イ・ジョンス、留学で見つけた肯定の力「死ぬほど頑張ることが最高です」

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30代半ばにして臨んだ留学。誰かは「どうやって生計を立てるの?」と尋ね、また誰かは「帰ってきたとき、仕事のオファーがなかったらどうするの?」と言った。自ら「楽天主義を乗り越えた無一文屋」と語る俳優イ・ジョンスは、アメリカで過ごしたこの2年間を、最も幸せだった時間だと表現した。20代だった1995年、放送局MBCの第24期タレントとしてデビューし、20年近く役者として生きてきた彼は「仕事への脅迫観念が一切ない状態で人生を生きたことがないが、アメリカでの時間がまさにそうだった」と当時を思い返した。

「表面上に表れる結果はありません。語学学校に通いましたが、テストの成績やレベルをあまり気にしなかったからです。気楽に過ごしました。視野が広くなり、余裕ができたというのでしょうか。“肯定の力”も感じました。みんなに「どうやって生活していくの?」と聞かれました。2年間仕事をしないと厳しいです。家計が苦しくなるかも知れませんし、稼げないこともあります。でも、そういったことを心配する暇があるなら、僕の価値を高めた方が良いと思いました」

留学していたイ・ジョンスは映画「あやつり人形」で戻って来た。劇中で、欲求のために友達の恋人ヒョンジン(ク・ジソン)に危険な催眠をかける精神科医のジフン役を演じた。イ・ジョンスは、「再び仕事をすることになり、仕事への情熱もさらに大きくなった」とし、「撮影現場に向かうこと自体が楽しい」と伝えた。長く止めることのできなかったタバコも止めた。タバコは、もう全く吸いたくならないほどだという。彼は、「肌の色も明るくなって、体重も落ちた。むしろ前より若く見えるようだ」と明るく笑った。

「あやつり人形」のジフンは、備えられるものを全て取り揃えたにも関わらず、平凡な人生を生きることができず、愛を信じられない人物だ。イ・ジョンスは、ジフンのことを「社会像をそのまま見せることのできる人物」と説明した。シナリオを読んだとき、ホラー映画だとは思わなかったという。「今まで楽しさを与えることが好きで、重く真面目なイメージをあまり選択してこなかった」と語った彼は、「これまで演じてきた役柄からはかなり外れているが、何かを新しく選択した時にその評価を聞くことが好きだ」と打ち明けた。

「褒められれば何よりですが、最悪と言われても構いません。初めてじゃないですか。もちろん、努力はしますが、相手を満足させられないこともあります。野球選手が毎回ヒットやホームランを打つわけにはいかないように。ただ、可能性でも見せることができれば、それで満足します。『あやつり人形』に対して後悔はありませんが、『良くやった』という印象までは与えられなかったことが残念です。個人的に100%だとは言えませんが、0点の演技をしたとは思いません」


「ハリウッド進出、いつかきっとチャンスが来る!」

“ハリウッド進出”まで視野に入れて2年前にアメリカに行ったのではないのかとイ・ジョンスに尋ねると、「個人的な意図の一つだった」という答えが返ってきた。彼は、「ハリウッドは韓国の俳優を好むが、言語の壁を越えられない人が多い」とし、「いつか、チャンスが来るかもしれないと思った。全身でぶつかってみて、確実に判断しようとした」と説明した。続いて、イ・ジョンスは「自信ができた」としながら、「言語の壁が全て崩れる瞬間まで、引き続き挑戦して勉強する」と語った。

「今、ハリウッドで活発に活動する韓国系の俳優の言語レベルはパーフェクトです。映画は、観客の視線を集中させる必要があります。流暢な言語は、これを集中させる役割をします。ハリウッド進出は本当に夢です。いつかきっとチャンスが来ると思います。言語は違うかも知れませんが、感情の表現は心の中から出て来るものじゃないですか。チャンスがあれば、小さな役割でも演じられれば、良いことがあるのではないかと思います」

KBS 1TVの大河ドラマ「大王の夢」を終え、映画「あやつり人形」にまで出演したイ・ジョンスは、バラエティ番組への愛情も示した。韓国で7月から放送されているKBS 2TV「ホドン&チャンミンの芸・体・能~めざせ!ご当地スポーツ王~芸体能」のバドミントン編に合流することになった彼は、「本当に出演したかった番組なので、頑張る」との覚悟を決めた。下手すると陳腐に感じられる「頑張る」という言葉には、もう20年にもなる彼の演技哲学が込められていた。

「実際、人気がありませんでした(笑) 人気にこだわりたくもありません。『ここがあなたの限界かも知れない』という言葉もかなり聞きましたが、正直分かりません。刺激的で厳しい言葉かも知れませんが、まだ私には与えられた時間の方が多く、頑張って、役者としての初心さえ揺らがなければ、いつかは認められると思います。死ぬほど頑張ることが最高です」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク 写真 : イ・ジョンミン