「君を守る恋」「君の声が聞こえる」…人の心が読めて幽霊が見える超能力がないと、ドラマの主役にはなれません

10asia |

お香を焚くだけでタイムスリップができる世の中(tvN「ナイン~9回の時間旅行~」)、人間以上の身体能力を持つ神獣(MBC「九家の書」)、相手の心が読める超能力(SBS「君の声が聞こえる」)、そして、幽霊が見える(tvN「君を守る恋~Who Are You~」、SBS「主君の太陽」)まで多様なファンタジードラマが揃っている。

ファンタジー要素を丁度いい具合に加えたドラマたちが相次いで人気を博している点から見ると、非凡な能力がないと、今やドラマの主人公にはなれない。バラエティは次第にリアリティーを強調しているが、ドラマはむしろファンタジーが主流になってしまったアイロニカルな状況だ。

「君を守る恋~Who Are You~」で幽霊が見える特殊捜査科シオンの物語を描いているチョ・ヒョンタク監督は、「生きることが大変な時代だからではないでしょうか。大学を卒業しても今は何の役に立たない世の中になってしまいました。この世で生きるということがだんだん辛くなり、不可能なことが増える現実で、想像だけでも可能な超能力に対する渇望が、映画やドラマという媒体を通じて表出されているのかもしれない」と彼の考えを述べた。

厳しい現実から抜け出したいそわそわした気持ちのせいで、私たちはドラマの主人公の超能力で代理満足しているのではないのだろうか?

しかし、これらのドラマが人気を博すことができた理由は、徹底的なリアリティの中で描かれたファンタジー要素が大きく作用した。「ナイン」「九家の書」「君の声が聞こえる」の中の人物たちは、ファンタジー要素を除外すると極めて現実的なキャラクターであり、彼らが具現した職場で起きたエピソードもありそうな出来事の連続だった。

それだけではなく、ファンタジーを通じて伝えようとした深いメッセージをしっかりした物語の中に盛り込んだ点も、彼らの作品が成功した要因だった。私たちはタイムスリップする主人公を通じて、現実に忠実にしなければならないという「ナイン」のメッセージを胸に刻み、「九家の書」で神獣を疎外する人間、そして「君の声が聞こえる」で相手の心が読めるが、深く心に傷を負ってしまった主人公を通じて、信頼がどんなに大切なものか知ることができた。

チョ・ヒョンタク監督も「君を守る恋~Who Are You~」で本当に伝えたかったメッセージはファンタジーではなく、現実に存在する。「君を守る恋~Who Are You~」が伝えようとしたことも、ヒロインの幽霊が見れる能力ではなく、全ての記憶が消えても依然として残っていたもの、それは誰かから愛された心の記憶だった。全ての記憶が消えてリセットされた状態でも、依然としてそのまま残り、その光を放つ驚くべきの心の力、一人の女性の心を辿りながら物語を描こうとした」と伝えた。

記者 : ・編集 : ペ・ソニョン、翻訳 : チェ・ユンジョン