Vol.2 ― ヒョンビン「本当のイケメンは僕より周りにもっといる」

10asia |

―新人の時、早くから注目されて、着実に成功を収めてきた。一番最初に演技を始めた時はどんな考えだったのか。

ヒョンビン:高校の時から演劇をした。大学でも演劇を続けていたが、知り合いが映画のオーディションに誘ってくれたことからキャスティングされて、休学して映画を撮った。その時はただ、舞台で演劇するのではなく、カメラの前で演技をするんだなと思った。演技をする新しい空間ができたくらいかな。映画がうまくいったら良いなと思っていたけど、作品が60%程進行して、ダメになって、強情を張るようになった。学校まで休みながら苦労したのに、そのまま戻るのがイヤだった。それで映画業界に向かうための準備をした。僕が休学した分、補償してもらいたかったのかもしれない(笑) 正直に舞台とはまた違う面白味もあって、きちんとやってみたいと思った。


「スター性を優先したくない」

―“退く時期も僕が決めたい”という性格だと思う。

ヒョンビン:僕が望んでいなかったらそのまま諦めて戻ったと思う(笑) だけど、その時、良い方々に出会えて、今までずっと仕事をすることができた。いい人に恵まれていることにはいつも感謝している。

―いい人に恵まれていることは、結局その人たちが自分のことを気に入ってくれているということだと思う。

ヒョンビン:その方たちが僕が気に入られるようにしてくれた。だからといって「愛しています」と言える性格ではないけど(笑) 時々でも挨拶の電話をする。そして外に出て集まりに参加するような性格ではないので、主に一緒に仕事をした方たちと続けて交流をする。

―作品が終わって、休む間はどのように過ごしているのか。

ヒョンビン:以前のものは全部捨てるようにしている。配役に関連したものを捨てて、次の作品に入るために、前作を全部整理してから見る。性格的に数日だけでも他のことに気を遣うと、仕事を完璧にしてないような気がして、一つの作品をする時は他の作品を見ず、CM撮影もしないようにしている。だから、トラブルになったりもする(笑) 作品が終わったら、そのようなできなかったことをして、次の作品が決定されたら、その準備をする。運動が必要ならば運動を、ピアノが必要ならばピアノを習う。

―“捨てる”という面で既に積んだ、あるいは生まれつき持っていたものをあえて活用していない感じもある。容姿が良いというメリットがあって、それをあえて壊そうとしないが、またそれを表わそうともしないようだ。

ヒョンビン:別に意識はしていない。容姿に対して気を遣うといったら、微妙に体重の調節をする程度だ。信じないと思うけど、「私の名前はキム・サムスン」の場合は1話の時、80kgだった。一つの作品終わると、普通4、5kgが痩せるので、予め太っておいた。痩せても76kgになるように(笑) それ以外には、状況によって筋肉の量を調節している。運動が必要なシーンがあったら、体脂肪をなくして筋肉で体重を増やして、「彼らが生きる世の中」の場合はドラマ監督という仕事だから、運動をする時間がないので、最初から運動しなかった。

―本人の顔についてどのように評価しているのか。

ヒョンビン:他のことは知らないけど、衣装やヘアースタイル、メイクによって、結構雰囲気が変わる顔だ。それは良い。だけど、ハンサムだとかイケメンだと言われると、ありがたいけど実際はあまり気にしていない。僕より僕の周りにもっと多いのでは(笑)

―しかし依然としてヒョンビンという俳優のスター性を活用する企画や作品も多いと思うが、敢えて、それを選択しないようにしているみたいだ。

ヒョンビン:そのような作品はよく渡されるけど、今まではただ僕の考えと合わなかったようだ。その作品が良いのか、悪いのかとは関係なく、特別な魅力を感じなかったのだ。もちろんスター性ということを捨てるわけには行かないけど、それだけに執着したくもない。


「結果は関係なく、気に入った作品は無条件にやってみる」

―そういう面で「チング~愛と友情の絆~」は非難されることを分かった上で始めた作品だった。

ヒョンビン:そう。その作品は始める前から悪いことをたくさん聞いた(笑) まだ、初めてもいなかったのに、色んな話が出てきた。周囲はやらない方がいいとと言っていた。映画のイメージがとても強く、先輩たちの演技が素晴らしかったから、僕がドンスという人物を立派に演じても、大変なことであると、みんなが引き止めたけど、僕はやりますと言った。

―しかし、結局後半に向けて、映画でチャン・ドンゴンが演じたドンスと違ったキャラクターを作り上げていた。どんなドンスを表現したかったのか。

ヒョンビン:映画にはない、ジンスクとの恋愛シーンが多く追加されたので、もう少し感性あふれるドンスを作り上げた。戦うシーンでも、映画と同じアングルで撮っても、前後の状況で涙を流したり、ジンスクとの関係を表に出し、雰囲気を柔らかくした。一番大きい違いはドンスだけのラブストーリーだったと思う。

―終わってみて「チング」を通して得たものは。

ヒョンビン:2001年、僕がデビューする前、学生の時に夢見てきた作品をクァク・キョンテク監督と同じスタッフたちと一緒に作業したことが最も大きく得たものだった。台本のリハーサルをする時から撮影してモニタリングをしながら表情を作って、キャラクターを作り上げた過程、そして一緒に仕事をした人々など、得たものは多かった。

―作品に入る前に、得られるものが何か不透明な状態だったと思うが、とりあえずやってみる性格なのか。

ヒョンビン:元々そうだ。僕が気に入ったらそのまま引き受ける。とりあえず、この作品はやってみたいと判断すれば、周りの状況はあまり考えない。結果がどうであれ、それは後の状況であって、先に選択をして撮影する。

―しかし、映画市場で演技をする俳優は本人の努力も必要だが、作品の運も必要である。思ったよりうまくいかない場合もあって、それによって予期せぬことが起きることもある。次の作品を選択することを恐れていないのか。

ヒョンビン:ない。もし誤った道を行ったならば、また戻ってくれば良い。どうせどんな作品をしても結果は分からないから。それに僕が作品を選択してやっている間、周りの人々が状況をチェックして、撮影を続けて、彼らがOKサインを出したことは大丈夫だと考えればいい。だから、いつも視聴率や観客数に関して、「僕はそれとは関係ありません」と言っているのは本当に結果が僕の役割ではないからだ。かわりに結果が出る前、カメラの前で最後まで最善を尽くすことが僕の役割だ。


「ずっとキャラクターの名前で呼ばれることについては、それで良い」

―「私は幸せです」で意図的に演技や変身をしてはいないと言ったように、毎回、普通に他の作業をしているように見える。

ヒョンビン:周りから「私は幸せです」以後撮った作品を見て、以前に比べて演技がはるかに上達したとよく言われた。この作品を通じて一人で考える時間を多く持つことができるようになったからだと思う。僕が毎回、前作のものを捨てると言っても、身についているものを完全に消すことは簡単ではない。だけと、幸いにそのように導いてくださる監督と順に会っているようだ。ユン・ジョンチャン、ピョ・ミンス、クァク・キョンテク、キム・テヨン監督、全部新しいことを望んでいる。既に僕がした、人々に深く刻印されているヒョンビンの演技パターンは望んでいない。だから、捨てるしかない。だからといってそれが全部消せるわけではないので、少しの間、後ろの方にしまっておく。いつか年を取って演技を続けていたら、このような経験を組み合わせることができると思う。

―キム・テヨン監督と一緒に準備している映画「レイトオータム」は60年代に初めて作られた作品だ。原作は追われている青年と女性模範囚とのラブストーリーだったが、新しく演技する立場として、どんな魅力を感じているか。

ヒョンビン:シナリオが面白かったし、この基本的なストーリーが60年代に作られたとしたら、本当に洗練された作品だったと思う。「レイトオータム」は今回で4回目のリメイクだけど、前に作られた作品はわざと見ないようにしている。撮影に入る前までは一人で準備して、撮影直前に見るつもりだ。

―映画「ラスト、コーション(色・戒)」で知られるタン・ウェイとパートナーになって、それに関する質問を多く受けると思うが、新しい作品を間近にして実際、最も悩んでいることは何か。

ヒョンビン:どうしても言語だと思う。グローバルプロジェクトなので100%英語で進行されるけど、「チング」の時、一度言語の壁にぶつかったことがあって、負担がより大きい。「チング」の釜山(プサン)の方言は韓国語にも関わらず、言葉に気を遣いすぎて、感情的に難しい部分があったけど、英語という全く違う言語で、僕がどれほど感情を引き出せるかが悩みだ。韓国に戻る前、タン・ウェイさんとリハーサルをして、色んなことを話してみたけど、パートナーはもちろん、スタッフもほとんど外国の方なので、その壁を乗り越えることが最も重要だと思う。撮影の前まで英会話の先生とずっと会話をしながら言語に対する距離感を無くす努力をするつもりだ。それに監督と相談したところ、作品での僕のキャラクターはアメリカに渡って3年しか経ってない人なので、そんなにネイティブな発音は必要ではないので、とりあえず感情を最優先にすることにした。それで若干気が楽になった。

―ヒョンビンという名前より、キャラクターの名前で記憶されたいと言っていた。しかし、キャラクターを立派にやり遂げた時、人々の記憶に残るのはヒョンビンという名前に対する信頼だ。皮肉っぽくはないか。

ヒョンビン:本当に昔は嫌だった。「アイルランド」が終わって、人々が僕の名前ではなく“グク”と呼んだ時はそれが嫌だった。ヒョンビンという名前で呼ばなければならないと思った時期だったが、それはとても愚かな考えだった(笑) ところが「私の名前はキム・サムスン」が終わって僕の名前のかわりに“サムシク”と呼ばれた。だからいつの間にか、そのように呼ばれることがどんなに嬉しくて、幸運なのかを知るようになった。だからいつからかは僕の名前でなく、作品でのキャラクターの名前で呼ばれることの方がずっと幸せを感じた。それで良い。

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記者 : チェ・ジウン、まとめ:ジャン・ギョンジン、写真:チェ・ギウォン、編集:イ・ジヘ、翻訳:チェ・ユンジョン