ペ・ドゥナ「挑戦せず恐れているだけでは、人生はあまりにも短い」

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映画「クラウド アトラス」クローン役“考えを消せば、パズルが解けます”

ある意味で映画「クラウド アトラス」は、女優ペ・ドゥナの人生と似ている。“新世代スター”というタイトルを後にし、映画「ほえる犬は噛まない」(2000)を選び顔に泥を塗った時も、「子猫をお願い」(2001)「復讐者に憐れみを」(2002)「グエムル-漢江の怪物-」(2006)等で印象深い演技を披露した時も、是枝裕和監督の呼びかけで日本の映画「空気人形」(2009)に出演した時も、毎回そのように注目されるとは予想していなかった。

さらに、ウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァ監督が共同演出した「クラウド アトラス」出演に至るまで、人々は彼女について“ハリウッドに進出”し、“地道に段階を踏んでいった”と話すが、計画していたものは何もなかった。瞬間の選択が今の結果を生んだ。“Everything is Connected”すべてはそのようにつながっていた。

「『クラウド アトラス』は一世一代のチャンスでした。それを“進出”と表現すれば、これを通じて他のものを得るということじゃないですか。そんなことは考えたことがありません。『空気人形』も特別なチャンスでしたが、それも意図したものではありませんでした。その瞬間その瞬間の選択の結果のようです」

クローンのソンミ-451(ペ・ドゥナ)と純血人間チャン・ヘジュ(ジム・スタージェス)が登場する2144年の“ネオ・ソウル”は、コンピュータグラフィックで作った都市だ。怪獣が登場する映画「グエムル-漢江の怪物-」でも、ペ・ドゥナはリアルなセットがある現場でのみ撮影してきた。そんな彼女に“グリーンスクリーン”での撮影は新しいものだった。

トム・ハンクスとハル・ベリー、ヒュー・グラント、ジム・スタージェス、ベン・ウィショー、ヒューゴ・ウィーヴィング等、ハリウッド俳優と共演することも新しい経験だった。3~4ヶ月間、ベルリンで暮らしながら、ペ・ドゥナは自身の演技を冷静に判断し、他の人の撮影を見る時は、あたかも他の映画を見ているように楽しんだ。ペ・ドゥナは「当時は冷静さを維持しながら、豪華な面々と一緒に演技していることを意識しませんでしたが、完成した作品を見ると、1つのアングルの中にいるのが本当に不思議で気分が良かったです。ドキドキしました」と振り返った。

「クラウド アトラス」が描いた世界は回り回る。仏教の輪廻を連想させる。「無宗教であるうえ、宗教についての知識があまりありません」と自評したペ・ドゥナは「前世、後世とは関係なく、人と人の縁が1回で終わるとは思っていません」と話した。「クールな顔をしてますが、人との縁については徹底的に生真面目なほう」なので、縁は必然だと信じているという。また、自身が行う何かは、でたらめなものではなく、今の行動は必ず未来に影響を与えると信じています」と言う。


女優ペ・ドゥナ vs 人間ペ・ドゥナ、そのギリギリの境界線

それでは女優ではなく、人間ペ・ドゥナはどうだろうか。彼女は「リアルタイム検索ワードにペ・ドゥナの名前がある」と話すとびっくりする。実際に、インタビューを行った3日午前、検索サイトでは“ペ・ドゥナすっぴん”という検索ワードがあった。何の検索ワードかと聞くペ・ドゥナに“すっぴん”だと答えると、「それはまだいいほうですね」と安心した様子だ。

「私は映画女優であり、一生懸命撮影した映画が世の中に出て、人々が私の顔を知ることになります。ある意味で有名なほうですが、私自身はまだスポットライトを気楽に感じられません。『クラウド アトラス』に加わったこと自体が大きな喜びで幸せであり、また異例のキャスティングじゃないですか。出演シーンも多いですし。関心が寄せられるしかありませんが、長い時間注目されたくはありません。ただ、周りの人々には知らせたいです(笑)」

芸能人は常に人々の関心を受けるため、他の職業のように仕事中だけ徹底する“職業人”にはなれない。しかし、ペ・ドゥナは「もちろん、難しいですし、不可能ですが、1つの作品が終われば、それでもなるべく自分自身を元々のペ・ドゥナに戻すようにしています」と話す。芸能人だから、女優だから関心を受け、恩恵を受けようとせず、自らを真ん中に合わせようとするという。だから旅行が好きだというペ・ドゥナは「撮影現場でないところでは、女優として生きることにプレッシャーがある」と打ち明けた。

「レッドカーペットや記者会見のようなところでは女優として楽しむべきだと思います。しかし、私だけの時間では忘れようと努力するほうです。“私は女優だ”という自意識を持って暮らしてはいません。芸能人の友だちより10年、20年前の学校の友だちのほうが多いです。友だちはたまに私が女優であることも忘れるそうです。それは褒め言葉だと思います。欲張りなのかもしれませんが、私が女優である姿がバレるのもちょっと嫌です。そうしながら、私の映画を見て『友だちだけど誇らしい』と言ってもらうと、嬉しいです」

2013年もペ・ドゥナはこれまでの人生観のように「与えられた状況でできるもっとも好きなことをしながら暮らしたいです」と話す。自身の演技を好きになってくれるなら、どこででも映画をしたいとも述べる。「クラウド アトラス」で英語で演技したように、フランス語の演技が必要であれば、喜んでフランス語を学びながら呼び立てに応えるという。

「挑戦せずに生きるには、人生はあまりにも短いじゃないですか。なぜ恐れるんですか?挑戦できることに感謝しなければなりません。私はチャンスが来れば、怖いよりはドキドキして興奮します。できることが演技しかなくてずっとやって来ましたが、たまにまったく違う現場から私を呼んでくれるじゃないですか。初心に、新人時代に戻ったような新しさがあります。アーチェリーも習って、卓球も習いましたが、それくらいはどうってことないでしょう。できることだけして暮らすには人生は退屈だと思います」

「今年は機会があれば、個人的に皮の工芸を学んで自分の鞄を作りたいです」という希望を述べたペ・ドゥナに「クラウド アトラス」を見る観客のために一言をお願いした。「考えを消してください。パズルがある瞬間解けると思います。見た後も、話すことがいっぱいある映画なので、お楽しみください!」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク