「最高です!スンシンちゃん」名前をめぐる論争、IUのアンチファンが引き起こした?

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写真=KBS
KBS 2TV新週末ドラマ「最高です!スンシンちゃん」が20%代の視聴率を軽く超え、快調な滑り出しを見せた。快進撃を続けているKBSの週末ドラマらしい成績だ。しかし、高い視聴率に喜んでいる暇もなく、時ならぬ名前論争が制作陣を困惑させている。IU(アイユー)の役名として「李舜臣(イ・スンシン)」を使うことが果たして適切なのかに対する批判が提起されたためだ。

「李舜臣将軍に対する侮辱を中断せよ」

「最高です!スンシンちゃん」が放送された直後、一部の視聴者はいくつかのシーンに対して抵抗感を示した。第1話のシーンで、主人公のイ・スンシンが面接を受けるシーンで面接官に「イ・スンシンが本名か? 本名なら海上警察に志願するか独島(日本名:竹島)でも守るのはどうか」と嫌味を言われたり、第2話でシン・ジュノ(チョ・ジョンソク)が「この百ウォン硬貨!(百ウォン硬貨には李舜臣将軍が描かれている)」と怒鳴るシーンがそれだ。

もちろん、意図したものではないだろうが、人によっては李舜臣(イ・スンシン)将軍を卑下する意味として受け取る可能性が多分にあるシーンだ。李舜臣将軍は韓国の人々に“救国の英雄”と謳われるほどの偉人の中の偉人だ。「最高です!スンシンちゃん」の視聴者掲示板には、「今すぐ謝罪しなさい」「李舜臣将軍に対する侮辱を中断せよ」という抗議のコメントが相次いているが、ある意味で当然なことかもしれない。

これに11日、グローバル青年連合DNがソウル中央地方裁判所に「最高です!スンシンちゃん」の主人公の名前に対する使用禁止仮処分申請書を提出し、論争はさらに拡大している。DN側は訴状で「李舜臣をこのように再創造するのは、自身の道徳的、人格的尊厳に対する自覚および他人のそれに対する承認、尊敬、称賛という名誉を侵犯する。韓国の国民が李舜臣を通じて受ける国民的な尊厳や自覚を毀損する権利がKBSにはない」と主張した。

また「ドラマが終わる頃は学生たちにとって、イ・スンシンはIUになる」という懸念を示し、「このドラマが放送される間や放送が終わった後も、私たちは最低5年以上はドラマが及ぼした悪影響と意図を集中分析する」と述べた。「最高です!スンシンちゃん」の制作陣としては予想しなかった強い反発にぶつかっているのだ。軽く見過ごすハプニングにしてしまうには、事件が余りにも複雑に展開されているのが事実だ。

これに対して「最高です!スンシンちゃん」の制作関係者側は、メディアとのインタビューで「ドラマのタイトルや主人公の名前が歴史を歪曲するようなニュアンスがないため、イ・スンシンの名前を変更する計画はない」という公式立場を示した。また「制作発表会でもその場に参加した人皆がイ・スンシンという名前を聞いて、まったく問題意識を感じなかった。誰一人として反論しなかった。ネットを利用する特定の階層のIUへの好き嫌いがドラマに対する論争に発展しているようで残念だ。役者として見てほしい」と付け加えた。

「イ・スンシン」名前論争はIUのため?


しかし、制作陣の願いとは裏腹に、これに対する論争はさらに激化している。むしろ制作会社側の立場が報道された後は批判がさらに激しくなった。特に「IUに対する好き嫌い」が名前論争の原因だという発言に、ほとんどのネットユーザーたちは不愉快感を示す。事件の本質もきちんと把握していないまま正当な批判の意見をあたかも一部悪質なアンチファンがケチを付けているかように罵倒したという怒りの反応もある。

実は制作陣としては心外だと思うのかもしれない。イ・スンシンという名前を使っただけで、週末ドラマの特性上、歴史の歪曲とはあまり関係がない上、日本の資金が流入されたというデマがあたかも真実であるかのように広がったためだ。やっと編成を組んで放送まで開始しているのに、主人公の名前一つのためドラマの廃止を語らなかればならないこと自体が厳しく感じられるだろう。立場を変えて考えてみれば、制作陣を理解できないこともない。

ただ、視聴者の批判の意見に対してこのように対応するのは軽率な行動だ。「イ・スンシン」という名前が劇中で笑いものになることに抵抗感を示す視聴者を“IUのアンチファン”に規定することは残念だ。心外だと思われてもなぜこのような批判が出たかを先に悩み、反省する姿を見せるのが人々に対する最小限の礼儀だ。

冷静に言えば、イ・スンシンという名前を「百ウォン硬貨」に表現したり、海に行って「独島でも守りなさい」という台詞は、十分に論争の余地があるシーンだった。確かに公営放送KBSの電波に流れるような設定ではなかった。つまり、今回の論争は脚本家と制作陣がより細かく気を遣わなかったことに起因していると見ても良いだろう。誰かを責める前に自らの過ちも振り返なければならない理由だ。

視聴者が願ったのは制作陣のシンプルで心のこもった謝罪だった。しかし、彼らはそうすることができなかったし、そうもしなかった。視聴者の批判に攻撃的な反発で一貫しているため、事件はさらに悪化し、感情の溝はさらに深まった。「イ・スンシン」という名前に恥をかかせないように良いドラマを作ってお応えすると話すことが、そこまで難しいことだっただろうか。

「言葉一つで千両の借りを返す」(どんなに難しそうに見えることでも、上手く話せば解決できる)ということわざがある。しかし、今回のイ・スンシンの名前論争は、むしろ制作陣が言葉一つで借金をすることになったケースだ。適切な釈明は必要だが、礼儀まで忘れる必要はなかった。視聴者を尊重し配慮する態度と批判を謙虚に受け止める謙遜は消え、厳しい感情の対立だけが残ってしまった。視聴者を敵に回して得られるものは何もない。制作陣の未熟な対応が残念だ。

今からでも遅くない。制作陣が先に頭を下げて、できるだけの了承を得なければならない。そうしなければ“怒った”視聴者の気持ちをおさめる機会はできない。スタートしたばかりの「最高です!スンシンちゃん」が、今の騒動を賢明に収拾し、良いドラマとして残ることを期待したい。

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記者 : キム・ソンギュ