Vol.1 ― カン・ジファン「『がんばれ!クムスン』ではないカン・ジファンとして見てくれる」

10asia |

2009年上半期の韓国映画最大の興行収入作品は「渇き」も「母なる証明」でもない400万観客を突破した「7級公務員」だ。休まずに着実に映画を撮影しながらも興行保証小切手俳優の横浜アリーナに入城できなかったカン・ジファンはこれで「映画は映画だ」の作品性と「7級公務員」の商業性を同時に手に入れることができた。そのため最近、東京で5000席規模のファンミーティングをして、日韓巨大プロジェクトであるテレシネマで「顔と心と恋の関係」を撮影しながら韓流スターと分類されたのは個別活動というよりはこのような人気上昇と言えるだろう。すでに大きい作品が終わって次回作が決まってない彼の歩みと心がけが気になるのはだからかもしれない。神戸と東京を経て日本ファンたちと3泊4日を一緒にしたカン・ジファンを「10asia」が会ってみた。

―「7級公務員」も興行収入の結果も良かったし日本で韓流スターとして認められた。昔とは違う人気ぶりを実感しているのか。

カン・ジファン:以前は僕を見たら“お、誰だったけ。クムスンの夫”こんな反応だった。僕が「90日愛する時間」や「快刀ホン・ギルドン」のように撮った作品もいくつかあるのに。だけど今回の映画の後からは人々が僕をクムスンの夫でないカン・ジファンで見てくれる。7年経ってやっとのことだ。ハハハッ。


「連続で視聴率が取れなかった、僕がもっとスターだったら……」

―ドラマでメイン俳優になったということだけでもスターとはいえるが、いつもそれ以上になれるとこれで行き止ったようだ。

カン・ジファン:ドラマに出演するたび、視聴率があまり良くなかった。運の悪いことに、いつも視聴率が30%代の大当たりのドラマと同じ時間帯だった。「90日愛する時間」の時は「ファン・ジニ」で「京城スキャンダル」の時は「銭の戦争」だ。「快刀ホン・ギルドン」の時は「ニューハート」だった。ある程度の差ではなく毎回大差だった。片方で視聴率が30%と出たら、すべての注目がそのドラマに行ってしまい、他のドラマはダメになった。売れたドラマでなかったらマニアドラマと評価される。連続でこんなことになると、僕がもっとスターだったらどうだったかなと、本当にこんな気持ちになってしまう。

―それでは「映画は映画だ」と「7級公務員」の映画を撮ってから、ある程度の自信も回復できたのか。

カン・ジファン:最初「7級公務員」の封切りの日が決まった時「渇き」「母なる証明」「ターミネーター4」「ウルボリン:X-MEN ZERO」が公開されると聞いて本当にガッカリした。「ターミネーター4」のような未来怪物一つだけでもダメなのに。今回もツイてないなと思った。ところが今回は意外な結果となって自信が湧いてきた。これからは戦っても勝てそうな、そんな自信かな。

―自分を責めることから自由になれたのか。

カン・ジファン:本当に今回もうまく行かなかったら全部自分のせいだと考えたと思う。特に前作である「映画は映画だ」で、とても緊張しながら撮影したから「7級公務員」ではアクションからアドリブまで自分が持っているすべてのソースを一つも残らず全部注いだ。それでも結果が悪かったら俳優としての自信を失ったかもしれない。

―しかし、興行成績も良かったし、一つも残らず全部注いだという演技の評価もやはり良かった。たとえば打ち合わせを控えている姿はただ笑わせることではなくその人物の性格を貫いたことである。

カン・ジファン:そんな風に反応が良い時は喜びを感じる。俳優として当たり前に解放感を感じる瞬間だと思う。こんな小さなアイデアを出すことが好きだ。


「もともと性格が荒い、ハハハッ」

―そのような性格だからか「映画は映画だ」のスタのように人間性の悪いキャラクターでもなぜか人間的な感じがして簡単に嫌うこともできない。

カン・ジファン:あ、本当にそんな役を演じてみたい。究極の極悪人、例をあげられない、想像できない悪人を演じてみたい。本当に見ているみんなが殺したいほどの人間だけど、あるシーンのために映画終る頃一抹の何かを残す演技を。実際にいくら本物の悪人といってもある瞬間笑わせたり人間的な弱点を見せたりする瞬間が一生に一度くらいはあると思う。生きているうちにせめて一度は足を捻挫するように。

―そのような細かな演技を通して劇中の人物に実際の人物のような奥行きが感じられる。

カン・ジファン:どんなキャラクターをしてもその中に喜怒哀楽を込めたい。もちろんそんなことが容易ではない。先ほど話した悪役に喜怒哀楽を込めるのは、さらに難しい。だけど、視聴者や観客が僕の演技を見てカン・ジファンがただ台本通りにはしてないと思う、という風に考えるようにしたい。個人的にジャッキー・チェンの映画が本当に好きだけど、彼の映画のエンディングのクレジットでは毎回NG場面が出てくる。それを見てジャッキー・チェンがどんなNGを乗り越えて作品を撮ったのか知ることができるように、僕の演技でアドリブや設定を予想することができたらいいなと思う。

―今はもう俳優としてもスターとしても存在が大きくなっているが、そのせいで不便なことはないか。

カン・ジファン:以前はインタビューをあまり受けていなかったけれど、ファンのためにファンクラブにメッセージや動画を載せたりした。だけど、今は見守ってくれる視線が多くなったから。昨年まではドラマを撮影する時はただ演技だけ熱心にすれば良いと思っていた。そうしたら好きになってくれる人は好きになってくれると思っていた。だけど今回の「映画は映画だ」や「7級公務員」のような映画を撮影しながら、人々の気がかりを晴らすこととか、もう少しオープンな姿勢で作品を宣伝しなければならないことも分かった。以前だったら誰かが教えてくれても理解できなかったと思う。けれども、作品がひとつふたつ増えながら自ら分かるようになった。本当は理解できなくても、指示された時はやなければならに立場だったけど性格があまりにも荒くて。ハハハ。

―人気に対する責任感を感じているということだが、どの程度まで自分をオープンにする準備ができているのか。

カン・ジファン:「7級公務員」のプレッシャーが結構大きかったのもあって、リアリティ番組やトークショーに出演しろと言われた。もちろんバラエティが悪いというわけではない。ただ、その番組に出演して初恋の話をしてひたすら笑うことが僕にはとても大きいストレスだった。緊張して顔面に痙攣が起きるところを見せたくなかった。それで僕は僕のやり方で宣伝すると言った。だから、舞台挨拶を積極的に行った。済州道(チェジュド)に行く時は他の人と行かずに僕ひとりで行った。ソウル駅や野球場に行って“7級公務員の大当たり祈願”と書かれたプラカードを持って宣伝した。僕ももう若くないので当然恥ずかしかった。だけど、俳優として作品宣伝をするに当たって、自分に割り当てられた分はやらなければならないと思った。

【カン・ジファン出演 『がんばれ!クムスン』情報】
「がんばれ!クムスン」無料動画 GyaO![ギャオ]にて配信中 (~2012年11月5日)

記者 : ウィ・グンウ、写真:イ・ウォンウ、編集:イ・ジヘ