Secret ヒョソン「“女優ヒョソン”が満開になる時?自分だけの魅力を育てることができたら…」

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ヒョソンが帰ってきた。2009年にガールズグループSecretのメンバーとして初めて人々の前に立った彼女は、2014年ケーブルチャンネルOCNで「幽霊を見る刑事チョヨン」(以下「チョヨン」)のハン・ナヨン役として女優デビューを果たした。評価は悪くなかった。高校生であり、無実の罪を着せられて死亡した幽霊役を演じる彼女は、特有のハツラツとした表情と初めて正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)に挑戦したことが信じられないほど自然な感情演技で「チョヨン」に深みを与えている。

「間が抜けたような表情が私の強みです」女優として生まれ変わるための彼女だけの武器について聞いた質問に迷わず答えが返ってきた。やっと掴んだ女優になるチャンスを逃したくないという彼女の言葉の中には、ときめきと情熱が満ち溢れていた。デビュー6年目を迎え“自分の進むべき道”に悩むヒョソン、近い将来彼女が大当たりしそうな予感がする。

―初めての作品だがヒョソンの比重は小さくない。正直キャスティングされたというニュースを聞いた時は“カメオ出演“するのかと思った。

ヒョソン:プレッシャーは非常に大きいです。初めての撮影を終えて出演者の皆さんたちと飲み会をした時にカン・チョルウPD(プロデューサー)から「『チョヨン』での君の役割は大きい。今後もよろしく」と言われて責任を感じました(笑) 本当に台本が擦り減ってしまうくらい読み込み、録音もして聞きました。撮影の間はずっと緊張していました。

―「チョヨン」が完全に事前撮影で撮影されたことが長所であり、短所でもあったと思う。

ヒョソン:リアルタイムで視聴者の反応を見ることができないという点が残念でもあり、幸いでもありました。もし反応が良くなければ大きく振り回されていたかもしれませんが、そのようなこともなく演技に集中することができました。

―通常、ほかの分野から演技に挑戦する場合は小さな役から地道に経験を積むことが多いが、今回のようにいきなり助演級を演じたのは狙ってやったのか?(笑)

ヒョソン:所属事務所がチャンスをくれなかったのです。一度“足演技(大根演技)”をしてしまったらもう二度と演技はできなくなると言われました(笑) 歌手としての地位を固めることが先だと思ったので今までずっと待っていたのかもしれません。そんな中、偶然“ハン・ナヨン”という役に出会いました。

―演技は元々やりたかったのか。

ヒョソン:演技はデビューした時からずっとやってみたかったです。ドラマを見るのも大好きですし、休む時もドラマを見ることが何よりの楽しみです。所蔵しているドラマもかなりあります。演技への意欲はあったのですが、近頃は顔が綺麗でないとキャスティングされないので……中々言い出すことができませんでした。

―初めての正劇とあって難しいこともあったと思う。

ヒョソン:オーディションを受けた時のことを今でも鮮明に覚えています。やる気満々でA4用紙にキャラクターを分析してオーディションに挑みました。「ハン・ナヨンは正義感に満ち、凛々しく前向きで、可哀想な子で、身長は160センチで髪型は短髪、嬉しい時は歯を見せながら笑うような人物です」と、自分なりにアピールしました(笑) 実際に演技をしてみてキャラクターの性格と自分が似ている部分が多く、楽しんで撮影することができました。

―幽霊役は簡単ではなかったと思う。セリフを言う時もセリフを合わせてくれる相手がいないため、幽霊の演技は“演技が上手い”俳優にとっても難しいことだと思う。

ヒョソン:感情をやりとりする相手がいないことが一番大変でした。幽霊なので別で先に一人で撮影したり、また一緒に撮影しなければならない時も多かったです。警察署から抜け出せなくて放り出されるシーンではそれなりにアクションもありました。その時は歌手活動をする中で身体をたくさん動かしていたことが役に立ちました。慣れなかったのはストーリーの順番通りに撮影できなかったことです。撮影の順番がごちゃごちゃになっていたのでキャクターの感情を掴むことが難しくて混乱しました。役者というのは誰にでもできることではないのだなと思いました(笑)

―第5話で恨みから悪霊になった外国人労働者を説得するシーンが印象的だった。同情と共感が混じった哀れむ感情がよく伝わってきた。ヒョソン自身が一番気に入っているシーンは?

ヒョソン:ああ、そのシーンはセリフ自体が悲しかったので自分でも知らないうちに集中していました。家族に仕送りするために韓国に来たのに、あのようなことが起こってどんなに辛かっただろうと思うと……一番気に入っているシーンは死ぬ演技でしょうか?一度でOKサインをもらえました。刃物で刺された経験もなく、そのような状況に置かれたことがなかったのでどんなものか想像できませんでした。撮影の時は緊張していたので気づきませんでしたが、放送を見てみたら悲しい感情がよく表現できていました。

―演技の経験が少なく、現場で学ぶこともたくさんあったと思う。オ・ジホ、オ・ジウンと共演してみて感じたことは?

ヒョソン:実生活と演技とでは大きく違いました。演技は動きながら話して、再び動きます。また、感情を表現した後にセリフを言わなければならないことに苦労しました。現場で先輩たちを見ながらそれらの繊細な部分を学びました。

―オ・ジウンとは特にたくさん話し合ったと思う。ドラマの中でのハン・ナヨンに憑依されたハ・ソヌ(オ・ジウン)は、ハン・ナヨンと全く同じように動いている。

ヒョソン:その通りです。全く同じなので見るたびに驚きます(笑) オ・ジウンさんとは撮影前からお会いして親交を深めました。二人で演技を合わせてみたりして、たくさん話し合いました。

―先程ドラマを見ることが趣味と話したが、「チョヨン」以降は出演オファーも増えると思う。どんな役をやってみたいのか。

ヒョソン:「明朗少女成功記」のチャ・ヤンスン(チャン・ナラ)や、「コーヒープリンス1号店」のコ・ウンチャン(ユン・ウネ)のような役を演じてみたいです。あと、私と“キャンディ(漫画キャンディ・キャンディの主人公。お転婆で、元気に困難を乗り越えるキャラクター)”のキャラクターがよく合いそうだと思います。

―“キャンディ”の役がよく合うというのはどんな意味なのか。最近辛いことでもあったのか(笑)

ヒョソン:幼い頃から一生懸命生きなければならないという強迫観念がありました(笑) 辛いことがあっても笑って前向きに考えるところが私と似ています。若い年齢でデビューしたせいか、最近休暇を貰ってもそれが贅沢なように感じます。

―歌手としてデビューし、「チョヨン」で女優に変身した。もう20代半ばになったが、夢を叶えるための計画もだいぶ変わったと思う。

ヒョソン:歌手としてのプレッシャーと責任を同時に感じています。これまで“Secret”のメンバーとして親しまれてきたので、“ヒョソン”としての魅力もお見せしたいです。また、役者は歌手に比べて年齢制限もあまりありませんし、何より演じられるキャラクターが多様です。演技活動を本格的に開始したら皆様にお見せできる部分が増えると思います。

―歌手もそうだが、役者の世界も競争が激しい。この厳しい争いを勝ち抜くための自分だけの武器はあるのか。

ヒョソン:間が抜けたような表情でしょうか?(笑) 綺麗過ぎると簡単に飽きられてしまいます。私はある時は綺麗で、ある時はそうではなく。またある時は可愛くも見えます(笑) 今回「チョヨン」を撮影する中で周りの方々に「肌が画用紙のように真っ白だ」と褒められ、どう飾るかによって八色鳥(八つの色を持っている鳥、多彩な魅力の例え)のように変わると言われました。これは女優にとって必ず必要な武器だと思います。

―いくら強力な武器があったとしても運も無視できない。“女優ヒョソン”として花が満開になるのはいつになるだろう。

ヒョソン:10年ほどかかると思います。時には酷評に悩まされ、危機を迎えることもあるかもしれませんが、困難もなく成長したら長続きしないと思います。私はファンたちに「一緒に歳を重ねて行こう」と話していますが、それを実現するためにはやらなくてはならないことも多いです。誰も私の代わりは出来ず、私にしかない魅力を持ち、さらに人の役に立つ人間にならなければいけません。芸能界に足を踏み入れてから色んなことがありました。一つ分かったことは、自分を他人と比べないことです。そして自分を認め、自分だけの魅力を育てることです。その日が来れば私も“満開になった”と言えるようになると思います。

記者 : キム・グァングク、写真 : ク・ヘジョン、翻訳 : チェ・ユンジョン