Vol.2 ― “誠実な青年”ユン・シユンが俳優として生きる方法

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「俳優はものすごく愛される職業。だから、たくさん準備し、努力すべきだ」

思念と主観がとてもはっきりしていた。優しい声の中に力が宿っていた。計画されたマニュアル通りに生きようと凄まじいほど自分にムチを打った。時には窮屈に思わないのかという言葉に「当たり前のこと」と答える。俳優ユン・シユンはtvN「となりの美男<イケメン>」の“ケグム”(エンリケ・クムのあだ名)から離れ、本来の姿を率直に見せてくれた。

初心を忘れた人間に容赦はない

誠実・着実・正しい。人々がユン・シユンに対して持つイメージだ。これについて彼は、遊ぶことが好きで、自分を聖職者のように見るのがプレッシャーだという。しかし、プレッシャーがあってこそ努力をすることもできるという所信を語った。

「いつも信念を語る理由は、そういう人になりたいから、聞いてほしいということ。あらかじめ話しておくと、一生懸命生きるしかない。恋愛観を話すのも同じだ。一瞬、間違った恋をすることもあるし、長く恋愛をしないと寂しくなって付き合うこともある。でも、自分で言ったことがあるので、いつももう一度考えるようになる。

徹底的な管理のため、『自分を閉じ込め過ぎではないか』と言われることもあるが、まったくそうは思わない。努力する段階であるため、辛いとは思わない。次第に身についてきたら、自分を閉じ込めることではなくなる。でも、こう話していると、とてもつまらない大人になりそうだ(笑)」

「芸能人は一瞬だ」という言葉がある。一瞬にしてスターになり、一瞬にして奈落の底に落ちる不幸を経験する。いきなり人気を得た芸能人の中の一部はいわゆる“天狗”になり、傲慢になったりもする。ユン・シユンにも人には知られていない“天狗”だった時期があったのか、知りたくなった。

「自分で判断することはできないと思うが、人間は環境によって求められる行動が違うため、変わるのは当然だと思う。でも、初心を忘れることは間違っている。初心は自分との約束であり、現在の義務だ。普段、初心に対する姿勢はどうかと確認する。『これぐらいでいいかな』と妥協していると感じた時は、容赦なく自分にムチを打つ」

チュウォン、シン・セギョンはいい意味での刺激剤

ユン・シユンは“活字中毒”として知られている。2000冊あまりの本が並ぶ書斎を公開し、話題になったこともある。「とても寂しがり屋で、寂しさの塊だ。だから、本と人で癒される。僕は相手に対する最高の愛情表現として本をシェアすることと一緒に食事をすることを挙げる。二つを同時にできればなおいい。会話を通してその人に会う本をオススメしたりもする」

俳優であるため、時間があるたびに他の作品も見ている。間を持たせるためではない。いい演技と悪い演技を区別する方法がまだ足りないため、役立ちそうな作品を見ている。作品を見る前に台本を入手し、キャラクターを作り情熱を注いでみたりもする。表現の違いを見るのがかなり面白いと笑ってみせる。

「オリンピック競技を視聴者の目で見るのと、アスリートになって自分で出場する気持ちが違うのと一緒だ。『僕だったらこうしたのに』と演技を一つ一つ比較するのが面白い。一風変わったドラマ鑑賞ができる。このような作業をしているうちに、キム・ミョンミン先輩のキャラクターの創造力はすごいということを知った。僕が描いたものより100倍以上を表現していた」

ユン・シユンは現在放送中のSBSドラマ「その冬、風が吹く」についても言及した。「日本の原作『愛なんていらねえよ、夏』をとても楽しく見た。今の主人公たち(ソン・ヘギョ、チョ・インソン)が特色を活かして演じているため、多くの方々から愛されていると思う。他の俳優が演技をしているのを見ると緊張したりもする(笑)」

「明日に向かってハイキック」のシン・セギョン、チェ・ダニエル、「製パン王キム・タック」のチュウォンなど、一緒に注目を浴びた俳優たちが着実に活動している。「わ、こんなに変わったんだ」と驚くと話していた。また、いい意味で刺激を受けたりもするそうだ。誰よりもお互いの成長を知っているため、拍手を送る。しかし、後から押し寄せてくる危機感は仕方ないと笑う。

次期作を考える時だ。数々の作品の中から演じてみたいキャラクターや出演してみたい作品があるかと聞くと、所信のある、そして確固な答えが返ってきた。「自分がこなせないものは諦めることができなければならない。サッカーをやるときも、確実に入れられないゴールならカッコよくアシストした方がいい。無理やり入れようとすると醜くなるだけだ。究極の目標はキャラクターが愛されることであるため、優しい必要も、カッコイイ必要もない。正直な感性ならいい。悲劇、復讐であっても、その中に真正性があり、話したいことがしっかりしていれば、選びたい」

偽りの演出がなければ、バラエティ出演もOK

ユン・シユンはバラエティになかなか顔を出さない俳優だ。実は準備ができていなかったため、慎重になったという。しかし、これからは「そろそろ出てみようと思っている」という愉快なニュースを伝えた。「バラエティでは“ユン・シユンは芸能人”というところを見せるしかない。芸能人という莫大な責任感を背負うにはまだ準備ができていなかった。でも、今は一段階ぐらい上がったと思う。退屈になるかと怖くもあるが、トークショーでもリアルバラエティでも何でもいい。偽りさえなければいい。偽りの演出で人を笑わせるのは、僕をパーフェクトな人間にしてくれるとしても嫌だ」

ユン・シユンはこれまで一人暮らしのお年寄りや孤児院、障害児童施設などのためにボランティア活動をし、人々の鏡になったことがある。今月11日ごろには「希望TV SBS」の一環としてアフリカを訪問し、様々なボランティア活動に参加する予定だ。

「俳優という仕事を通してあまりにも大きな愛と、僕の年齢では得られないものを得た。愛は返し、たくさんもらった分だけ、スケールは大きくしないといけない。世の中にいい影響を与える人になりたい。それだけでなく、青少年たちのいいお手本になりたい。彼らは政治家より、同年代の芸能人たちの行動を真似しながら成長するから」

ユン・シユンは“信頼”という名前を手に入れたがっていた。自分が考えても難しいことだと舌を巻きながらも、叶えようとする強い意志を見せる。将来を見越さず、振り返って反省することが優先だ。ただ、活動を終えた時、いい香りを残せる人になるためゆっくり、黙々と自分の道を歩んでいる。

記者 : イ・ジヒョン、写真 : ムン・スジ