Vol.1 ― 放送終了「男が愛する時」この苦々しい後味は何だろうか

TVREPORT |

※この記事にはドラマ「男が愛する時」の結末に関する内容が含まれています。
写真=MBC「男が愛する時」スクリーンショット
再会した男女は、果たして幸せだったのだろうか。

MBC水木ドラマ「男が愛する時」が再会する男女主人公の姿を最後に幕を下ろした。韓国で6日に放送された最終回では、ハン・テサン(ソン・スンホン)とソ・ミド(シン・セギョン)がすべての対立を終わらせ、再会を約束する姿が描かれた。

結末が漏れないように箝口令を敷いてきたが、大げさに過ぎなかった。どんでん返しも、驚きの結末もなかった。すべての登場人物たちは数々の苦難を乗り越えて成功を収め、暗い雰囲気をハッピーエンドで一新したものの、多少気の早い結末だった。結末のための結末という印象が強く残った。

特に、ハン・テサンとソ・ミドの和解が説得力を得られなかったことが残念だ。その理由は単純である。絶頂に達した葛藤を解決する過程が不十分だったからだ。再びハン・テサンのことを好きになったソ・ミドと、彼女をいとも簡単に許してしまうハン・テサンの姿は視聴者の共感を得ることができず、むしろ納得できない行動だと思わせてしまった。

「男が愛する時」は、4人の男女の痛烈な愛を描くという意図を持ってスタートした。感情の渦に巻き込まれた主人公たちを通じて愛の本質を問い、そこに痴情と謎を加えて完成度の高いラブストーリーを披露すると言った。

20部作のドラマを男女4人の感情だけで展開させるためには、緻密できめ細かい心理描写が欠かせない。しかし、「男が愛する時」で視聴者の共感を得ることができたキャラクターはそう多くなかった。ハン・テサンは一方的に誤解される“被害者”として、ソ・ミドとイ・ジェヒ(ヨン・ウジン)はハン・テサンに犠牲を強要する“加害者”として描かれた。

ソ・ミドは二人の男性を同時に愛する女性だ。痴情ドラマと掲げたこのドラマにおいて、二人の男性の間を行き来するソ・ミドは葛藤の中心となる人物だ。彼女の行動をただの二股のように見せないためには、混乱するソ・ミドの姿を納得できるように描く必要があった。

結論から言えば、ソ・ミドは失敗したキャラクターだ。少し間違うと、周りの男性に隙を与える女性にしか見えない懸念があったが、結局その罠に落ちてしまった。それぞれに違う魅力を持つ二人の男性を同時に好きになったことは理解できたものの、最後まで消極的ではっきりとしない態度は、視聴者の共感を得ることができなかった。

これはハン・テサンが非の打ちどころのない存在として描かれたことで、相対的にソ・ミドとイ・ジェヒが悪に変わってしまったものだ。ハン・テサンに一方的な犠牲が強要される過程でソ・ミドとイ・ジェヒの愛が説得力を失った。葛藤が爆発する時点もかなり遅かった。視聴者の疲労が積み重なった後になってようやく葛藤を爆発させた。

また、ハン・テサンはソ・ミドとイ・ジェヒの密会にあまりにも遅く気付いた。二人の関係に気付いたハン・テサンの行動こそがこのドラマの鍵だったが、ハン・テサンは暴走しなかった。最後まで我慢し、耐えるだけだった。“誰も知らない冷たい面がある”と言っていたハン・テサンの二面性は最後まで現れなかった。彼がすべきだったすべての復讐は、ハン・テサンの右腕であるイ・チャンヒ(キム・ソンオ)を通じて描かれた。

三角関係にある男女の葛藤が爆発したが、そのピークで目立ったのは第3者であるイ・チャンヒだった。緊張感が緩んでしまうのは当前のことである。結局、ソ・ミドは浮気の経験を持つ女性となり、ハン・テサンは終始彼女の誤りを最後までかばう心優しい足長おじさんに過ぎなかった。痴情はなくなり、ありきたりのラブストーリだけが残った。

傷がまだ完全に癒えていないハン・テサンが、果たしてソ・ミドと一緒に最後まで幸せでいられるのかどうかは疑問が残る。二人の再会は苦々しい後味を残し、何だか不安なハッピーエンドとなった。

記者 : キム・ジヒョン