきっかけが幼い頃の事故だと聞いた。

ファン・セジュン:幼い頃に事故に遭って酷い火傷を負った。それが1976~77年頃で、体の1/3を火傷して、当時は生きられないという話まで出たという。幸いにも奇跡が起きて助かったが、6歳まで正常な生活が難しかった。それで、座ったままできるピアノと美術を一緒に習った。不思議にも美術は上手くできなかったが、ピアノは上手かったという。先生から可愛がられたと聞いたが、今もその先生のことを覚えている。子供の時にピアノを習ったのが私にとってとても特別なことだった。それで、今までこのように働いているから。

―ピアノを習ったとしても、もし自分に合わなかったら職業にならなかっただろう。

ファン・セジュン:それで、両親がクリスチャンであるが、運命を信じる。音楽をしながら苦労したことはない。先輩もとても良い方に出会ったし、運が良くてタイミングがぴったり合った。学校で“ピアノを弾く学生”として有名になったり、中学校の時は当時流行った「冒険野郎マクガイバー」の主題歌を聞いて演奏して話題になったこともある。ハハ。

―FNCエンターテインメントのハン・ソンホ代表と同い年で、交流していると聞いた。でも、ハン代表は歌手としてスタートしたという点で違いがあると思う。

ファン・セジュン:20代の頃から仲良かった。音楽をやっていると寂しくなるが、ハン代表とは同じ年頃で、当時は2人とも若かったからだ。同じ年の作曲家にはユン・イルサンやStoryのイ・スンファンなどがいる。

―作曲家として会社を経営しているため、他の経営者に比べて繊細なリーダーシップを発揮すると予想されるが、自分をどう評価しているのか?

ファン・セジュン:そんな部分もあると思う。私は几帳面な方だ。音楽を作る時も、周りの人が疲れたりした。全体的に几帳面ではないが、私が重要だと思う部分は几帳面になる。

―例えば、マネージャー出身のリーダーとそんな部分が違うと思うのか?

ファン・セジュン:基本的な性向が違うと思う。作曲は作ることだが、マネジメントは管理だから。

―俳優を所属させる計画はないのか?

ファン・セジュン:近くでやる計画はない。でも、機会があれば自然にできると思う。シギョンもMCとして活躍しているし、ヒョシンもミュージカルを上手くやっているから演技もしていることになる。昨年、ミュージカル「エリザベート」も反応が良かった。歌が上手い人は表現力も優れていると思う。

―あ、会社名Jellyfishの意味を教えてほしい。まさかクラゲではないだろう。

ファン・セジュン:好きなバンドの名前だった。社屋や名刺に描かれた魚はデザイン的なものであるだけで、何かに意味を置くことが好きじゃない。アップルもそうやって付けたと聞いた。ハハ。

―今年、Jellyfishはどんな方向に向かっていくのだろうか?

ファン・セジュン:Jellyfishは私の考えかもしれないが、独特な傾向を持つ会社になっているようだ。アイドルだけの会社や従来の歌手だけがいる会社もあるが、Jellyfishはイングクが真ん中にいて、その両側にアイドルと従来の歌手がいる。それで、一種の責任感も生じる。うちは両分野のことをすべて知っているからだ。ソロ歌手とアイドルを両方とも成長させていきたい。収益やビジネスだけ考えれば、アイドルだけ育つのが得だが、もしソン・シギョンやパク・ヒョシンがいなかったら、VIXXは今と違うグループになっていたかもしれない。VIXXのホンビンがパク・ヒョシンのマニアということだけ見ても分かるだろう。

記者 : イ・ジェウォン、写真 : ク・ヘジョン、ペン・ヒョンジュン、翻訳 : ナ・ウンジョン