「王になった男」痛快な風刺時代劇

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写真=リアルライズピクチャーズ

政治を痛快に風刺……カタルシスを与えた「王になった男」

第49回大鐘賞映画大賞のヒーローとなった「王になった男」。チュ・チャンミン監督は監督賞を受賞し、主人公のワールドスターイ・ビョンホンは主演男優賞を受賞した。韓国映画史上7番目に観客動員数1000万人を達成したことに続き、大鐘賞の監督賞と主演男優賞まで獲得した「王になった男」は、その成功要因として「現実政治に対する風刺により、観客を痛快にさせたため」という評価が多い。韓国映画界の“映画ヒット公式”の一つが、改めて証明された形だ。

疎外された人物の無念な物語は通じる“韓国映画界の成功方程式”

「TSUNAMI -ツナミ-」「王の男」「グエムル -漢江の怪物-」「シルミド」など、これまで観客動員数1000万人を突破した韓国映画のヒット要因を見ると、「何かに恨みを持ち、無念な物語を持つ人達のストーリー」という共通点がある。観客はそのような主人公に本人を投影し、強大な障害物に歯向かう主人公に強くハマり、自分自身と同一視する傾向が高かった。このような“感情移入”にうまく成功すれば、映画がヒットする確率は非常に高くなるのだ。

「王になった男」もやはり、光海君(クァンヘグン)の政治哲学が西人(ソイン:朝鮮時代の政治派閥の一つ)と南人の勢力により無視され、“朝廷のいじめられっ子”になるところを写し、観客の“欲求不満”と何かに対する“相対的な剥奪感”を刺激したという分析が大多数を占めている。もちろん、この過程で光海君の否定的な姿が多少美化されたという指摘もあるにはあるが、映画は“歴史の教科書”ではないため、そのような部分はある程度許されるであろう。

真なるリーダーを求める観客の気持ちを「王になった男」が代わりに表現した

また、同映画は大統領選挙を目前にしている時点で“真なるリーダーは誰か”という疑問を投げかけ、大統領候補を次々と映画観覧させたのも、一つの注目要因となった。

それと同時に、「民が夫と呼ぶ王なら、私は禽獣の顔をして盗んで乞ってでも、彼らを助けなければならない!」と叫ぶ主人公をみながら、政治を非難できたのも映画のヒットに大きく貢献した。本人の利益のためにだけ動くのではなく、本当に民のことを考えるリーダーを訴える光海君。映画を観る観客は、そのようなリーダーを求めているのではないだろうか。

記者 : ユ・スヨン