「ファントム」が残した三つの成果

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※この記事にはドラマ「ファントム」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS
毎週の水、木曜日に視聴者の心を虜にしてきたSBS「ファントム」がいよいよ幕を下ろした。

予想通りチョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)は、シン・ヒョジョンが妊娠していた事実を知って結局自殺したが、世の中は変わらず前と同じように時間は流れる。怪物一つがいなくなっても一夜にして世の中が良くなるわけではないということを見せたことで「ファントム」は、最後まで自分の役割を果たしたと言える。

いわゆる「チョ・ヒョンミンリスト」がネット上に公開され、政界や経済界の50人が関連した史上最悪のスキャンダルが起きたが、死ぬ前チョ・ヒョンミンが最後まで自信満々だった理由は、次の台詞から読み取れる。「人々はすぐ忘れます。一ヶ月?いや、もっと大きな事件が起きたら一日も経たないうちに忘れてしまうのが人の常です」

だが、大事なものを守るために“怪物”になったチョ・ヒョンミンは、本来自分にとって一番大切なもの(愛する女と自身の子)を守れなかったし、復讐の狂気は結局自身に巡ってきた。

良いドラマに別れを告げることは残念なことだが、「ファントム」が残した三つの成果を考えながらその余韻に浸ってみることにする。


1.ジャンルドラマの拡大

「ファントム」が残した成果のなかで一番最初に取り上げたいのは、ジャンルドラマ(犯罪、メディカル、ホラーなど特定の分野を扱ったドラマ)の範囲を広げたということだ。これまで韓国のドラマは、ありふれたストーリーの繰り返しだったり、出生の秘密と記憶喪失のような刺激的な題材がなければストーリーが前に進まないなどの限界があった。

だが、全作の「サイン」で特殊捜査ドラマというジャンルドラマを披露したキム・ウニ脚本家の実力は「ファントム」で再び発揮され、本格的なジャンルドラマの時代を切り開いたとの希望を残した。

“サイバー犯罪”を題材にした「ファントム」は、警察庁サイバー捜査隊のチーム員を主人公にし、これまで韓国でたくさん作られてきた警察捜査ドラマの形をとっている。だが、完成度の面では他の警察ドラマとは比べものにもならない水準を誇っている。何より韓国のジャンルドラマが持っている典型的な恋愛話を前面に出さなかったことと「サイン」と同様にスリラーの要素をたくさん入れてストーリーに集中できるようにしたことは、高く評価したい。

写真=SBS
「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)の成功に続き、「ファントム」のヒットで視聴者は韓国にも見ごたえのあるジャンルドラマがたくさん出てきていることに歓呼している。毎話ごとに反転に反転を繰り返す独特の展開もそうだが、DDoS攻撃(標的となるサーバーのサービスを不能にする攻撃)事件と女性芸能人の性行為強要事件のように、実際に起きた事件を題材にしたことも「ファントム」が残した成果だと言える。「ファントム」が終わるのは残念だが、キム・ウニ脚本家の次回作を楽しみにしている日々も悪くない。彼女が「サイン」と「ファントム」に続き、どのようなジャンルドラマを持って帰ってくるのかが今から期待される。


2.演技力のある名脇役の再評価

最近ヒットしているドラマの共通点は、演技力のある脇役たちがいつにも増して注目されえているということだ。最近の例を見ると「追跡者」に出演する全ての俳優がそうだったし、「ゴールデンタイム」でもイ・ソンミンは主演俳優のイ・ソンギュンとファン・ジョンウム以上の存在感をアピールしている。

そして「ファントム」にもクォン・ヒョクジュチーム長役のクァク・ドウォンが存在する。

写真=SBS
「ファントム」で一番注目を浴びた脇役はクァク・ドウォンだったが、“煮詰めたジャガイモ”ソン・ハユンと“ヘンタイ刑事”イム・ジギュもこのドラマが見つけた宝物に違いない。より良いドラマが作られるためには、演技力のある俳優がもっと優遇されなけばならない。その意味で名脇役を発掘し、彼らの知名度を高めた「ファントム」はあらゆる面で意味のあるドラマだと評価できる。


3.デジタル社会の問題を提起

最後に「ファントム」が残した三つ目の成果は「ファントム」のメッセージや主題にある。「ファントム」は、サイバー世界を象徴する“匿名性”と“波及力”が悪用される場合、現実世界でどのような問題が起きるのかを極端に見せてくれた。

また、いわゆる情報化社会では誰がより価値のある情報を取るのかによって格差が生じ、ひいては命にかかわる問題にまで発展するという警告を残した。

果たしてサイバー世界とは現実とは無縁な世界なのだろうか、そこで通用される価値観とはどんな意味があるのかなど、深刻な問題を「ファントム」は重くない感じで描き、また性急に意味を伝えようともしなかった。全20話で私たちはチョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)とパク・ギヨン(ソ・ジソブ)が対立する過程をゆっくり見ながらも、結局サイバー世界も現実と変わらないと感じた。

サイバー世界は、1分で9万8千のTwitter文章が掲載され、1億6600通の電子メールが送られる、現実とはまったく異なる世界のように見えるが、そうだとして生命と倫理の価値を1回のクリックで捨てることのできるところではない。デジタル化が進むほど我々はバランスと中心をとりながら生きていかなければならないという教訓を「ファントム」は上手く伝えてくれた。これも「ファントム」が残した成果だと言える。

最後に、今日も0と1で構成された世界のなかで“幽霊”のように彷徨う私たちにドラマが残した本当のメッセージを次の質問に代替する。

「もしチョ・ヒョンミンが自殺しなかったら、彼は法律によって処罰されたのだろうか」

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2012/12/31 (月) 21:30~26:00

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記者 : パク・チャンウ