Vol.1 ― チュウォン「『7級公務員』で人という財産を得ることができた」:SPECIAL INTERVIEW

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再び激しさを増してきた水木ドラマ競争で、残念ながらSBS「その冬、風が吹く」に1位の座を奪われたMBC「7級公務員」。ストーリーの展開まで停滞した印象でやきもきしていたが、放送終了まで残すところ2話の時点で、急に緊張感が生じた。気になることも望むことも多くなったのに、時間はほとんど残されておらず、残念だとしか言いようがない。高い人気を得たKBS 2TV「製パン王キム・タック」に続き、「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」「カクシタル」まで、出演するドラマが全てヒットし、“視聴率男” と呼ばれてきた主人公、ハン・ギルロ役のチュウォン。放送終了を控え、彼は今どんな気持ちでいるのだろうか。

―「7級公務員」、残すところ2話となって緊張感が一気に高まりました。

チュウォン:僕たちも感じるのですが、ドラマ撮影というものは、とても慌ただしいものです。ただ台本通りに撮るのではなく、現場の事情によって台本の順番を色々と変えて撮影するので、できるだけ感情を維持しようと努力はしますが、感じられずに過ぎてしまうこともあります。

―どうしても感情を準備する時間は必要だと思いますが、追われるように撮影するので残念に思う部分もあるでしょうね。

チュウォン:僕の場合は、むしろ準備せずに撮影に入った方が良かったりします。考え方次第だと思います。もちろん、良いところも悪いところもありますが、後先のことを考えず、ひたすらそのシーンに没頭し、集中できるのは良いことだと思います。

―なるほど、ポジティブなところはハン・ギルロとよく似ていますね。

チュウォン:ええ、もちろん似ている部分もあるでしょう? 僕が演じるキャラクターだけに、どうしても僕の中に存在するものが出てくると思います。僕自身も、僕が一番上手く表現できることを引き出し、最大化するために努力しています。

―KBS 2TV「キム・スンウの乗勝長駆(スンスンチャング)」に出演した時は、びっくりしました。思っていたイメージとあまりにも違っていましたので。これまでKBS 2TV「製パン王キム・タック」「烏鵲橋の兄弟たち」「カクシタル」などで演じてきた役のイメージがあって、冷静で冷たいのだろうと勝手に思っていました。ドラマの役とそれを演じる役者を同一視するお年寄りのように。ところが、この年齢でこんなにも純粋でいられるなんて! 感心しました。

チュウォン:ハハハ、そうですか? 僕はケンカも嫌いだし、緊張感や神経質なのも苦手な方です。恋愛する時も同じです。特に、恋愛においては、相手を守りたいという気持ちが強いようです。そして、僕は最近みんなが好きだと言う“悪い男、悪い女”の魅力がよく分かりません。

―温かくて優しい女性が好きですか? 男の人は気難しい魅力、つまり、男の誘いをよく断る女性に惹かれるんですって。

チュウォン:そうなんですか。でもそれは、自身の感情に素直でないということですよね? もちろん、全て表現しながら生きるなんてことは、できないと思いますが、愛する人の前では無条件に素直になるべきだと思います。僕は全てをオープンにするタイプです。

―「7級公務員」の前までは、強烈な性格のキャラクターを演じてきました。本人と大きく違って、大変だったのではないでしょうか。

チュウォン:撮影しながら掴んでいくしかなかったです。僕の中にないものを作らなければならなかったので、たくさん考え、悩みました。もちろん、僕の中にも悪くてひねくれた心があると思います。それを最大限引き出して火をつけようとたくさん努力しました。そうするうちに、極端に悪いイメージとなったシーンは何度も撮り直したりと、もっと集中しなければならなかったのは事実です。

―そういう意味では、ハン・ギルロは比較的演じやすいキャラクターだったのかもしれませんね。チェ・ガンヒさんとドタバタ劇を繰り広げる時は、本当に自然な感じです。でも、色々な面を持ったキャラクター、例えば愉快だったり、子供のようだったり、カリスマ性溢れる面もありながら感情的な部分もあったりと、簡単ではなかったと思いますが。

チュウォン:そうですね。色々な性格を持ったキャラクターなので、最初はとても大変でしたが、逆にそんなこともあり得ると思って演技してみたら気が楽になりました。普段は悪い男でも、愛する人の前ではきっと優しくなりますよね? 働くときは、カリスマ性も見えてきますし。

「チェ・ガンヒさんは最高の童顔で、僕は適当な老け顔なので年の差は忘れます」

―チェ・ガンヒさんとの相性が期待以上です。息ぴったりという感じだからか、それほど年の差が感じられません。

チュウォン:考えてみると、これまで共演してきた中で特に、キャリア、演技力のあるパートナーであることは確かです。でも、そういう部分よりも、チェ・ガンヒさんという人自体が僕にとって多くの助けとなっています。(誇らしげに)もともとファンでしたが、今では、ほぼ実の姉弟のように過ごしています。みんなが知っているように、とても自由な考え方を持っている人です。演技する時も、自分の感情より相手の感情をよく考えてくれます。普通の生活を演じることがとても上手で、台本通りではなく、自然に作られる部分があります。チェ・ガンヒさんから今回、たくさんのことを学びました。本当に気がおけない人です。それで、年が離れていることも忘れますし。チェ・ガンヒさんは最高の童顔で、僕は適当に老け顔なので(笑)

―チョ・ガンヒさん、喜ぶでしょうね。ところで、キム・ソウォン(チェ・ガンヒ)が親(イ・ハンウィ、キム・ミギョン)に髪をつかまれて殴られるシーンが2度もありましたが、殴るふりをするレベルではなかったと思います。

チュウォン:はい! 痛かったです。どうしても一度で済ませるためには、リアルな演技をするしかないのですが、最後はイ・ハンウィさんがあまりにも強く掴むので、頭皮が破れそうだと訴えたりしました。でも、やっているうちにどんどん要領が良くなっていきました。

―ドラマとはいえ、お母様は心配するのではないでしょうか。

チュウォン:母よりも祖母がそうです。急所を攻撃されたり、いろんな人にあまりにも頻繁に殴られるので祖母はかなり心配しています。

監督「台本なんて見てないで遊んでこい」

―KBS 2TV「ハッピーサンデー-1泊2日」(以下「1泊2日」)の放送で、密かに常識の勉強をしていましたが、「7級公務員」のためにも何か準備をしたのでしょうか?

チュウォン:今回はむしろ、ほとんど準備をしませんでした。“ハン・ギルロ”が、あまりにも自由でカッコつけようとするキャラクターなので、僕の性格とは正反対ですよね。監督が初めて僕を見た時「おまえはもっと遊ばないといけない。台本なんて見てないで遊んで来い」と言われました。でも、こんな性格だから、全く台本を見ないわけにもいかないし。

―その勉強というのが、家で遊ぶことだったのですね?

チュウォン:(恥ずかしそうに笑いながら)僕と同じ年頃の人たちは、ナイトクラブで踊ったりすることが好きだと言いますが、僕は何だかそういうことには興味がありません。遊ぶといっても、近所の友達と家の近くでコーヒーを飲んだり、ボウリングやカラオケに行く程度です。それで準備期間は別に何も考えず、何もしないで過ごしていたと思います。序盤に2週間訓練するシーンを撮った時に、ようやく役作りをしました。いつもそうですが、相手役に集中するために最も努力しました。

―でも、不思議なのですが、どうしてそんなに涙を流せるんですか? もともと涙もろい方ですか?

チュウォン:チェ・ガンヒさんからもよく泣く方なのかと尋ねられました。普段、あまり泣いたりしませんが、ドラマでは突然、感情が込み上げてくる時があります。そのような点でいうと、チェ・ガンヒさんはもっと素晴らしいです。普段、感情を整理して、準備ができた時点で撮影を開始しますが、チェ・ガンヒさんは、準備をしなくてもすぐに感情に入れます。準備が必要な僕にとっては、不思議で羨ましいです。

―普段からたくさん準備をして、練習した方がいいと思っていましたが、そうすれば逆に新鮮味がなくなるということですね。

チュウォン:そうです。徹底的に準備すれば、どうしても生々しい感じ? それが薄くなるようです。でも、まだ演技歴の浅い僕には何も分りません。

―アン・ネサン演じるキム・ウォンソクが銃に撃たれた時、二人の切実な演技と涙が本当に素晴らしかったです。

チュウォン:台本を見て、僕たち二人は当時の状況で、泣くことができるのかとかなり心配しました。でも、いざ撮影に入ったら二人とも涙があふれ出てきました。3人の感情が上手く合ったんだと思います。あの時は、本当に悲しかったです。

―劇中のハン・ギルロの両親(トッコ・ヨンジェ、イム・イェジン)が優しくしてくれるでしょう?

チュウォン:本当に大事にしてくれます。最初は演技に対するアドバイスを色々として頂き、最近では本当の息子のように可愛がってくれます。そのようなベテランの俳優でも、台本を見ながら几帳面にメモをしていました。色々な面で、たくさんのことを学んでいます。

「あまりにも期待が高かったので心配でした」

―こんなに可愛いから大事にしないわけにはいきませんね。同じ年頃の同僚たちとはどうしていますか?

チュウォン:僕が出演すると言ったら視聴率への期待がとても高くなりました。前作の視聴率が僕のため高かったわけでもないのに。どうすべきか心配で、プレッシャーになりましたが、幸いなことにドラマ序盤には良い数字が出てきました。最近では、視聴率が下がりましたが、いざそうなると淡々とした感じになりました。心が痛くなったりしなくて。考えて見れば視聴率にこだわる必要がありませんでした。特に、今回の作品では、人を得たという感じです。現場の雰囲気がとても良くて。俳優も、スタッフも。僕はチェ・ガンヒさんに結婚をしないでと言いました(笑) またいつか、他の作品で会いたくて。もともとドラマや映画というものは、撮影する時にとても親しくなっても、終わったらなかなか会わないようになります。職場とは違いますからね。そのうち、周りからどんどん人がいなくなっていくのは寂しいですが、いつかチェ・ガンヒさんや2PMのチャンソンさん、今回の同僚たちには会うだろうと思います。チャンソンさんは、現場で僕より若い役者に会うことはめったにないのですが、本当に良い人でした。

―エンディングの時、リハーサルやNGシーンが流れますよね。それを見ると、とても温かいチームの雰囲気が感じられます。かなりきついスケジュールだと聞きましたが、どうしてそれが可能だったのですか?

チュウォン:当たり前のように、何日も徹夜しています。撮りながら死にそうになりますが、いざ現場で同僚に会うと幸せです。不思議です。会って撮影して話していると疲れも、眠たいことも全部忘れます。だから、考えるシーンのように1人で登場するシーンは面白くありません。

―チェ・ガンヒとチャンソンとゴタゴタするシーンは、アドリブで行うみたいですね。

チュウォン:はい、本当に面白いです。台本と違う時もたくさんあります。リハーサルしながらもっと良いものをお互いに探したりして。それでリハーサルをたくさんします。流れに支障がなければ、アドリブを許容してくれますので。

―エンディングに出てくる演技指導をされる方が監督ですよね?

チュウォン:はい。リハーサルしながら色々と話したり、変更したりします。

―第18話が数々の疑問を残して終わりました。期待していますが、ドラマは次の話が楽しみになってこそ面白いドラマですよね。

チュウォン:僕も気になります。コン・ドハ(チャンソン)に何かが起きることは間違いないですが、そのような対立の過程があまりにも遅くなったのではないかと思います。19話、20話、あとわずか2話を残すだけです。あまりにも悲しい状況になれば、その後ソウォンと僕、二人が愛することはあり得ないですし、どうなるか分かりません。

―何となくコン・ドハに良くない展開がありそうで、今からドキドキしています。

チュウォン:僕とチェ・ガンヒさんは、そうなると耐えられないと思います(笑) どうしたらいいのか分かりません。まだ何も19話のシーンを撮影していない状況なので、どんな話になるのか全く分かりません。

―今週の撮影を終えれば休む暇もなく、「1泊2日」の撮影に入りますが、「1泊2日」のメンバー交代のために気が楽ではないでしょう。

チュウォン:(ため息をついて)最後の収録の時、たくさん泣きました。寂しいですね。番組が始まった時は、年をとって、40代や50代になっても一緒にやりたいという夢がありました。撮影中にメンバー交代の話を聞いて、みんな顔には出さずに我慢していましたが、キム・スンウ兄さんが涙を見せました。冗談にしていましたが、涙が出ました。最後のコメントをする時は、いきなり7人全員が何も言えなくなりました。

―視聴者の立場からすると、仕事上の仲間なのにどうしてそこまでするのかという気がします。

チュウォン:「1泊2日」では、お互いにあまりにも全身でぶつかりながら一緒に食べて寝て、撮影がなくてもよく会いました。この先、もちろん他の場所で会うこともできますが、番組を一緒にやれないということが名残惜しいです。

「一緒に笑ったり、遊んだりすると癒しになります」

―キム・スンウさんやチャ・テヒョンさん、オム・テウンさんがいて「カクシタル」の時や、今回、配慮された部分があったのではないでしょうか? 他の俳優たちにも同じことが言えますが。

チュウォン:どうしても役者が多いので、お互いにたくさん理解してくれます。ドラマと「1泊2日」を両立することは、やはり大変です。ただ、精神力も睡眠も大事ですが、精神力を強くしてくれるのは共演者だと思います。体力的には大変だけど、たくさん笑うから力が出ます。ロケ地に着くまでは主に寝ていますが、いざ会って笑って遊ぶと、それこそ癒しになります。

―本当に、悪いことを言わない性格ですね。両親が育てる時、あまり苦労しなかったでしょうね(笑) ドラマが終盤になっていますが、その後の計画は?

チュウォン:ずっと忙しいです(笑) CMや色々なことで忙しいと思います。

―仕事が多いことは良いことですが、休む暇もなく走ってきましたよね。若いので、色々な経験をたくさんすると良いと思います。旅行にもたくさん行ったりして。

チュウォン:仕事の合間を縫って、そういったこともできるでしょう。もちろん、旅行に行ったりすることも面白いし、得られるものもたくさんあると思いますが、今のような生活も悪くないです。たまに、疲れたりもしますけどね。

―やはり前向きですね。疲れきった顔だろうかと思いましたが、明るく元気でありがたいです。

エピローグ
若いからか、非常に前向きな性格のおかげなのか、対話をしている間ずっと明るい表情を見せたチュウォン。連日、徹夜続きだと言うのに、疲れた様子を一切見せなかった。誰かの悪口を言ったり、いかなる状況であれ悪い方向に受け取ることもなかった。少しも飾らない、生まれつきの天性だと思う。いや、両親の教えかな?他人をうらやんではいけないと言われるが、とにかく少し羨ましい。周りを感染させるほどの、限りないポジティブなエネルギーが。

文:コラムニスト チョン・ソクヒ

「NAVER スペシャルインタビュー」では、注目が集まっている話題の人物にコラムニストのチョン・ソクヒさんがインタビューを実施。韓国で一番ホットな人物の本音をお届けします。

記者 : チョン・ソクヒ