「恋愛の温度」パク・ビョンウン“キム・ミニとのベッドシーン、シナリオにはあったが…”

TVREPORT |

※この記事には映画「恋愛の温度」の結末に関する内容が含まれています。
甘い顔が際立った第一印象とは違って、何だか緩いところがある。クールな性格だと思ったが、それどころか、嫌みのない図々しさで終始周りを爆笑させていた。俳優パク・ビョンウン(36歳)の話だ。

パク・ビョンウンは、映画「恋愛の温度」(監督:ノ・ドク、制作:Vangard Studio)で、知人の紹介でチャン・ヨン(キム・ミニ)と出会った後、思わぬ(?)誤解で涙や鼻水、さらには血まで流してしまうミン次長役を務め、繊細な演技を披露した。

「カエル少年失踪殺人事件」(2011、監督:イ・ギュマン)、「パラレルライフ」(2009、監督:クォン・ホヨン)で見せてくれた凄まじい姿はどこにもない。いや、むしろキュートな感じすらする。パク・ビョンウンは決まって必要な瞬間に登場し、斬新な演技で映画のあちこちで耀きながら自身の存在感をアピールした。


「ミン次長というキャラクターは、もともと悪役だった」

パク・ビョンウンは5年前、ノ・ドク監督から「恋愛の温度」のキャスティングオファーを受けた。投資、配給の問題で5年間という時間を待つ間、タイトルは「別れる:彼と彼女のインタビュー」から「恋愛の温度」に、大学生だった主人公は銀行に勤める会社員へと変わった。

「ノ・ドク監督とは5年前に会いました。映画のタイトルが『恋愛の温度』の原題である『別れる:彼と彼女のインタビュー』だった頃でした。その当時からミン次長というキャラクターにキャスティングされていたんです。パク係長役のキム・ガンヒョンもその時にキャスティングされました。その時の僕を忘れずに、連絡をくれた監督には感謝しています」

ミン次長というキャラクターは、シナリオの中では、劇中よりももっとずる賢いキャラクターだった。しかし、パク・ビョンウンは、ミン次長にはラブコメディの中でありふれているような悪役になって欲しくなかった。一人の女性を主人公と同時に愛する恋のライバル。恋人と別れて腹立ちまぎれに新しい人を紹介してもらった経験は、誰にでも一度くらいはあるはずだ。ミン次長は紹介してもらったチャン・ヨンと彼女の元彼イ・ドンヒ(イ・ミンギ)との間に挟まれ、様々な恥をさらす。

そんなミン次長が可哀想に思えた理由は、“お決まり”を脱皮しようとしたパク・ビョンウンの努力があったからだ。彼が感じたミン次長は、ラブコメディのありふれた悪役でも、主人公の恋のライバルでもない、“普通の男”だったという。

「もともとミン次長というキャラクターは悪役でした。でも、少しありきたりですよね。他のラブコメディであまりにもたくさん見てきたようなキャラクターでした。ミン次長が悪役だなんて、あり得ません。チャン・ヨンのことが気に入っていたし、さらにはチャン・ヨンがミン次長に先にキスまでしたのに、どうしてミン次長がいきなり悪い奴になるのですか。この部分については、監督とたくさん話し合いました」


「イ・ミンギは怖いほど演技に没頭する」

パク・ビョンウンはインタビュー中、終始イ・ミンギの釜山(プサン)訛りを真似した。映画では恋のライバルだったものの、実生活ではかけがえのない親友になった。最近は、二人でタイ旅行にも行った。二人とも日本の小説家太宰治の「人間失格」が大好きで親しくなったという。

しかし、スクリーンの中では非情に戦う二人だ。パク・ビョンウンが一方的に殴られたという表現が正確だと思うのだが、とにかく、そのおかげで観客は男のジェラシーが女のそれより怖いという真実(?)を悟るようになる。

「イ・ミンギに殴られるシーンの撮影が一番長かったです。最初は殴る順番を、“胸-胸-お腹-太もも”の順に決めていたのですが、イ・ミンギが突然、“胸-お腹-胸-太もも”の順で殴りました。イ・ミンギは、興奮すると瞬間的にすごく没頭するタイプで、怖いほど没頭していました。ミン次長が救急センターに運ばれるシーンもやっとの思いで撮影しました。スタッフたちは笑いを我慢するのに大変そうでした。アドリブで表情演技をしましたが、面白いという反応が多かったです。そのシーンの撮影が終わった後、イ・ミンギが僕に『兄さん、ごめんなさい』と謝ってきました(笑)」

パク・ビョンウンは、次期作である「モンスター」(監督:ファン・インホ)でもイ・ミンギと共演することになった。「モンスター」は、お互いに殺し合う様々な人間たちの熾烈な戦いを描いた作品で、イ・ミンギは恐ろしい殺人鬼を、パク・ビョンウンは悪徳なヤミ金業者役を引き受け、お得意の不気味な演技を披露する。

「今回の映画を撮影しながら、イ・ミンギの演技に対する情熱には驚きました。俳優としての考えも多いですし。今回また機会があって『モンスター』でも共演することになりました。『モンスター』では僕がイ・ミンギを殴ります。しかも豚足で(笑)」


「キム・ミニとのベッドシーン、シナリオにはあったけど…」

パク・ビョンウンは、キム・ミニとのキスシーンがシナリオより短く編集されたことが残念だと可愛く愚痴をこぼした。映画では、ミン次長とチャン・ヨンのキスシーンがあっさりと可愛く描かれたが、パク・ビョンウンの話によると、シナリオではより綿密(?)なキスシーンだったという。

「別れて間もないのに、紹介してもらった男と出会って2度目でキスをするというのは、もしかするとチャン・ヨンが悪い女に見えるかもしれない設定ですよね。だから、キスシーンも軽く済ませることにしたんです。特に、監督は女性ですので、どうしても心配だったようです。モーテルで撮ったシーンでも、本来はベッドシーンがあったのですが、いざ現場に行ってみると(ベッドシーンが)なくなっていました。現場で一人ぶつぶつ言いました(笑)」

パク・ビョンウンが直接出会ったキム・ミニは、驚くほど気さくな人物だった。私たちがテレビで見るスタイリッシュな女優キム・ミニのイメージではなかったという。

「キム・ミニは、とても気さくな人でした。よくつんと澄ました人だと思われがちですが、いざ親しくなってみるとすごく大らかな人です。スタッフたちと皆で焼肉を食べに行ったことがあるのですが、ネギキムチとご飯を美味しそうに食べる姿に驚きました。僕の中でキム・ミニは、ボンゴレスパゲッティのようなお洒落な料理しか食べない人だと思っていたので、びっくりしました」


「『新しき世界』ファン・ジョンミンの演技を見た瞬間、衝撃を受けた」

17歳という若い頃から芸術家への道を夢見たパク・ビョンウンは、安養(アニャン)芸術高校、中央大学の演劇映画学部を卒業し、短編映画とCM、多数の商業映画に出演しながら着実に演技の実力を積み重ねてきた。俳優オ・ジョンセと一緒にプロフィールを持って映画社を転々とした頃に比べれば、今は状況がだいぶ良くなったが、まだ俳優としての悩みが完全に解決されたわけではない。

「典型的な演技をする俳優にはなりたくありません。例えば、同じ医者のキャラクターでも、もっとリアルな、それでいてもっと際立つ演技をやりたいです。映画「新しき世界」で、ファン・ジョンミンさんは初登場のシーンでスリッパを履いて出てきます。その姿を見た瞬間、頭が割れるような思いがしました。衝撃的だったからです。そのシーンを見れば、一目でキャラクターが一気に理解できますよね。僕もそのようなインパクトのあるキャラクター、演技のトーンを見つけるために悩んでいます」

パク・ビョンウンは、自分だけの姿を探している。衣装やコンセプトの一つ一つに対して、スタッフと一緒になって徹夜で悩み、「モンスター」では、衣装に対するレポートまで書いて監督に提出したという。

真面目にじっくりと、そして黙々と自身の道を歩んできたパク・ビョンウンのこれからが楽しみだ。

記者 : キム・スジョン、写真 : ムン・スジ