「会いたい」を“優しいドラマ”に任命します。

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「会いたい」のムン・ヒジョン脚本家、感性的な筆力でお茶の間を泣かせた。

写真=MBC
「会いたい」が放送スタートする前に行われた制作発表会で、主演を務めたパク・ユチョンは「『会いたい』を見る前に、ティッシュを準備する必要があるだろう」と、泣けるドラマになることを予告した。そして予告通り「会いたい」は回を重ねるごとに、視聴者を泣かせている。

このような背景には、ドラマを書いたムン・ヒジョン脚本家がある。今まで「あなた、笑って」と「私の心が聞こえる?」などの作品で、彼女ならではの感受性を見せた脚本家だ。いずれも泣けるドラマだが、刺激的ではなく、ムン・ヒジョン脚本家には「優しいドラマ脚本家」との愛称がつけられた。

ムン脚本家の感性的筆力は「会いたい」にもそのまま受け継がれた。実はロマンスほど、お茶の間を泣かせやすいジャンルもないだろう。「愛は涙の種」という歌詞があるほど、恋物語は人々に訴える力が強いので、泣けるということが、何がそこまですごいのかと聞き返すかも知れない。ある程度は同意する。しかしロマンスだからといってすべてが涙を誘えるわけではない。


「会いたい」が優しいドラマになれる理由

「会いたい」は単純な恋物語ではなく、傷を癒していく過程を描き、視聴者から共感を得ている。15歳の幼い少年と少女の初々しい恋と、幼年時代に大きく傷つけられた彼らが、離れ離れになってから、大人になり再会することが、このドラマの大きな流れた。

ドラマの流れからすれば単純なロマンスだとみなすこともできる。しかしドラマの中には性暴力問題と正義を失った司法という社会的問題も盛り込まれている。「会いたい」はドラマの初期に強姦されるシーンを登場させ問題となったが、回を重ねるごとに制作スタッフの決定には、それなりの理由があったと思わせる。

イ・スヨン(ユン・ウネ)が強姦された後、殺害されたように事件を隠蔽したが、それを信じないキム・ミョンヒ(ソン・オクスク)とハン・ジョンウ(JYJ ユチョン)は、お互いの傷を癒しながら14年も一緒に暮らす。14年との時間が流れたが、彼らは今尚14年前に留まっている。ロマンスに、社会の理不尽さを取り入れたのである。

ロマンスドラマで頻繁に見られる「シンデレラ」と「お馬鹿オンダル」(韓国の童話で、お馬鹿のオンダルに嫁入りした姫君が、彼に尽くし結局は立派な武将にするとの物語)のモチーフも「会いたい」では違う。もちろん、ハン・ジョンウの家とイ・スヨンの家は、大金持ちと庶民の対比とも言える。ただ、それも前面に出さなかっただけだ。

社会的地位の違いの変わりに性暴力の傷を抱えながらも、意識的に過去を消そうとするイ・スヨンと、彼女を1日も忘れず14年を生きてきたハン・ジョンウを前面に出した。そして彼らの周辺で、トラウマを抱え生きていく二人の母親を前面に出した。

泣けるポイントはここにある。単純な男女のロマンスではなく、犯罪を犯しても生きていく加害者たちと、犯罪の後遺症で自殺を選択したりもする被害者の家族を比べた。これは我々の回りの姿だ。現実に基づき、ムン脚本家ならではの淡々としているが感性的な文章力が「会いたい」の泣けるポイントだ。

記者 : イ・ヨングァン