Vol.2 ― チョン・ジヒョン「私の最も大きな関心事はLife」

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―あれほど問題を起こしているイェニコールですが、憎らしいというよりも可愛いと思える理由の一つは、「ハッピーエンドは私のもの」という口癖のセリフからも分かるような、“底なしの楽観教”信者なのかと思えるような態度にあると思います。ただ、今話をしながら思ったことですが、あなたにもそうした部分があるように思えます。思ったよりたくましいと言うか(笑)

チョン・ジヒョン:健康的な考え方と生き方をしようと努力しています。もちろん、実際はそうじゃないから努力している部分があって、一概に「私は楽観的だし健康です」とは言えませんね。現に私のもっとも大きな関心事は“Life”です。これがどういう意味なのか、これを正確に説明するのは難しいですが、何を食べ、何を考え、何を着るのかを全体的に含めたものだと言えます。ただ高い服を着て、高価なバッグを持って、みたいなレベルではありません。もちろん私も女ですから、誰がどんなバックを持って何を着ているのか興味があります。でも、そうした興味は以前と比べて確実に減りました。誰かと会ったりすると、その人がどんな“Life”をしているのか感じられるときがありますよね。そうした面での視野が開けたと言えばいいのでしょうか。ですから、私自身も自分の基準に沿って健康な暮らしをし、健康な考えをし、健康な家庭を作る方法を考えるようになったんです。そうすると、おのずと物事が楽観的に感じられるようになりました。

「仕事とプライベートの幸せを区別しながら生きてきた」

―そうした変化は年齢からきたものだと思いますか、それとも結婚によって変わった部分だと思いますか?

チョン・ジヒョン:結婚したからといって人はすぐ変わったりはしないと思いますよ。結婚してそれほど経ってもいませんし。仕事をしながら多くのことを学んだと思います。十代のころから仕事をしてますから、人と比べて早い時期から何かを感じていた部分があると思います。仕事をしながらも、仕事とプライベートは別物だという区別を結構していたと思います。十代のころ、SBS「Happy Together(ハッピートゥゲザー)」というドラマを撮影していたときなど、目をつぶるだけで寝てしまうほど疲れていました。そうした疲れた日々の中で一日だけ休める日があったのですが、何をしたらいいのかわらなくて。明日からまた分刻みのスケジュールが始まるというのに、休めずに突然不安になるんです。「永遠に人々から忘れられたらどうしよう。明日から仕事がなくなったらどうしよう」と考えてしまって。幼いといえば幼い歳だったのに、これじゃいけないと思いました。だからそれ以来仕事にあまり大きな意味を置かないようにしました。

―十代のころから人気を得てトップスターの座を守りながら、仕事に対する野心や意欲もあったと思います。

チョン・ジヒョン:もちろん昔は目標もありました。何をするとか、これをしたらいいだろうなどということがあったけど、それを手に入れたからといって、幸せにはなれませんでした。ですから、仕事をするときは最善を尽くしますけど、仕事が人生のすべてだとは思いません。そういうふうに仕事とプライベートの幸せを区別していたから、結婚も適当な時期に自然にできたと思います。もちろん仕事が多くて忙しい方がいい面もあります。自分としては、人間忙しいのが一番だと思います(笑) 暇よりは忙しい方が良いし、忙しくなるためには仕事をしなければいけません。でも、そこまでです。仕事自体から幸せを求めたりはしません。だから撮影をせずに休んでいるときなど、余計に「どうすれば楽しくて幸せになれるんだろう」とよく考えます。

―しかし、あなたのような有名人なら、仕事とプライベートを分けるという部分で人々から誤解を招く場合もあると思います。人々との距離をどうやって維持するかは、俳優にとって重要なことであると同時に、とても難しいことである。近すぎると飽きて、遠すぎると神秘主義だと言われてしまう。誰よりもそうしたことについて悩んだと思います。

チョン・ジヒョン:そうですね、ただ自分では本当によくわからないんです。わざと何かをしていたわけではありませんから。ただ昔から思っていたことが一つあります。観客はお金を出して私の映画を見に来てくれるけど、そのときに「他の先入観なしで来てもらいたいな」とは思いました。「私ではなくて私の役だけを見てくれたらいいな」という欲が確かにありましたから。だからと言って、マスコミが言うような戦略的な神秘主義という方法で自分を飾っていたわけではありません。他の俳優さん達が映画のPRのためにマスコミと接触して自然に人に知られるのと同様、私もそうしていました。ただ最近の数年間は海外での撮影があったから、その影響があったと思います。マスコミへの露出が少なくなってしまったので、誤解や偏見が多くなったのは事実です。特に「雪花と秘文字の扇」の場合、興行成績があまり良くなかった理由が大きかったと思いますけど、上映館を確保する点で問題があって、韓国では上映されなかったから、段々と誤解が生じたのだと思います。ただ、それは私の意思ではなかったです(笑)

―“誤解と偏見”と言う表現を使いましたが、実際にすべての誤解と言うものは当事者にとっては大変悔しいことだと思います。人々が誤解している“チョン・ジヒョン”の姿の中で「これは本当に違う」というものは何ですか?

チョン・ジヒョン:そうですね、私もテレビやスクリーンを通して俳優さんを見るときに「あの人はこうだろうな」と思ったりします。そういうふうに他の人も私を見てあるイメージを持つんでしょうね。ただ、人々が私から受けるイメージが正確にどう言うものなのかをよく知らないから、何とも言い難いですね。まあ、それほど静かな性格ではないんですけどね。明るい方に近いですよ。ある面では勇敢ですし。それにいつも考えるより先に行動をするのでじっくりと考えながら見守るタイプではないです。働き者と言うか、まわりから「もういいから」って言われるくらいに動きまわりますし。こんなこといったらイメージが壊れてしまいませんか?(笑)

―行動が先だというのは結果や失敗をあまり恐れないからでしょうか。

チョン・ジヒョン:それはいい面からの評価です。実際に「考えるより行動が先」というのは、考えるのがあまり好きではなく面倒に思うときが多いということです(笑)

「適度に楽しみながら適度に維持するバランスを手に入れたい」

―他の人からの評価などにそれほど左右されない方ですか?「4人の食卓」で一緒に仕事をしたイ・スヨン監督はあなたを「根性がある」と表現したことがあります。今こうして見ると、それがどういう意味なのかわかりそうな気がします。

チョン・ジヒョン:アハハ、そうですか?まあ、何事も難しく考えない方ではあります。人に迷惑をかけず、常識から大きく外れないのであれば、一度やって見るのもいいと思います。もちろん始めからそう思っていたわけではありません。昔は何事にも慎重でした。知らないことの方が多かったから何もかもが大変で、当然口数も少なく、自分でも壁を作っていた面もありました。でも海外での撮影が変化のきっかけになったんです。「雪花と秘文字の扇」ではリー・ビンビンさんが中国のトップスターですから、私は助演の立場で主演女優を見守る立場になりました。そのときに多くのことを学んだのです。私も韓国ではそれなりにトップクラスで、現場でもいい待遇ばかり受けていましたから、最初はそうした助演の扱いがぎごちなかったんです。でも、慣れるとまたそれなりに気にしなくなりました。むしろ今まで意味もないのに形式が空回りする中で演技をしていたんだなと思いながら、自分でも無意味なことに固執してきたんだなと反省しました。確かに女優だからと言ってそれほど特別なことでもないのに、周りが特別な扱いをしてくれて本人もそう思い込んでしまうところがありました。私もそうでした。でも、むしろそれが自分を一人にすることでした。

―過去を振り返り、「ああ、私って過保護にされていたんだな」と思うことはありましたか?

チョン・ジヒョン:今思うと、そうですね、結構そうでした。しかし今考えると「何でそんなふうに生きていたんだろう」と思うほど、他の事は考えませんでした。撮影現場と家にだけいました。他の事はやったことがないから、その楽しみもわからなかったんです。夫と話をしていて驚くことは、彼が「卒業アルバムの写真を撮ったとき、こんなことがあった」と話しているのを聞いても、私は「そのとき、どんな映画を撮っていたんだろう」の話になってしまうんです。撮影現場にいたことがすべてだったから、思い出と言えるものはないんです。他のことは知らなかったし、興味すらなかったのが今思うと残念です。でも、もう一度あのころに戻るとしても、変わらないでしょうね。ただ自分の人生に合わせて頑張ってきたのだと思います。

―最近、撮影がないときは、どう過ごしていますか?

チョン・ジヒョン:忙しいです(笑) 運動好きなので朝起きて運動して、友達から美味しいお店を見つけたと連絡がきたら食べに行って。好奇心が強いので、まずは行ってみます。

―食べることが好きで、料理にも興味があると聞きました。ご本人の自慢の料理は?

チョン・ジヒョン:インタビューで余計なことを言ってしまいました(笑) ただ好きなだけでこれといった自信作はありません。

―MBC「無限に挑戦」のファンだという話で、「私は出演しない。番組をダメにしたくないから」と言う部分に興味を感じました。「無限に挑戦」が好きだと言う方は「出演したいです。呼んで下さい」と言うのが普通ですから。

チョン・ジヒョン:本当にそう思いましたから。「無限に挑戦」が本当に好きなんです。当然「私が出演したら?」というような想像もしました。スターが出演する特集が時々ありましたから。でもスターが出演すると常に同じようなパターンとなるような気がするんです。番組独自のカラーも失われるようで、出演する側にとっても見る側にとっても面白くないですからね。

―あなたは一般の人々にとって、過去もこれからも“チョン・ジヒョン”であると思います。「第二の誰か」ではなく「第一のチョン・ジヒョン」として、そうしたブランドを持っているあなたが、羨ましいと思うことは何ですか?

チョン・ジヒョン:先ほど話したように、私の興味は“Life”そのものです。仙人の道に入るつもりはありません。もちろん物質欲はないけど、他のことを考えていないわけではありません。ただ、その中で上手くバランスを取って行きたいんです。正直に言いますと、今の私にはないものなどなく、すべてを持っていると思います。それなのにこれを楽しまずに生きるなんて、あまりにも不幸なことだと思うんです。適度に楽しみながら、適度にそれを維持するバランスを持ちたいんです。そういう意味ではそれができる賢い人が羨ましいです。私はそうではないから(笑)

記者 : イ・ジヘ、写真 : チェ・キウォン、編集 : ジャン・キョンジン、翻訳 : イム・ソヨン