“演劇デビュー”チン・セヨン「赤色の演技、楽しみじゃないですか?」

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写真=AGA Company
“死ぬほど走る”という名前の劇団が思い出される女優がいる。それは、チン・セヨンのことだ。昨年、ドラマの主演として三本の作品に出演したことを考えると、ベッドでぐっすり寝るよりはうたた寝をするしかなかったという表現の方が正しいだろう。そんなチン・セヨンが、今回は演劇に挑戦し、ストリッパーのアリス役を演じる。チン・セヨンの海外のファンは、わざわざ韓国を訪れて演劇を鑑賞するほどだ。

ところで、演劇「クローザー」でのイメージは、ドラマでのイメージとは正反対で衝撃的だ。中年の男性に平気でタバコを勧め、片手には酒の瓶まで持っているチン・セヨンの舞台での姿は、清純でか弱いドラマでのイメージとは正反対の衝撃的な変身と言わざるを得ない。「クローザー」でアリスを演じるチン・セヨンと4日、大学路(テハンノ)で会った。

―恋愛をしていれば、劇の状況がもっと理解できたはずだが、恋愛をしていない状況なので感情移入しにくい面があったのではないか。

チン・セヨン:私が演じるアリスは、ストリッパーという職業のせいで沢山の男性と出会っているように見えるけどそうではなく、心の中に寂しさを抱える女性だ。寂しさを消すために誰かに頼りたいと思っていたとき、デンが近づいてきて恋に落ちる。アリスはデン一人だけを愛する。

私は一人の相手だけを愛するべきだと基本的に思っているので、一人の男性だけを愛するアリスがとても理解できるし、可哀そうだとも思う。アリスはキャラクターだけを見ると明るいけど、二十歳ならではの素直さを持っており、楽しんで演技できるキャラクターだった。

「クローザー」は台詞の多い作品だ。先輩の方々が台詞に感情を入れるべきだとアドバイスをしてくれたとき、最初はよく分からなくて難しかったことも事実だが、練習をしながら「これだったんだ」と気づくことが多かった。

―「クローザー」は愛の始まりと終わりはあるが、過程が見えない。

チン・セヨン:全体が12章まである。第1~4章までは登場人物の出会いを見せる。第1章でアリスとデンが出会い、それから第5章に移る。だが、第5章ではすでにデンとアリスは別れた状態だ。そうするうちにいきなり第11章ではデンと再会するので、関係が進展する過程は見えない。

―プレスコール当時「ハツラツとしたアリスを見せる」と話した。アリスを演じれば演じるほど変わってくる点があったのか。

チン・セヨン:舞台に立って間もない頃は、私なりに分析した通りにキャラクターを演じることが難しかった。最初はタフで男らしく、自分が思った通りに人が動くと思っている自己中心的なキャラクターだと思った。だが、舞台に立てば立つほどラブリーでハツラツとしたキャラクターに変わってきた。

―デンと初めて出会うとき、チン・セヨンさんは男性俳優の前で靴を脱いで足を上げておかなければならなかった。

チン・セヨン:ソ・ボムソク先輩が「こんなに熱心にする俳優は初めて見た」とおっしゃったように(足の匂いがしないように)香水を熱心につけている(笑)

―片手には酒のビンを持ってラリーにさりげなくタバコも勧めなければならない。

チン・セヨン:普段タバコを吸わないので本当にタバコを吸わなければならないと言われたとき、最初は冗談だと思った。「本当ですか?」と聞いたが、心の中では「違うだろう」と思っていた。タバコを吸ったことがないので最初はライターで火をつけることだけでも苦労した。公演中、時々タバコに火がつかなくて冷や汗を流すときもある。

アリスは演じたいキャラクターだったので、酒やタバコの演技も乗り越えなければならない部分だったが、私を見る観客の立場からは衝撃的に見えるかもしれない。キム・ヨンピル先輩からは、「俳優は酒をかっこよく飲んで、タバコも素敵に吸わなければならない」と言われたことがある。家で空き瓶でも持って飲む演技をしろというアドバイスを聞き、家でワインボトルを持って沢山練習をした。

―40代の俳優に寄りかかるコンセプト写真も撮らなければならなかった。

チン・セヨン:父親と写真を撮る感じ?とても温かかった(笑)

―2012年はドラマで非常に忙しかったが、今年はリフレッシュの時間を沢山持っている。

チン・セヨン:作品を始める前、撮影の傍らで外国に行ってきた。いつかは演劇をしてみたいと思っていた。機会があればステージに上がれればいいなと思っていたけど、その機会が本当に早く来たのだ。本格的に演技を始めようとエンジンをかける気持ちでステージに上がった。演技で癒される感じだった。作品をしながら新しい人に沢山出会うこともできた。

ドラマと映画はカット単位で演技しなければならない。だが、演劇はカット単位ではなく全体的に考えながら作業をしなければならない。例えば、あるシーンでは相手の俳優を見ながら台詞を言わなければならないが、観客には私が正面を見ながら台詞を言った方がずっとよく伝わるという反応を見たときに難しいと思った。それでも公演は1、2ヶ月以上練習して、観客により完璧な姿で近づくことができるジャンルであるだけに、魅力的なジャンルであることに違いない。

―自分の演技を絵の具で言うとどんな色だろうか?

チン・セヨン:どの俳優からも言われるが白色だ(笑) どんな色を入れても似合うし、美しく見える色だから。私が演じるアリスは赤色だと思う。どこから見ても目立つ色。情熱的な色だが、美しくも怖くも見える色が赤だ。これからどんな色をお見せするのか楽しみではないか(笑)

―「クローザー」はチン・セヨンの舞台デビュー作だ。12月に公演を終えると、どのような作品として残ると思うのか?

チン・セヨン:残念に思うところが多いと思う。他の作品をしても「クローザー」のアリスほど魅力的なキャラクターに出会うことは難しいだろう。私の演技人生の中で特別な作品として残るはずだ。

―ドラマを終える度にいつもどんなことを感じるのか?

チン・セヨン:いつも終わったという感じがしなかった。撮影は終わったのに翌朝になると「撮影に行かなくちゃいけないはずなのに、なんで家にいるんだろう」という気分だった。

―新人女優賞を受賞したときの感想を聞かせてほしい。

チン・セヨン:一昨年はSBSで、昨年はKBSで賞をいただいた。賞を受ける度にとても感謝した。チン・セヨンという女優をよく見ていただいて賞をくださったと思うので、これからも熱心に演技に励もうとしている(笑)

―一度やれるかどうかのドラマの主演を1年間になんと3回も務めた。人々によく気づかれるのではないか。

チン・セヨン:キャスティングされる度に「監督はなぜ私を選んだのだろう」と気になった(笑) 当時は熱心に演技をしなきゃと思うだけだったけど、振り返って考えてみるととてもありがたいことだった。街中ではよく気づいてもらえる。しかし、不思議なことに街の外に行くとほとんど気づかれない(笑)

記者 : パク・ジョンファン