ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」“イケメン”パク・コニョンが“間抜け”になるとき

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写真=CJ E&M

昼は有閑貴族、夜は英雄“愉快なヒーロー”

イケメンには何でも完璧だろうという幻想がつきものだ。だが完璧そうに見える男が、意外と“ホダン”(いつもしっかりしているが、たまに間の抜けていること)である時、観客は期待していなかった面白さを満喫できる。

ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」のパク・コニョンがそうだ。パク・コニョンが演じる男性主人公のパーシー、すなわちスカーレット・ピンパーネルはフランス革命期ロベスピエールの恐怖政治によりギロチンの犠牲になる危機にさらされた人々の命を救う正義の味方だ。

「バットマン」「スパイダーマン」「ゾロ」など、覆面ヒーローの元祖格であるキャラクターがこのスカーレット・ピンパーネルだ。だが、他の英雄とは違う。パーシー(パク・コニョン)は、自身がスカーレット・ピンパーネルという事実を隠すために、昼はホダンの仮面を被りただの有閑貴族を演じる人生を生きる。

ホダンな姿の中で、イケメンパク・コニョンにも穴が見え始める。彫刻のようなマスクから漂う意外な姿で観客に面白さを与えている。例えば、悪役のショーヴランの名前をいじっていやらしいダジャレを飛ばしたり、メイドたちとじゃれ合ったりする事を非常に好んでいる。少し鼻声でか細く発声するパク・コニョンの演技は、彼の舞台演技の中で最高の笑いを与えると断言できるだろう。

24時間仮面を被って生きるスカーレット・ピンパーネルは、妻のマルグリットの前でも仮面を外すことができない。自分に最も近い妻にも、自身がスカーレット・ピンパーネルという事実を明かせないのは、妻を信じられないからである。

スカーレット・ピンパーネルと近い二人がギロチンの犠牲となるが、死刑された知人を知っているのは自分と彼の仲間たち、そして結婚したばかりのマルグリットだけだったため、彼は自分の妻まで信じられなくなる。共にフランス人を救い出す仲間たち以外は、誰にも自分の本当の姿を見せられない英雄、それがスカーレット・ピンパーネルなのだ。


暗鬱なフランス革命の恐怖政治時代を愉快に描写

ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」と「二都物語」は、時代背景が似ている。フランス大革命、あるいはロベスピエールの恐怖政治の状況は、王政という君主制が消えたところに自由はなく、代わりに恐怖が存在する、暗鬱な時代だ。しかし、これを描写する方式において、この二作品は両極端な方法を取る。

「二都物語」が恐怖政治に立ち向かう純粋な愛を描いているなら、「スカーレット・ピンパーネル」は恐怖政治の犠牲となる人々を救う英雄物語を盛り込みながらも、これを笑いで描写する。英雄物語を描くうえで、真剣さの代わりに笑いを加えたことで、恐怖政治に立ち向かうホダン英雄が誕生するに至るのだ。

「二都物語」では、一人の命を左右できる生死与奪権が貴族から平民の手に渡る時、「目には目を、歯には歯を」というタリオの法則(Lex Talionis)が発動する。既得権を勝ち得た平民たちが、貴族から被った苦痛をそのまま返すことで、血の報復が絶たない世界観を見せている。

しかし「スカーレット・ピンパーネル」では、イギリスの貴族が他国フランス人の命を救っている。既得権層の貴族が、自分の既得権を濫用することなく、お金と時間をかけてフランスに渡り、秘密結社隊を組織しフランス人を救う、スカーレット・ピンパーネルは変形されたノブリス・オブリージュを実践する貴族と言える。イケメン貴族スカーレット・ピンパーネルがホダンという仮面を被る時起こる愉快な笑いは、今日におちてノブリス・オブリージュまたは博愛主義がどのようにしてユーモアと共存できるかを見せている。

もう一つ、イギリス人が隣国フランス人を救うという劇の設定は、「善きサマリア人」の精神を披露している。ご存知の通り、イギリスとフランスは犬猿の仲であり、ヨーロッパの海洋と大陸の制覇のために事あるごとに対立し戦いあった敵国同志だ。英雄スカーレット・ピンパーネルの冒険は、ハンガリー出身の作家バロネス・オルツィの想像の産物ではあるが、イギリスとフランスという二つのライバル国の敵対的な関係を超えた、想像の和解物語という観点からも捉えられることができる。

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記者 : パク・ジョンファン