「ゆれながら咲く花」キム・ヨンチュン“えーん、だまされた!”

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たった一瞬も彼を疑ったことがない。KBS「ゆれながら咲く花」で学校内の様々なニュースを収集し、授業時間でも休みの時間でも大きな声でしゃべってふざけるピョン・ギドクが、キム・ヨンチュンの素顔だと信じた。インタビューの前、写真撮影に必要な服について「かっこいいものを準備する」とメッセージを送ってきたり、撮影が始まってすぐ股の間から顔を出したりしゃがんだり両手を高く上げながら次から次へとやんちゃな表情を見せる彼のポーズは、その心証をさらに固くしてくれた。用意しておいた飲み物を見て「わあ、チョコミルクティー! 僕の大好物です!」と純粋に叫ぶキム・ヨンチュンの姿を見た時には、その心証を心の中で確信に変えていた。
しかし、彼の答え一つでこれまで考えていた全てのことが壊れてしまった。「本を読むことが大好きで、たくさん読んでいます。『孔子』『論語』のような本をよく読みます。人間としての道理や人柄に関して書かれた本だからです。『孫子兵法』も好きです。このような本に書かれている文章はすべて名言で、人生にたくさん役に立つと思います」

“チュン・ドラゴン”がピョン・ギドクになるまで

かなり真面目な彼の表情をゆっくり見つめながら、その真偽を疑う必要も、彼の本当の姿に関してもう一度、推理を始める必要もない。偶然、チャンスが来て関心がなかった演技を始めるようになり、「ゆれながら咲く花」の撮影に入る前、「うまくできなかったり、言われていることが理解できなくて撮影現場に危害を与えることがあったらクビになる」といった覚書まで書かなければならなかったキム・ヨンチュンが、ピョン・ギドクとして生き残った過程、その中にヒントがあるからだ。
「遅刻した罰として詩を吟じる時、台本にはソン・ハギョン(パク・セヨン)に吟じてあげるのではなく僕一人で吟じることになっていました。でも、台本を読んでいる間、ソン・ハギョンが女性主人公なので、彼女が好きだという風に設定したら僕の出番も確保できるし、面白いんじゃないかなと思いました。それで、リハーサルの時、その様にやってみました」
にこにこと優しく笑う顔の後ろに隠れているキツネのような賢さに驚いたが、答え終えた彼は何ともなかったようにサンドイッチを手に取って「僕、これ少し食べてから話しますね」と言ってまた笑う。でも、もう一度、騙されてはいけない。視聴者たちの目に留まるため、ドラマの中で“制服の上着”を逆に着て、自分が演じる役について「僕が輝く必要はなく、所々、情報だけ伝え、画面の前を通り過ぎる時、ルーズにしなければ大丈夫」と判断したのも彼自身だからだ。

テレビで生き残る方法についての彼の分析と訓練はバラエティから始まった。高校の頃、全校生徒を笑わせることに没頭し、「こういう仕事をしたい」と思ったキム・ヨンチュンが、2008年SBS公採(公開採用)ギャグマンに合格し、以後、MBC「無限に挑戦」の「ドル+I(おかしい人)コンテスト」で「えーん、だまされた!」を連発しながら、“チュン・ドラゴン”として知られるまでは、偶然より必然がより大きく作用した。
「バラエティ番組をよくモニタリングします。番組にはコンセプトが必要だということが分かっているので、『ドル+Iコンテスト』にも無条件に出るより、“チュン・ドラゴン”という名前を作って出たんです」
続けて「全国ドル+I 連合」は持続的な活動を行っているのかと聞いたら、彼は「いや、それはイベントでしたよ」と「無限に挑戦」がアイテムを作る方法に対する自分なりの考えをきちんと説明する。すなわち、キム・ヨンチュンが習得した放送の知恵とは、ノウハウと書いて深い関心と悩みと読むものである。複雑に結ばれたリボンを自分で解くことができなかったら、まるでプレゼントボックスのようなチャンスが来てもそれを掴むことができなかったと思う。

「頑張って、誰もが分かる人になりたいです」

「幸いにも、僕の運はいい曲線を描いていると思います」 今までそのグラフの縦軸を決めてきたのが彼自身ということを分かっていないのか、彼は安堵のため息をつく。そして、より早く、遠く、高く行きたいと思いっきり欲張ってもいい今、彼は仕事を着実にすることが一番重要だと話す。
「所属事務所がないので、『ゆれながら咲く花』が終わったら仕事がなかったらどうしようと不安です。今年は、お金をあまり稼げなくても、着実に仕事ができるようにしてくれる会社に必ず出会いたいと思います。頑張って、誰もが分かる人になりたいと思っていますが、そのためには仕事を続けなければならないという前提がつきますから」
多くの人々が目の前の成功ばかりを追って逃していること、すなわち、長く残る人が強い人になれるということを彼は分かっていた。こうなっては、彼の賢明さを疑うことなどできない。今まで私たちを本当によく騙してきた。

記者 : カン・ミョンソク、ファン・ヒョジン、写真 : イ・ジンヒョク、編集 : イ・ジヘ、翻訳 : ナ・ウンジョン