“韓国最高の美女”ソン・ヘギョ&キム・テヒ…ドラマが分けた美しさ

OhmyStar |


役者の演じるキャラクターに説得力があると、視聴者は拍手を送る

「その冬、風が吹く」の最も大きな発見は、ソン・ヘギョである。綺麗で可愛いらしいだけだったソン・ヘギョが、いつの間にか見事な演技で視聴者を釘付けにしているからである。演技だけではない。韓国最高の美女と言われてきたキム・テヒより遥かに可愛いという賞賛の声も後を絶たない。この二人のスターが比較されること自体、韓国では象徴的な意味を持っている。二人の容貌は、単に誰かよりも可愛いと言い切れないほど、それぞれの美しさ、魅力がある。しかし、視聴者はソン・ヘギョの顔からより多くの感情とストーリーを感じている。果たして、その違いはどこから来たのだろうか。

写真=SBS、MBC
「その冬、風が吹く」は、日本のドラマ「愛なんていらねえよ、夏」を原作としているが、特有のアイデンティティを持って独特な雰囲気を作り出すのに成功した。ドラマはノ・ヒギョン脚本家の筆力と優れた演出力で、完成度の高さが評価されているが、従来のノ・ヒギョンドラマより遥かに大衆向けのドラマになっているため、ノ・ヒギョン脚本家らしい魅力は薄くなったという声もある。そうだとして、ヒットドラマとしての条件を揃えているかといえばそうでもない。もちろん、同時間帯の視聴率1位をキープしているが、人物同士の葛藤構造には緊張感が欠け、エピソードも若干憂鬱な内容になっているため、ドラマ自体は全体的に盛り上がりに欠けている。

それにも関わらず同作は、ストーリーに無理のある展開や、とんでもない刺激的な設定を乱用するドラマでないという点を高く評価したい。しかし、同時間帯視聴率1位は、単にドラマが面白いからではなく、ソン・ヘギョとチョ・インソンの驚くほど美しい外見のためかもしれない。チャンネルを変えながら、二人の顔が画面いっぱいに映し出されると、目が釘付けになってしまう。裏番組が多少、残念な方向に流れていることも追い風となっている。

最近のドラマの中で、最も美しい映像を実現している「その冬、風が吹く」は、美しい男女主人公の顔をクローズアップするシーンがとりわけ多く、彼らの顔に視聴者の目が釘付けになる瞬間を作ろうと努力している。

写真=SBS
だが、二人の美しい顔より遥かに視聴者を驚かせるのは、二人の抜群の演技力である。特に、ソン・ヘギョの演技は、以前の彼女を思い浮かべることができないほどに進化している。

実は、「順風産婦人科」当時、ソン・ヘギョに“演技”を期待する人は誰もいなかった。シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)で名を馳せた段階で、彼女は多少軽いイメージで視聴者に認識された。そして彼女は、「秋の童話」で大ブレイクを果たした後、「オールイン 運命の愛」のような大作に出演し、トップスターになった。しかし、彼女のイメージは「フルハウス」のような、ハツラツとした弾けるイメージとして定着してしまった。「守護天使」「ホテリアー」での役柄も、ソン・ヘギョのこのようなイメージを象徴するものだった。

しかし、いつからかソン・ヘギョはそのような役柄を自ら拒み始めた。スターではなく女優を夢見始めたのである。映画「ファン・ジニ 映画版」は、そのようなソン・ヘギョの熱望が初めて表れた選択だったが、映画の興行成績はソン・ヘギョの名声ほどには及ばず、ソン・ヘギョがスター性と集客力を同時に失うのではないかという声も上がってきた。彼女が選んだ道は、興行性より作品性に重点を置いていたが、それらの作品の中で彼女の演技力が特に目立ったわけでもなかったからである。外国の自主制作映画である「Fetish」の小悪魔のような役から、ノ・ヒギョン脚本家の「彼らが生きる世界」、イ・ジョンヒャン監督の「今日」まで、興行性より作品性中心の作品に出演し、ウォン・カーウァイ監督の映画「グランド・マスター」を撮影するため、中国に長期滞在し、しばらく韓国の映画やドラマから姿を消した。

写真=SBS
だが、ソン・ヘギョはそのような視線に対するプレッシャーを克服し、演技力を高めるための独自のトレーニングを続けた。彼女はインタビューで、「人々はまだ、ソン・ヘギョのことを可愛くて明るいイメージでしか思い浮かべません。これは、私が克服しなければならないことです。違う役柄を演じても、まだ『ソン・ヘギョはソン・ヘギョだ。ソン・ヘギョが上手くできる演技をしろ』と言われます。でも、私はたとえ失敗してでも他の役柄にチャレンジしたいのです。より多様化して、より深い演技がしたい。それが役者ではないでしょうか」と言って、単にスターに留まりたくない意向を明確に表した。

イ・ジョンヒャン監督の映画「今日」では、映画の完成度はさておいて、ソン・ヘギョの演技は注目に値した。彼女は同作で、「2011年女性映画人祝祭」の女性映画人演技賞を受賞し、嬉し涙を流した。役者というタイトルを心の底から手に入れたかった彼女の本音だった。

しかし、ソン・ヘギョの演技はまだ世間一般には認められていなかった。人々はまだ、彼女のことを“スター”として扱い、彼女が作品性で選んだ映画やドラマもヒットしていなかった。

「その冬、風が吹く」は、このようなソン・ヘギョの渇きを癒してくれるドラマである。15%に近い視聴率を上げ、視聴者にソン・ヘギョの演技を認識してもらう土台を作った。ソン・ヘギョは、目を見張るほど成長した演技力もそうだが、美貌も再評価され、“韓国最高の美女”という称賛を受けている。回を重ねるごとに視聴者はソン・ヘギョの顔に飽きることなく、さらに魅力的に感じている。それは、彼女が多彩な表情と感情を表現しているからである。あえて綺麗に見せようとしないことで、より美しく見えるのである。

一方でキム・テヒも、完璧な美貌に比べ、足りないとされる演技力を克服できるような作品に飢えていた。彼女の演技力はしばしば人々の話題に上り、酷評されていたのだ。キム・テヒの演技における最大の問題点は、ワンパターンの演技にある。驚くシーンでは目を大きく見開いて、悲しいシーンでは顔をしかめるという、定型的な演技をする。もちろん最悪の演技とは言えないが、魅力的な演技でもない。

キム・テヒの整った顔立ちは、制限的な演技によって魅力を失った。あれほど綺麗な顔立ちが、見れば見るほど飽きてしまうという、“スター”から“女優”への発展を妨げる最も大きな欠点となった。

写真=MBC
彼女はこのような論争に対し、地道に演技力を磨くよりも、キャラクターの変身にこだわって様々な作品に出演した。しかし、彼女に足りないのは、単に演技力ではなく、自らの魅力をアピールする方法だった。突出した演技力はなくても、自らの魅力や個性を上手にアピールすることのできる役者もいるが、キム・テヒはそうでなかった。単に彼女の綺麗な顔立ちを除いてしまうと、人々の目には彼女自らの個性そのものが正しく表示されなくなるのだ。これは、キム・テヒがまだ克服できていない課題である。このような状況で、「チャン・オクチョン」の張禧嬪(チャン・ヒビン、チャン・オクチョンの別名)役でテレビ復帰する彼女の演技に懸念の声が上がるのも無理はない。“張禧嬪”は、これまでキム・テヒが演じたどの役より、演技力と個性が必要なキャラクターである。果たして、彼女はこのようなすべての偏見を覆すことができるのだろうか。

キム・テヒはこれまで役者として、内的成長より、外的なキャラクターの変身に勝負をかけていた。九尾狐(クミホ)、幽霊、特殊工作員、お姫様へと奮闘している間、彼女が手にしたのは演技力ではなく、キム・テヒが表現できる演技幅の限界だった。今回の“張禧嬪”役もまた、単にキャラクターに対する欲張りに終わるのだろうか、それとも賢明な選択となるのかはまだ分からないが、少なくともこのような懸念を払拭できてはいない。

視聴者は、スターの顔を見る。しかし、ドラマの中では、キャラクターを見る。そのキャラクターを演じる役者が説得力のある演技を披露すると、視聴者は拍手を送る。キャラクターに溶け込めない役者は、いかに可愛い顔立ちをしていても、結局飽きられてしまう。単に演技のテクニックを学ぶより、自分が表現できる、自信のある役柄を正しく把握し、その幅を増やしていくことが必要である。それをソン・ヘギョとキム・テヒ、二人の美女スターが証明している。

記者 : ウ・ドンギュン