「主君の太陽」ソ・ジソブ vs 「最高の愛」チャ・スンウォン、ホン姉妹の描く気難しい男たち

OSEN |

悪い男?気難しいが、憎めない。むしろ気難しさの裏に人知れぬ傷を隠している彼らにもっと引き付けられる。「女性は悪い男性が好きだ」という俗説を立証するかのように、最近のドラマでは“カドナム”(気難しい都市の男)“チャドナム”(冷たい都会の男)ブームが続いている。高慢で気難しいが、それ以上にもっと惹かれる彼らの魅力が女性視聴者の心をしっかりと掴んでいるこの頃だ。

俳優ヒョンビンは2010年末から2011年初めまで放送されたSBSドラマ「シークレット・ガーデン」を通じて、凄まじいカドナムブームを巻き起こした。傲慢で気難しいが、決して憎めない愛らしいキム・ジュウォン役に扮し、名実共に最高のスターになった。続けてその年の夏、ホン姉妹(ホン・ジョンウン、ホン・ミラン)が再び唯一無二のカドナムキャラクターを誕生させた。それは、MBCドラマ「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のトッコ・ジン(チャ・スンウォン)だ。“天上天下唯我独尊”のトッコ・ジンはチャ・スンウォンのコミカルながらも自然な演技と相まって話題を集めた。

最近では俳優ソ・ジソブがホン姉妹と出会い、再び悪い男ブームを巻き起こしている。「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のトッコ・ジンと似ているようでまた違った魅力を見せているSBS水木ドラマ「主君の太陽」のチュ・ジュンウォンである。傲慢でお金にしか興味のない厳しい人物だが、決して憎めない妙な魅力を持ったキャラクターだ。新しく発見されたソ・ジソブの気難しい魅力のおかげなのか、「主君の太陽」第1話の視聴率は13.6%(ニールセン・コリア、全国基準)となり、引き続き上昇している。15日に韓国で放送された第4話は16.8%で自己最高視聴率を更新し、水木ドラマ1位に輝いた。

しかし、一部ではチュ・ジュンウォンとトッコ・ジンのキャラクターが余りにも似ているのではないかという意見が出ている。もちろん、二つのキャラクターは気難しく自己中心的な面からユニークな口調までかなり似ている。特に、チュ・ジュンウォンとトッコ・ジンはホン姉妹が作り出したキャラクターであるため、似ているところが多く見られることも事実だ。だが、トッコ・ジンを演じたチャ・スンウォンから意外の魅力を見つけたように、チュ・ジュンウォンを演じているソ・ジソブもこれまでのドラマでは見られなかった新しい姿を見せている。果たして、ソ・ジソブが演じる気難しい男チュ・ジュンウォンがトッコ・ジンを超えるほどのまた違った魅力で“カドナムシンドローム”を巻き起こすことができるのだろうか。

「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」チャ・スンウォン、カドナムとロマンチストの間

2011年夏、視聴者はトッコ・ジンの魅力にハマッた。セクシーでありながら優しくて完璧な男、それにトップスターである「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のトッコ・ジンは当時、女性視聴者からの高い支持を得た。天上天下唯我独尊の彼はファンには限りなく優しいが、自身の地位に相応しくないと思われる誰かには完璧に冷静な人物である。時には突飛で、可愛くて幼稚な魅力まで見せてくれる。自信満々でセクシーなチャ・スンウォンのイメージをよく生かしたキャラクターだと評価されている。

最後まで気難しくて傲慢に見えたトッコ・ジンも、“何をしても非好感”で“国民のミプサン(小憎らしい人)”と呼ばれるク・エジョン(コン・ヒョジン)に会ってから少しずつ変わる。気難しいが可愛くて、ときにはロマンチックになるトッコ・ジンは彼だけの独特な魅力で視聴者を虜にした。ク・エジョンのことが好きなもう一人の男、ユン・ピルジュ(ユン・ゲサン)に向けて可愛い嫉妬を見せることでよりラブリーなキャラクターを作り出す一方、桜の木の下で愛を告白するなどロマンチストらしい一面も見せた。

特に、トッコ・ジンの個性が表れるユニークな口調は彼の魅力を最大化した。ク・エジョンに心を奪われた自分が余りにも恥ずかしく、告白ではなく自白だと言いながら「克服~」と叫ぶトッコ・ジンは様々な魅力で笑いを与え、その年最高のキャラクターになった。傲慢かつコミカルで、ラブリーなトッコ・ジンはカドナムキャラクターの新しい歴史の一ページを開いた。


「主君の太陽」ソ・ジソブ、視聴者の心まで掴む魔性のカドナム

「主君の太陽」のチュ・ジュンウォンは、金持ちの財閥にもかかわらず、全ての人間関係を徹底的にお金だけで計算する気難しいケチな人物で、もしかすると自身に被害を及ぼすことが起きるのではないかと恐れ、全ての人間に容赦なく毒を吐く。しかし、彼にも隙はある。学生時代に経験した拉致事件によって失読症を患っている彼は、秘書キム・グィド(チェ・ジョンウ)なしには契約書一つもまともに作成することができず、初めて運転に挑戦した際にはカーナビに話しかける。完璧に見える姿の中に隠れていた隙は、チュ・ジュンウォンの意外の魅力を際立たせる。

それだけではなく、たまに見せるロマンチックな姿も女性視聴者からの熱烈な支持を得ている。彼に面倒をかけるテ・ゴンシル(コン・ヒョジン)を拒みながらも心の中では彼女を心配している。第4話では恐怖に怯えているテ・ゴンシルのもとを訪ねて彼女を抱きしめ、悪い男の中に隠れているロマンチックな一面を見せた。

気難しく毒舌を吐くが、その中に隙とロマンチックな一面を隠しているこのキャラクターは、ホン姉妹流のカドナムキャラクターを代表する典型的な特徴を持っている。だが、トッコ・ジンと似ていながらもチュ・ジュンウォンから彼だけの魅力を感じられる理由は、ソ・ジソブのためだ。主に献身的で正義感が強く、まっすぐで重い人物を演じてきたソ・ジソブが初めてカドナム役に挑戦したことで、それなりに新鮮な印象を与えている。チュ・ジュンウォンとトッコ・ジンの両キャラクターに似ている部分が多いとしても、誰が演技するかによって同じキャラクターでも全く違ってくるように、チュ・ジュンウォンもトッコ・ジンとは違う彼だけの魅力を持っていることを否定できない。もし、チュ・ジュンウォンをチャ・スンウォンやヒョンビンのようなすでにカドナムキャラクターを演じたことのある俳優が演じていれば、彼の魅力は確かに半減したはずだ。

記者 : ソン・ミギョン