「キング~Two Hearts」よくわからないドラマ?でも“ハ・ジウォンがいてよかった”

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写真=MBC
「ハ・ジウォンがいてよかった」

簡単には正体を見せないMBCのドラマ「キング~Two Hearts」(以下「The king」、脚本:ホン・ジンア、演出:イ・ジェギュ)について、テレビ業界で取り沙汰されている話である。3月に再び火がついた“水木ドラマ対決”で、当初はトップの視聴率を記録し好調なスタートを切った「The king」。しかし、18日の放送では最も低い視聴率を記録し、視聴者からは“よくわからないドラマ”という批判が強まっている。しかしそんな中でも、出演者に対する期待がドラマへの批判を和らげているという意見が出ている。

韓国の男性と北朝鮮の女性の恋愛をテーマにした「The king」は、9話までの間、どんな部分でもこれといった特徴を見せず、“ヒューマン・恋愛・ブラックコメディ”という難解なジャンルを押し出し続けている。

韓国と北朝鮮の差を鋭く描くことでスタートを切った「The king」は、当事者を排除して南北関係に対する議論を行う国際社会の冷酷さや、約60年間離れていたために心理的にも大きな隔たりができてしまった国民たちの認識など、結論を出すことが難しい問題を毎回投げかけた。また、“アカ(共産主義者を指す蔑称)”や“貧しい北朝鮮の女”など、場合によっては聞き苦しいかもしれない言葉が次々と登場し、視聴者を驚かせている。

それでも「The king」がマニア層を獲得できたのは、愛嬌のある態度とともに北朝鮮の訛りを駆使して好感を得たハ・ジウォンと、憎まれ口を叩くキャラクターをうまく演じたイ・スンギの存在によるところが大きい。特に北朝鮮の特殊部隊内で、伝説と言われる教官キム・ハンアに扮したハ・ジウォンは、相手の命を狙う軍人としてのカリスマ性と、一度も男性と付き合ったことがなく、結婚を夢見る“オールドミス(適齢期を過ぎても未婚の女性)”の心情を同時に表現し、人気を博した。

ハ・ジウォンの自然な演技は、「The king」の南北和合という巨大なテーマが、重たく難しい話ではなく現実的であり得る話だということを視聴者に認識させる、効果的なツールとなった。

最近は王弟イ・ジェハ(イ・スンギ)との結婚を決心したキム・ハンアが、自分を信じてくれない韓国で一人で奮闘する内容が描かれ、ハ・ジウォンの演技力もさらに本領を発揮している。確かに、可愛い外見だが素朴で親しみのある雰囲気や、特殊部隊のベテラン教官のカリスマ性溢れる目つきから、ふと傷ついた動物のように変わるハ・ジウォンの表情は、彼女が演技力と興行力を同時に持ち得る、制作側と視聴者にとって頼もしい女優であることを証明している。そしてそれは同時に「The king」への懸念を払拭させるものとなっている。

記者 : チョン・ソンハ