ノ・ジフン「ミスタートロット」に出演“オーディション番組の経験がなかったら…”
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写真=ビッグダディエンターテインメント
視聴率30%を記録したTV朝鮮「ミスタートロット」は、様々なスターを誕生させたオーディション番組だ。準決勝の舞台を前に残念なことに脱落したノ・ジフンも、確実にそのうちの一人だ。「ロマンチックジフン」というニックネームが表すように、女心をわしづかみにしていた彼だ。ソウル論硯洞(ノンヒョンドン)のあるカフェでTVレポートと出会ったノ・ジフンは、インタビューの間、笑顔を絶やさなかった。やっと迎えた今がとてもありがたく、脱落後も続くラブコールが幸せだからだ。短くないこれまでの活動を振り返りながら「すべて計画がありました」と笑える余裕も少しはできた。
ノ・ジフンが最初に参加したオーディション番組は、韓国で2010年に放送されたMBC「偉大な誕生」だった。当時、TOP8にランクインして顔を知らせた彼は、2012年にソロ歌手としてデビューした。それから7年の時が過ぎ、人生で2度目となるオーディション番組「ミスタートロット」に参加することになった。
「初めてオーディション番組に出た時、“戦争”という表現を使いました。今回も同じです。殴られたところをまた殴られるような気がしました。いや、もっと熾烈でした。心理的なプレッシャーも大きく、体力的にもさらに大変だったと思います。しかし、その代わりにより大きなものを得たようです。より大きな成果、大きな経験、大きな関心です」
プレッシャーはステージの上のノ・ジフンを捉えた。最初の予選ステージでは、ホン・ジニョンの「今日の夜に」を選曲したが、前半でミスをしたため、予備合格者となった。意図せず直面した状況だったが、オーディション番組への出演経験のおかげで、無事に乗り越えることができた。
「一瞬、のどにほこりが入りました。その短い時間にたくさん悩みました。話して止めるべきなのか? それとも、歌い続けるべきか? 恐らくオーディション番組の経験がなかったら、中断していたと思います。しかし、どうにかして最善を尽くして終える方を選びました。最初のステージ以来、『そうだ、毎回成長する姿を見せるべきだから、むしろ良かったかもしれない』という思いで耐えました」
オーディション番組にまた出る気はないという。
「好奇心が多く、挑戦が好きです。しかし、また違うオーディションに出る気は、今のところ全くありません(笑)。それよりは、トロット歌手としてもう少し成長するのが最優先です。そうやって成長して、後々可能であれば、『ミスタートロット』のマスター役で出演してみたいと思います」
歌手ノ・ジフンのトロット人生は「ミスタートロット」の前からすでに始まっていた。昨年5月にシングル「指ハート」を発売し、トロット歌手に本格的に転向したのだ。「ミストロット」でトロットブームが起き始めようとしていた時期だ。とはいえ、予想外の意外な変身だった。
「とてもステージに立ちたかったです。従来のジャンルでは、ソロアーティストとして立てる機会が多くありませんでした。長い空白期を持つようになり、さまよっていました。そんな中、トロットを勧められて、最初は『なんだろう』という気持ちで聞いてみたけれど、意外と良かったです。これまでやってきた音楽とトロットを組み合わせたら、自分だけの音楽ができそうだという確信がありました」
トロットを始めて、すぐにすべてが上手く行ったわけではなかった。ノ・ジフンは相変わらず「音楽を続けてもいいのか」という悩みを振り払うことができずにいる状態だった。そんな中、MBC「覆面歌王」に出会った。韓国で2019年10月に放送された「覆面歌王」で彼は、“月曜病”という名前で歌王戦まであがる快挙を達成した。
「『覆面歌王』のステージは疑いや心配、すっきりしないものを打ち破ることができるきっかけになりました。歌手を続けるのが正しいのか、ステージに立てるだろうか、僕は歌が下手なのかという思いが重なり、スランプではないスランプに陥っていた時期でした。当時、判定団と現場の観客の反応で勇気と力を得ることができました」
振り返ってみると、「ミスタートロット」に参加する前、観客と直接会える大切な瞬間だったのだ。仮面で自分の存在を遮断し、声だけで勝負しなければならない対決。自ら確信を得るために必要なステージだった。
「『ミスタートロット』の前に出演することになった『覆面歌王』は、受験をする前に実力をチェックする模擬試験のような気分でした。個人的にそのような、すべて計画がありました(笑)」
歌手としてのノ・ジフンの他にも、人間ノ・ジフンの人生も着実に前に進んでいる。6年間友達だったレーシングモデルのイ・ウネと、2018年に結婚にゴールインし、同年、息子が生まれた。
「芸能人の同僚や友達の間で、大きな話題でした。実際、周りの多くの人が、結婚と育児について真剣な質問をたくさんしてきました。結婚後、僕の人生は180度変わったと思います。世の中を見る視線、人生に対する態度が変わりました。責任感もできて、幸せだと思うことが増えました」
ノ・ジフン&イ・ウネ夫婦の姿は、韓国で放送されたTV朝鮮「妻の味」を通して見ることができた。
「妻と子供に対する心配が先でした。出演オファーをもらって真っ先に妻のところに行って相談したのは、そのような理由からです。観察バラエティなのでありのままの自然な姿を見せればいいと思い、出演を決めました。まだ十分ではないけれど、優しい夫、尊敬される父親になるのが僕の目標です」
「トレンドコリア2020」で、今年のトレンドとして提示された「マルチペルソナ」という概念がある。状況に合わせて一人の個人が“違う人”に変身し、様々なアイデンティティを持つことを意味する。時には歌手、時には作曲家、時には夫や父親として、様々な場所で、様々な姿を見事に見せているノ・ジフンを表現するにぴったりな概念ではないだろうか。
「すべての方面で何でも上手くやってみせる、そんな人になりたいです。トロット歌手として様々な音楽とコンテンツを作り、ファッション、写真、映像、広告など様々な形でより多くの人とコミュニケーションしたいです。チャン・ユンジョン、パク・ヒョンビン、ホン・ジニョン先輩のように、すべての年齢から愛されるトロット歌手になるのが僕の目標です」
記者 : パク・ヒョンミン