Vol.2 ― 「アイドゥ・アイドゥ」パク・コニョン“大変でも切に願えば夢は叶う”

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俳優パク・コニョンにもっとも聞いてみたかったのは「本当のパク・コニョンはどんな人物なのか?」という短い質問だった。

彼が演じたMBC水木ドラマ「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のチョ・ウンソンは、産婦人科医という職業、ハンサムなルックスと愛する女性への思いやりで存在感をアピールした。

女性視聴者はチョ・ウンソンというキャラクターを見て「あんな男はどこにいるの」とドラマと現実のギャップを実感し、チョ・ウンソンのような男性を探した。チョ・ウンソンというキャラクターが人気を集めれば集めるほど、チョ・ウンソンを演じた俳優パク・コニョンにも高い関心が寄せられた。優しい男の魅力で人気を集めた彼には“フンナム”(癒し系男子)という修飾語がピッタリである。

パク・コニョンとのインタビューで「本当にチョ・ウンソンに似ていますか」と尋ねてみた。彼から「僕はチョ・ウンソンにそっくりです」という返答が聞けることを期待していたが、彼は他の男性の子を妊娠した女性を愛するチョ・ウンソンについて悩み、理解したと語った。しかし確かなことは作品を通じてパク・コニョンの優しさが見事に表現されたということである。

女心を揺さぶった“チョ・ウンソン”というキャラクターではなく、俳優“パク・コニョン”とのインタビュー中、演技に対する哲学、日常生活について語る彼を「チョ・ウンソンよりかっこいい」と思った。

「恋愛しているときの僕は、日常の姿とあまり変わらないです。もちろん彼女にかっこいい姿を見せたい気持ちはあります。でも僕の職業柄、ある女性が僕のことを好きだと言ったら、本当の僕の姿が好きなのか、それとも演じている僕の姿が好きなのか、僕の本当の姿を知ったらがっかりしないのだろうかなどと考えたことがあります。だから仕事をするときには、自然でありのままの僕の姿を見せようとします。問題は状況です。結局チョ・ウンソンも僕から始まります」

彼は相手役のキム・ソナとの共演について「リラックスできて楽しかった」と語った。仲良くなるために自分から近づくタイプなので、相手が負担に感じるのではないかと心配していたが、二人の呼吸はピッタリだった。

「初共演のシーンがキム・ソナさんとお見合いをするシーンでしたが、マザコンのような行動をする僕の姿にキム・ソナさんが爆笑してしまいました。そのおかげで、ぎこちない雰囲気が徐々にほぐれて楽しく撮影に臨むことができました」

もちろん劇中のチョ・ウンソンは、独身生活を夢見ているため、強く結婚を促す親に反抗してお見合いの場でマザコンのふりまでするが、パク・コニョンは結婚に対してのプレッシャーとは無縁である。

インタビューで彼は「昔医者になってほしいと望んでいた母が喜んだはずです」と、医者を演じた感想を語った。さらにインタビュー当日、母の誕生日を祝う優しい息子の一面を見せた。

「両親は僕の結婚を促したりしません。弟の方が僕より先に結婚します。僕は結婚しなければならないとか、結婚しないとかいうことはあまり気にしません。結婚すれば、人生をともにしなければならないので、簡単なことではないと思います。時間が経つほど、異性を見るときに厳しくなると言いますが、僕自身も気難しくなります」

段々相手と自分自身に気難しくなっているというパク・コニョン。現在の彼の理想のタイプについて聞いてみた。

「はっきり言えるのは、女性を見るときにルックスはあまり気にしないことですね。そういうのあるじゃないですか。ずっとそばにいてくれて、辛いときに手を繋ぎたい女性。そういう女性なら好感を持てると思います。絆というのも無視できないですよね。その好感がいかに発展していくかによって違うと思います」

彼はドラマ「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」が最終回を迎えたばかりだが、ミュージカル「ヘドウィグ」の練習の真っ最中である。自然にチョ・ウンソンというキャラクターと別れたという彼は「もう僕は『ヘドウィグ』のキャラクターになりきっています」と語り、演技変身に対する自信に満ち溢れた姿を見せた。

ミュージカルの魅力について語った彼はドラマとミュージカルで活躍している俳優オム・ギジュンとユ・ジュンサンへの応援メッセージも忘れなかった。

「本当は僕もオム・ギジュンさんが出演しているSBSドラマ『幽霊』が見たかったのですが、『アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり』の撮影で見ることができなかったんです。ユ・ジュンサン先輩もうまくやっています。皆一緒に舞台で活動している、気心知れた仲間ですよ。ミュージカル俳優出身の仲間が多くの人に認められたような気がして嬉しいです」

人生に余裕を持っている彼の姿からは、俳優として着実に成功への道を歩んできたように見えるが、彼は20歳から除隊後の25歳まで、夢を叶えるために熾烈に前進した。

「僕はインタビューをしているこの瞬間に感謝しています。家に帰ったらこういうことを考えます。僕は何もない人間でした。大学受験に失敗してバイトをしていました。バイトというのはキュートな表現です(笑) きついバイトを散々やりました。裕福な家庭ではなかったので、親に『俳優になりたい』と話した後、バイトを始めました。当時、江南(カンナム)駅のパン屋さんの前で化粧品を販売したこともあります。『お肌の状態を診断します』という言葉が口にできないほど恥ずかしかったです」

昔のことを笑いながら話せるこの瞬間がありがたいというパク・コニョン。彼は人生の切実さに気づいたときだったと当時を回想した。

「与えられたものに感謝して、それがなければないまま生きていけるという知恵を教わりました。また自分にあるものは仲間や親友と一緒に共有するようになりました。あのとき、そういう経験をしなかったら、今の僕は存在しないはずです。これまでの経験があったからこそ『大変でも切に強く願えば夢は叶う』ということを僕は信じています。僕の生き方が誰かの夢になってほしいです」

自身の辛い経験をかけがえのない経験だったと思っているパク・コニョン。今後彼が演じるキャラクターが期待できる。

「具体的にどのような俳優になりたいなどは考えていません。ただ今日が幸せであれば、十分です。明日という日にも感謝しながら生きていき、そして僕が死んでからの評価が僕の道でしょうね。修飾語で呼ばれたくはありません。故イ・テソク神父の物語を描いた映画『泣かないで、トーンズ』を見れば、イ・テソク神父が見返りがほしくてやったわけではないことが分かりますよね。僕も僕の演技を通じて誰かを癒すことができ、誰かに喜んでもらえれば十分です」

彼は演技を料理に例えて自身の演技の哲学について語った。

「レストランのシェフにとって一番いいプレゼントは食べ終わったあとのお皿だと思います。僕も愛する人のために料理をするという気持ちで演じています。今日、夕食を美味しく食べて幸せな気持ちになればそれで十分です。明日もまた食べたいなと思ってくれたらさらに嬉しいでしょうね」

演技を通じて喜怒哀楽を語る彼の真摯な姿に集中していたら「疲れましたか」と誤解されてしまった。退屈だから疲れているのではなく、誰かを癒してあげるようなオリジナル料理を見つけるという彼の言葉について考えていた。

記者 : ソ・ヒョンジン、写真 : クァク・ギョンフン