Vol.1 ― 放送終了「サメ」ウェルメイドだからこそ勿体無い“未完の復讐劇”

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※この記事にはドラマ「サメ ~愛の黙示録~」の結末に関する内容が含まれています。
写真=KBS 2TV「サメ ~愛の黙示録~」スクリーンショット
30日、第20話を最後に放送終了したKBS 2TV月火ドラマ「サメ ~愛の黙示録~」(脚本:キム・ジウ、演出:パク・チャノン、チャ・ヨンフン)はキム・ジウ脚本家、パク・チャノン監督の前作「復活」「魔王」に継ぐ復讐シリーズの完結編として大きな関心を集めたが、ドラマ前半の遅い展開のため視聴率の確保に失敗し、結局“マニア向けドラマ”となってしまい、心残りのある最後を迎えてしまった。

また、復讐の最終的な対象であるチョ・サングク(イ・ジョンギル)会長の笑顔と共に、主人公ハン・イス(キム・ナムギル)が死ぬ結末は、復讐劇ならではの痛快な面白さを半減したとの指摘だ。

復讐の対象を完全に破滅させた脚本家と監督の、前作のような復讐劇を期待していた視聴者たちの失望感が混じった感想が放送直後、視聴者掲示板とドラマ関連サイトで相次いで掲載されている。しっかりとした復讐を始めるイスを見るまでの時間も、あまりにも長かった。

ヒロインのチョ・ヘウ(ソン・イェジン)を既婚女性として登場させ、イスとのロマンスに燃え上がることが出来なかった点もこのドラマに対する決定的な弱点として指摘されている。トップスターキム・ナムギルとソン・イェジンをキャスティングしておいて、きちんと活用できなかったのだ。

これはラブストーリーにセンスのある2人の俳優の切ないラブストーリーを期待していた多くのファンと視聴者をがっかりさせた。

しかし、居昌(コチャン)良民虐殺事件、済州(チェジュ)4・3事件、南営洞(ナムヨンドン)拷問技術者など韓国の暗い歴史を背景にしたチョ・サングクの悪行ストーリーは、「サメ ~愛の黙示録~」の見どころとして長く残ると見られる。歴史的な要素が加わり、「サメ ~愛の黙示録~」は単なる復讐劇以上の完成度となった。

復讐を実行するハン・イスが、父ハン・ヨンマン(チョン・インギ)が残虐な拷問技術者という事実を知ってから感じた絶望感は「見えるものだけが、信じたいと思うものだけが真実ではなく、人に復讐するときは自分をしっかり見つめる必要がある」という大きな教訓を伝えた。

すでに多くの作品で演技力が認められたキム・ナムギル、ソン・イェジン、イ・ジョンギル、キム・ギュチョル、パク・ウォンサン、チョン・インギなどは言うまでもなく、キ・グクソ、イ・ジェグなど、主に演劇舞台で活動する演技派俳優のキャスティングは「サメ ~愛の黙示録~」が残した大きな財産だ。

特に「サメ ~愛の黙示録~」の中で無名の俳優たちは役割になりきった姿で視聴者の集中度を助けた。「復活」で刑事役を演じ、今や韓国映画界でなくてはならない独歩的な位置に立つキム・ユンソクのような俳優の誕生を「サメ ~愛の黙示録~」でも期待できるだろう。

「サメ ~愛の黙示録~」の後番組にはチュウォン、ムン・チェウォン、チュ・サンウク出演のメディカルドラマ「グッド・ドクター」(脚本:パク・ジェボム、演出:キ・ミンス、キム・ジヌ)が8月5日から放送される。

記者 : イ・ウイン