ソ・ジソブ、率直さを武器とする彼の七変化

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変化に富んだソ・ジソブ

彼より完璧に自身のキャラクターに入り込む俳優がいるだろうか。時と場所によって、そしてキャラクターと身に付ける衣装によって、彼はいつも違う雰囲気、違う姿で私たちの前に立つ。そして常に期待を裏切らず、常に期待させてくれた。“スター”というイメージより“俳優”というイメージを与えたいと正直に語る、常にイメージチェンジを試みる変化に富んだ男。彼のイメージチェンジが今始まる。

率直さが武器の俳優ソ・ジソブ

短く刈り上げたヘアスタイルで現れたソ・ジソブは、女性視聴者の心をときめかせた「主君の太陽」での姿とは全く違う男性的な魅力を漂わせた。寡黙に見えるイメージとは裏腹に、30代の男性だけが持てる余裕や、質問に答えた後しばらく考え込み、さらに言葉を付け加える慎重な面を見せた。先日の授賞式で嘘の演技をしたようだと自ら告白した彼は“スター”より今は“俳優”というイメージが先に付いて欲しいと、胸のうちを明かした。

―今回のグラビアで7パターンのイメージチェンジをした。一番お気に入りはどれか?

ソ・ジソブ:一番シンプルなのが良かった。ニットを楽に着たもの。普段人目を気にせず服を着るタイプだ。自分が着て楽な服が好きだ。トレーニング服を着る時もあり、冬に半ズボンを穿いたりもする。今日も半ズボンに長いズボンを重ね着した。クローゼットには主にブラック系が多い。

―昨年出演した「主君の太陽」は初のラブコメだった。

ソ・ジソブ:自分にとっては挑戦だった。違うものに挑戦してみたかったし、今までしてきた演技や自分のイメージ、雰囲気から抜け出しかったが、簡単ではなかった。軽く見えてしまうという心配はなかった。ただ、自分がその人物を上手く演じられるか不安だった。最初はとてもぎこちなく、視聴者も違和感があっただろう。幸い作品に迷惑はかけていないようだ。また、コン・ヒョンジンはラブコメが本当に得意だ。

―チュ・ジュンウォンの話し方も非常にユニークだった。

ソ・ジソブ:ラブコメなので、ノーマルな台詞では面白くないと思いポイントを与えた。「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のチャ・スンウォン先輩と比べられると思ったが、それを除いてしまうとキャラクターがあまりにも地味になった。手の仕草も一緒だ。

―「主君の太陽」以来明るくなった気がするが。

ソ・ジソブ:作品の影響が確かにあると思う。昔より言葉数が増えたというよりは、コミュニケーションのために若干の妥協をしたのだ。寡黙なほうだったが、そうすると相手が大変そうだった。

―仕事を一緒にしたことのある人たちは、意外と面白い性格だと証言した。

ソ・ジソブ:作品の時はそうする必要がある。そうしないと相手とよそよそしくなるからだ。良い関係を保つと演じるときに役立つ。それに少しは気づいて、たくさん話そうと努力する。基本的に主人公がじっとしていると雰囲気があまり良くない。

―SBS演技大賞で“魔法使いファッション”を披露した。

ソ・ジソブ:放送で話したように、家にいる服を適当に着た。メイクもしなかった。普段も撮影がないとスタイリストも使わず、メイクもしない。ちょっとでも大賞を期待していたら、あのようには着なかっただろう(笑) 着てみて自分でも魔法使いみたいだと思った。帽子は数年前、ファンから貰ったものだ。

―スランプだと打ち明けた。

ソ・ジソブ:役者としての生活を始めてから20年近くになるが、成長痛を経験しているようだ。「ファントム」の前から考えていたことが、未だに続いている。演技をする時、自分の思い通りにコントロールできないと感じた。昔したことがあるのにどうしたんだろうとも思い、新しいものをすると違和感があった。そういったことが積み重なり、その後演技をすることが難しく、苦しく、更には恐いとまで思った。嘘の演技をしたようだという表現は、本当に率直な気持ちだった。演技は嘘が99で真実が1だ。99の嘘をどう覆うかの問題だが、全くそれができていなかったと思った。だから自分が嘘の演技をしたと思い、その気持ちを表現した。

―そのような悩みがあるとは想像できなかった。

ソ・ジソブ:誰にも悩みがあり、スランプが来る。分類は曖昧だが、スター俳優とただの俳優の間の過渡期だと思う。ただの俳優になるために頑張っている。簡単に例えるとレオナルド・ディカプリオが「ロミオとジュリエット」のイメージが嫌いで、そこから脱出するために体重を増やしたように。

―演技大賞で“可愛い子ちゃん”ポーズもとってくれた。

ソ・ジソブ:あの短い瞬間にそれをしないと変な雰囲気になっただろう。楽しむために行ったので、もう少し時間があったらもっとしていたと思う。あの服装(魔法使いファッション)で行った時のイメージは“今日の自分はピエロだ”だった。人々に楽しさと幸せを与えられそうだった。

―格好いいイメージだが、みっともない役もできるのか。

ソ・ジソブ:怖くはない。「主君の太陽」も放送がスタートした頃は違和感があったが、時間が経てば解決されるだろうと思った。大事なのは台本で、みっともない姿を見せるのは面白い。

―先日「無限に挑戦」でビンタされる体を張ったギャグもこなした。

ソ・ジソブ:バラエティに出演した以上、それに合わせるのが当然だと思う。格好つけるために出たわけではないので。体を張ったギャグが好きだ。今度出演したら、またそうすると思う。弱くすると面白くないので、ある程度力を入れてビンタした。呼んで頂ければまた出演すると言ったが、コンセプトが合えば約束は守る。

―他のバラエティへの出演は?

ソ・ジソブ:それは検討しなければならないと思う。「無限に挑戦」は、以前の関係もあり、いつも僕のことについて言及してくれる。撮影現場にも差し入れを頂いたりと、色々と世話をしてくださった。もちろん(チョン)ジュナ兄さんとも親しい。だから出演しただけで、普通のバラエティに出演したら、自分の居場所じゃないようで違和感があり難しい。

―デビューしてもう20年近くなるということが信じられない。

ソ・ジソブ:1995年に「STORM」のモデルとしてデビューし、97年SBSドラマ「モデル」に出演した。自分の人生の半分を演技している。そのため、生涯の職業について悩むようになった。俳優が自分の天職ではないと思う。僕はタレントの気質があるというよりは、努力するタイプだと思うが、それが尽きてしまったようだ。演技をする時何か寂しく、空になっているようで、機械的で技術的にしている感じがしてもどかしかった。心が入ってない気もした。2年間悩んでいるが、ある瞬間、自然に解決するのではないかと思う。

―キャリアが長いのにそのような悩みがあるとは驚きだ。

ソ・ジソブ:「10年ほど演技をすると上達するだろう」と言うが、まったく違うと思う。先輩の方々にたまに大変だと言うと、時間が解決してくれると答えてくださる。たくさん悩んでも何の役にも立たないと、流れるものだと。先輩の方々もみんな、演技について悩んでいる。20代の時はよく分からなかったが、この場にいることがとてもぎこちない。歳の問題ではなく、若い後輩と一緒に舞台に立っていて良いのかなと思ったりする。若い後輩たちにこの場を譲り、他のところで悩むのが正解なのではないかと思ったりもする。“スター”と呼ばれることを無視するのではないが、“俳優”という感じが伝わる人になりたい。

―所属事務所の名前でもあるが、51kの意味は?

ソ・ジソブ:僕が好きな数字だ。世の中に完璧なものはないと思う。僕は常に49%だと思い、51%に向かって走っていく人だ。kはキングダムだ。自分だけの王国を立てたい気持ちだ。主君でキングダムショッピングモールの社長だったが、キングダムの前は元々城だった。作家の先生に知ってから変えたのかと聞いたが、知らなかったという。

―音楽に非常に愛着を持っているようだが。

ソ・ジソブ:脱出口というか。本当に好きでしている。仕事だと思えばできないと思うが、ずっと続けたい。たまにだが、ステージで観客と直接会うのは楽しかった。歌手たちがなぜステージに立つのか分かる気がした。俳優とは違う楽しさがあると思う。今年はアルバムを出す予定だ。

―最近の作品はドラマだったが、体力的にはどうだったのか。

ソ・ジソブ:正直言って今は多少体力が足りない感じだ(笑) 1年に5~6ヶ月間ドラマ撮影をすると力が尽きてしまう。主役たちは2時間、ある時は1時間寝てからまた演技する。寝起きで演技する時も多い。後半になると機械的になり、自分が演技をしているのかただ機械で何かを作っているのか分からなくなる時もある。しかし、映画も短所がある。ゆっくり流れるので感情の維持が難しい。ドラマは体力的に大変だが、テンポが速くその感覚をそのまま持続できる。寝ていてもその感覚はずっと残っている。

―頻繁にアメリカ旅行に行くそうだが。

ソ・ジソブ:旅行が好きだが、行けるところがあまりなく、たまにアメリカに行く。コリアタウンと遠く離れたところで本当に楽だ。2、3日間洗顔もせずに外に出てご飯を食べたりする。そのような自由が好きだ。韓国で出歩くことも数年前までは大丈夫だったが、携帯にカメラが付き、Twitterが出来てからは少し不自由になった。

―「無限に挑戦」を見ると、日常が運動だった。

ソ・ジソブ:スケジュールがなければ起きてご飯を食べて運動して家に帰るタイプだ。運動が僕にとっては生活だ。俳優が視聴者と観客に健康な姿を見せるのは当然のことだ。健康的なマインド、健康な体であることが重要だと思う。運動が1つの大きなスケジュールだが、正直なところ、したくない。3~4時間毎日時間を作ることも難しい。それでも週に6日は必ず運動をするようにしている。

―プロフィール写真にハンバーガーセットを掲載しているのを、クァク・ドウォンが公開したが。

ソ・ジソブ:長くこの仕事をしているので、どれほどの体重で画面に綺麗に映るのかを知っている。目標体重近くを維持するためにはダイエットが必要だ。写真の撮影をするとそれがはっきりと出てくるが、それが苦痛で大変だ。今は多少体重が増え「主君の太陽」が終わってから7~8kgほど増えた。この仕事をしながらこの体重で写真撮影したのは初めてだと思う。

―ハンバーガーは食べなさそうなイメージだが、好きな食べ物は?

ソ・ジソブ:脂っこい料理が好きだが、食べるとすぐ太る。ダイエットの時に思い浮かぶ料理があるじゃないか。ジャージャー麺、ラーメン、トッポギ、チキン、ハンバーガー。他の人たちと一緒だ。

―30代後半だ。結婚する予定はないのか。

ソ・ジソブ:周りからも結婚しなさいとよく言われ、僕もしたい。良い人がいればすると思う。最近は付き合う人がいると隠せないじゃないか。彼女が出来たら僕は先に発表する。もう隠す歳でもないし。1人でいることが嫌いだが、良い時もある。生涯一緒に暮らす人と合わせて行き、頼ることも出来て、誰かが僕のことを愛し、世話を焼いてくれるのであれば、悪くないと思う。40を超えて結婚すると思うと仕方なく、自分の意志とは関係なくするようだ。今からしっかり準備して良い人に出会ったら結婚する。

―最後に言いたいことは?

ソ・ジソブ:僕ももう40近いので読者の皆様に一言言うのであれば、面白く、楽しく、幸せに暮らして欲しい。後で幸せになるために今一生懸命に走っているが、今働きながら幸せでないと、果たして後で幸せになれるだろうかと思う。今を楽しみながら幸せに、健康に働いてほしいと思う。

記者 : クォン・スビン