「馬医」ありきたりなサクセスストーリーだが…妙に引かれる

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写真=MBC

10月1日に韓国で初放送…俳優とイ・ビョンフン監督の縁が話題に

ドラマ演出に一生を捧げ、数々の話題作を作り大家と認められるイ・ビョンフン監督だが、ずっと謙遜していた。

MBC新月火ドラマ「馬医」(脚本:キム・イヨン、演出:イ・ビョンフン)制作発表会が開かれた24日午後、京畿道(キョンギド)龍仁市(ヨンインシ)処仁区(チョイング)白岩面(ペクアムミョン)MBCドラミアで会った彼は、「いつも期待に背かないように作ろうとしているが、視聴者から失望されるのが怖い」と打ち明けた。

「馬医」は、「トンイ」以来数年ぶりにイ・ビョンフン監督がメガホンを取った作品だ。60歳を遥かに越えたが、ドラマを話すときのイ・ビョンフン監督は活気に溢れていた。俳優ソン・チャンミンは、イ・ビョンフン監督に対し「よく徹夜しながら撮影するが、若い青年に劣らない」とし、「撮影する間はきちんと食事をとりなさいと言われた」と感心した。

当初昭顕(ソヒョン)世子(仁祖の長男)を題材にするドラマを作ろうとしたイ・ビョンフン監督は、史料を探す過程で低い身分で朝鮮最高の医者になるまで波瀾万丈な人生を生きた“ペク・クァンヒョン”の存在を知ることになった。そして、その人物が「一番庶民的で患者を大事にした」という文章を読み、ドラマ化を決心した。

そのため、動物を治す馬医から王を治す医者になる漢方外科医、ペク・クァンヒョン(チョ・スンウ)の人生を描いた「馬医」が誕生した。ただ、彼はドラマ化しなかった昭顕世子の人生への愛情を込め、「馬医」の序盤に昭顕世子(チョン・ギョウン)を登場させた。

“巨匠”からオファーを受けた俳優は、躊躇せず応えてきた。ドラマ出演は初めてのチョ・スンウを始め、イ・ヨウォン(カン・ジニョン)、ソン・チャンミン(イ・ミョンファン)、ユソン(チャン・インジュ)などが次々と「馬医」に合流した。彼の全作に出演したイ・スンジェ(コ・ジュマン)とハン・サンジン(顕宗)も合流した。

このようなキャスティングの背景には、イ・ビョンフン監督と俳優の長い縁も影響した。イ・ビョンフン監督は「ドラマを新鮮にする俳優を考えたとき、チョ・スンウが最初に頭に浮かび上がった」とし、「初めて会ったのは、1999年『ホジュン~宮廷医官への道~』を準備するためにロケ地を見に南原(ナムォン)に行ったときだった」と回想した。

「そのとき大学生だったチョ・スンウさんがイム・グォンテク監督の映画『春香伝』を撮影していました。その後映画を観て『とても温かくて人間的な魅力のある俳優』と思いました。一緒に作業をしたくて何度もオファーを出しましたが、テレビには関心がないと言われました。幸い今回は意見が一致しました」(イ・ビョンフン監督)

イ・ヨウォンは、ドラマ「外科医ポン・ダルヒ」での姿が印象に残ったという。ソン・チャンミンは、彼が若い演出者だった1970年代に青少年ドラマをしながら縁を結んだという。イ・ビョンフン監督は「小学生だったソン・チャンミンさんが大人になってから何度も一緒にドラマをしようとしたが、時間が合わなかった」と言いながら再会を楽しんだ。

ユソンもイ・ビョンフン監督と特別な縁があった。10年前、イ・ビョンフン監督が偶然遊びに行った「大望」のロケ地で、当時新人だったユソンに会った。「黒い服を着た若い女が刀を持って戦士役をしたが、強烈な魅力があった」という彼は「その後ユソンさんと会って『いつか連絡するから私と必ず一度仕事しよう』と言ったまま、時間が合わなくて10年が経った」と話した。ユソンも当時の出会いを回想した。

「10年前監督との大事な出会いがあってから、監督が作品に入るという記事を見るたびに内心『ひょっとして呼んでくれるのではないか』と思いながら機会を待っていました。ところが、私にぴったり合う役割がなかったようです。それで、今回呼ばれたときは年齢や作品での比重などは重要ではなかったです。監督と一緒に作品を作る機会がやっと来たということが嬉しかったです。それで、今この場にいることが本当に嬉しくて幸せです」(ユソン)


政治的状況とそれに影響される個人の人生を描いた「馬医」話題作になれるのか

「宮廷女官チャングムの誓い」「ホジュン~宮廷医官への道~」など、これまで医学を題材にした時代劇が人気を集めてきただけに、一応「馬医」に期待をかける理由は十分にあると思う。ここに幼いころ、昭顕世子の死など複雑な時代にカン・ジニョンとペク・クァンヒョンの運命が変わるなど、政治的背景とある人間の人生が噛み合っていく様子を表現しているところも「馬医」の見どころになると思われる。

このためなのだろうか。俳優らは歴史の大きい幹から話を持ってくることを「馬医」の強みとして挙げた。ペク・クァンヒョンの師匠、コ・ジュマン役のイ・スンジェは「この頃フュージョン時代劇(時代劇に現代的な要素を加えたもの)などが多いが、このような場合、歴史の考証が足りなかったり、歴史を歪曲したりする場合もあった」として「正統時代劇である『馬医』を通じて本格的な時代劇を見ることができる」と自信を示した。

朝鮮第18代の王である顕宗を演じることになったハン・サンジンは、おかげで歴史勉強に邁進しているという。正統時代劇で、歴史に実在する人物を演じなければならないというプレッシャーがあるためだ。ハン・サンジンは「イ・ビョンフン監督の作品をするためには、俳優がその時代をたくさん勉強しなければならない。顕宗役を演じることになってから顕宗に対する資料もたくさん探してみたし、顕宗のお墓にも行ってきた」と言い、並外れた熱意を見せた。

これだけでない。厳しい環境で苦難と逆境を乗り越えて一歩一歩成長していく人物は、イ・ビョンフン監督の作品のトレードマークだと言える。ありきたりなサクセスストーリーだと批判することもできるが、彼の作品が成功を続けることはありきたりな話の中でも見る人の心を動かす熱い感動があるからだ。

今回のドラマでイ・ビョンフン監督は、「人間と動物の共感を通じてその感動をもう一度再現してみる」と抱負を語った。チョ・スンウも「感情のあるものを治癒しようとするペク・クァンヒョンの感情が良かった」とし、「人間味溢れる作品」を見どころとして挙げた。果たしてチョ・スンウの大言壮語のように「馬医」が月火曜の“帰宅時計”になれるのか。「馬医」は、10月1日9時55分に韓国で放送される。

記者 : イ・ミナ