No.1からOnly Oneへ!…BoAを考える

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「彼女は韓国の正しいアイドル」「進化している重要な韓国の歌手」

韓国では、世界的に大きな成功を収めた後になって、賞賛や賛辞を送る。記者はいつもそれが疑問だった。勿論、成功した人の努力に対して敬意を表すのはいいことだが、果たして成功というものは、外的な何かが大きく存在しなければならないのか。日ごろから日常的にお互い褒め合って、賞賛する文化が根を下ろしたら、より多くの人々が韓国を輝かせる存在になるのでは、という疑問だ。

男性ダンサーの背中の上に上がって、ガールパワーを誇った「Girls On Top」、華やかで爆発的な魅力が溢れていた「VALENTI」、クリスマスに嬉しいプレゼントになってくれた「メリクリ」、同世代の若者が夢を持ち続けるようにしてくれた「Atlantis Princess」、恋愛中の人の心を強烈かつスタイリッシュに表現した「My Name」、そして「Amazing Kiss」まで…。彼女のヒット曲を振返って聞いてみると、一曲一曲が面白く、嬉しくなる。今年、BoAは7thアルバムと共に、もう一つの楽しさを歌を通じて与えてくれた。

シンガーソングライターBoAの初めての歌といえる「Only One」だ。この歌を聞いた感想は一言で「本当に素敵だよ、BoA」。勿論、26歳の年齢を考えれば、誰にでもできそうなレベルだ。だが、十数年間訓練してきて、諦めずに自分の歌を歌ったことそのものが重要だ。後輩のアイドルに対して一つの将来を提示した。

勿論、彼女が歩んできた道だけが正解ではない。彼女より早く、自分のストーリーをそのまま自分の歌に作ったガールズアイドルがいなかったわけでもない。ここで歌の芸術性や収益性は重要でない。自分が感じている今の人生を音楽で表現できることが大事だ。人生の経験を積んで、努力し続ければ、アイドルとしてデビューした人でも、当然、偉大なアーティストになれる。

BoAは、自分も恥ずかしい過去だと認めた「ID;Peace B」から“BoAらしさ”が続く「Hurricane Venus」まで、概ね理性的な印象のダンス曲で私たちに楽しさを与えた。彼女のやわらかい感性は「Waiting」「Stand By」などのバラード曲で表現されたが、彼女の歌声はとてもまろやかなタイプなので、強烈なパフォーマンスとともに披露するダンス曲も、バラード曲のようにやわらかく、聞きやすかった。

その後、一種のジャンル的融合を思わせる試みをした曲が「Only One」である。ソフトなダンス曲である「Only One」を聞くと、切ない感性に陥る。ガラスの玉がキラキラするような伴奏がシンプルでクールな印象だ。理性と感性が調和を成したメロディーと共に、BoAの安定感のあるボーカルが流れる。26歳の独身女性のストーリーを誇張なく盛り込んだ歌詞もシンプルでいい。宇多田ヒカルの「First Love」や「Distance」のように、余韻に浸って別れを表現した切なく美しい曲だ。しかもBoAは華麗なダンスまで披露した。このバラード的なダンス曲の「Only One」は、BoAの音楽人生の最高の曲ともいえるだろう。

韓国の音楽番組で、BoAは、他の女性歌手のように男性の本能を刺激するスタイルではなく、彼女ならではのステージスタイルを保ち続けた。ショートパンツやハイヒールの代わりに、ゆったりしたバギーパンツに踊りやすいシューズを履いてステージに立った。仲間の男性歌手1人とともに披露したダンスは、BoAの芸術的な才能を十二分に発散したものだった。彼女が音楽番組のチャートで1位になったのは、有名なスターであるから当然のことだが、BoAの人気に比べて音楽的試みや斬新なステージスタイルがきちんと評価されてはいないようで、残念に思っていた。

今後もBoAは音楽を続けていくし、私たちに楽しさを与えてくれるだろう。たしかにBoAは以前より楽になったようだ。「やった~秋夕(チュソク:韓国のお盆にあたる祭日)だっ!!家族と楽しい時間を過ごしてくださいね。美味しいものも沢山食べて、満月も必ず見てね^^」このように可愛くて健気なコメントを自身のSNSに投稿したり、いつものように率直な姿でテレビ番組に出演していたりするBoAを見ると、長らく彼女のファンだった記者は、とても嬉しくなる。以前、BoAは「No.1」を歌い、今では「Only One」に進化した。誰が何といっても、BoAは韓国の誇らしい歌手であり、ミュージシャンである。ビルボードチャートやYouTubeの再生数だけが歌手への評価基準ではないと思う。そんなはずはないと思うが、BoAが女性だという理由で差別を受けることもあってはならない。

グループ中心の韓国の音楽業界で、12年間トップ歌手として活動してきたBoAが、今後、特定の先輩歌手のようになるか、ならないかというような期待をして、彼女に負担をかけたくない。記者にとって、既にBoAは、自身の曲を作るか、他の人とコラボして新たな曲を公開するかなどは関係なく、以前と以降のどんな歌手とも比較できないユニークさを持つ歌手だ。今後、彼女の音楽スタイルがどうなるかは少し後になってから考えても遅くない。これまでBoAが私たちに与えてくれた楽しさが多くあるのだ。BoAにこれまでお疲れさまと褒めてあげて、ありがとうと声をかけたい。彼女は韓国の“正しいアイドル”なのだ。現在、彼女の後輩アイドル、または今後アイドル歌手になりたいと思う人たちは、彼女を一つの模範にしてもいいだろう。

記者 : ソ・サンフン