【PEOPLE】キム・テヒを構成する5つのキーワード

10asia |


キム・テヒ

優等生だった。模範生でもあった。他人にはあまり怒ることはないが、チョン・ウソンから「綺麗な顔とは真逆な性格だね」と言われるほど大雑把な性格でもある。そして、美しすぎる。そういう女性が頭の善し悪しや容貌、性格だけでは答えが出ない世界に入ってきた。それから10年間の話。


イ・ワン

俳優。本名はキム・ヒョンスで、キム・テヒの弟。
彼はキム・テヒに連れられて行ったプロモーションビデオの撮影現場でスカウトされ、芸能人としてデビューすることになった。イ・ワンは時々トークショーでキム・テヒのプライベートな話をしているが、彼が話すキム・テヒは、子どもの頃にイ・ワンを突き飛ばしてガラスの窓を割ったことがあるくらい元気である。またキム・テヒは、彼女にインラインスケートを教えた講師が「一日中アイスクリームを食べていた」と言うほどよく食べる。顔が綺麗で、いつも学校でトップの成績を取る優等生。そして、父親は蔚山(ウルサン)で中小企業を運営している。何でもできて性格もよく家まで富裕な“オムチンタル”(母の友達の娘:家柄、学歴、容貌のすべてに恵まれている人の意)だったキム・テヒ。このような環境のせいか、キム・テヒは学生の頃あまりにも細かく勉強をしたため、試験範囲のすべてを勉強できずに試験を受けたこともあったという。「私の目標は良い大学に行くことだから、今は頑張って勉強をするべき」と思っていたが、演技を始めてからは「感情が豊かになったら人生も豊かになる」ということを知ったという。


イ・ハニ

元ミスコリアの女優。
キム・テヒと一緒にソウル大学のスキークラブに所属していた。キム・テヒは「将来性や安定的な未来」を理由に医科大学への進学も考えたが、特別選考で服飾学科に合格した。彼女は演技を始める前まで「専攻を生かして安定的な仕事について、その仕事で成功できるか」について、普通の学生と同じように悩んだりもした。そのため、演技を始めた当時は「私のすべてがこの仕事には不利だ」というコンプレックスもあったという。学生時代について「本当に何も考えずに、まるで機械のように勉強した。女優になって私は感受性が不足した理性的な人間であることに気づいた。それは子どもの頃に感情を押さえて暮らしていたせいだと思う」と語っている。彼女の芸能界入りは、勉強だけを頑張ってきた優等生が、時として個性を求められる芸能界に足を踏み出したことを意味している。キム・テヒは大学生活を通して、潔癖症とも捉えられるほどの細かいことにまで気をつかう性格が少し矯正され、大学時代の友達とは今でも一番仲良くしている。


イ・ヨンエ

女優。
キム・テヒは新人時代、映画「ラスト・プレゼント」でイ・ヨンエが演じたキャラクターの学生時代を演じ、短編映画「新都市人」にも出演した。彼女は大学1年生の時に地下鉄でスカウトされた。その後、彼女はSBS「レッツゴー」に出演し本格的に活動を始めた。当時は「演技をするということはとても勇気が必要なこと」であると気づき、「私とはまったく違う世界に住んでいる人々の仕事だと思うけれど、私が本当にその世界に行けるのかな」と悩んだという。


イ・ジャンス

キム・テヒが出演したSBS「天国の階段」や「ラブストーリー・イン・ハーバード」を演出した監督。
イ・ジャンス監督はSBS「美しき日々」でイ・ビョンホンの相手役にキム・テヒを考えたりもしたという。「天国の階段」と「ラブストーリー・イン・ハーバード」はキム・テヒに栄光と不名誉を同時に与えた作品。「天国の階段」でキム・テヒの知名度は一気に上昇して、「ソウル大学で勉強している美しい女優」という事実を世間に知られることとなる。また「ラブストーリー・イン・ハーバード」はハーバード大学の学生である彼女のキャラクターが彼女の実際の学歴を連想させ、彼女への関心がさらに高まった。しかし、ここ数年で突然、芸能界のスターになった彼女は、それまでただ「平凡な優等生」として生きてきただけに、女優としての準備が足りなかった。「天国の階段」の撮影当時は悪女を演じながらも心の中では「私ならこんな行動なんかしないのに」と思い、「ラブストーリー・イン・ハーバード」では演技のテクニックの面で余裕を持つことが出来ず、恥ずかしく思っていたという。美しい容貌は生まれつきだが、性格は一般的な芸能人のイメージとは違って、まだ準備ができていない状態で主演作のオファーばかりが彼女に来た。キム・テヒの演技力に対する非難の始まりである。


チョン・センムル

メイクアップアーティスト。
キム・テヒのメイクや肌の管理を担当している。チョン・センムルがキム・テヒと初めて会った時、彼女は化粧水やローションもちゃんと使っていなかったほど肌の手入れを怠っていたという。しかし、彼女はまったく手入れをしていないながらも「完璧な容貌」と言われたり、整形外科の医者10人に7人が選んだ最高の美女であり、あるプロデューサーが「綺麗なのに人間味まで感じられる韓国の代表美人」と評するほど美しい容貌をしている。今も数多くの新人芸能人たちが「第2のキム・テヒ」を夢見ている。


チョン・ウソン

映画「レストレス ~中天~」で共演した俳優。
キム・テヒは「レストレス ~中天~」の撮影時、「越えなくてならない山と学ばなくてならないことがたくさんある」と話して演技への意欲を見せた。チョン・ウソンはキム・テヒに関して「キム・テヒさんは『自分は女優でこれは仕事だから乗り越えなくてはならない』という覚悟で撮影に励んでいる」と話した。しかし「レストレス ~中天~」はヒットするまでには至らず、キム・テヒの演技も観客の期待を下回っていた。当時、キム・テヒは自分のキャラクターについて「『レストレス ~中天~』でなかなか表現が上手くできない、難しく重要な役を引き受けてプレッシャーを感じたりもした。そして、それは現在、私が感じ取っている負担と似ている」と言ったくらい演技に負担を感じ、記者の質問にちゃんと答えるため、あらかじめ質問を予想し答えを先に書いて練習したりもした。もしかしたら彼女は、まるで勉強をするかのように演技の準備をしながら、演技で学生の時と同じように褒められたいと思う気持ちの一方で、大作の主演という負担が彼女から自然な演技を奪っていったのかもしれない。キム・テヒは当時、演技力の非難にとても傷ついて「本当に死にたいと思えるくらいに悔しい。でも、負けたくはない。死ぬ前に観客から演技力を認めてもらいたい」と言ったこともある。


EPIK HIGH(エピック・ハイ)

キム・テヒが家で楽しくダンスをするCMのBGMにエピックハイの「Love Love Love」が起用された。
このCMをはじめ、キム・テヒは様々なCMでかなりいい反響を得た。でも、それは彼女がただ綺麗なトップスターであるからではない。キム・テヒはCMで詩を詠みながら鉄棒で身体を半分に折りたたんだり、合コンで猫をかぶる姿を見せたり、彼女の顔がどれほど小さいかまで自慢する。ドラマや映画でのキム・テヒは非常な悪女だったり、綺麗で賢く不治の病で苦しむトレンディドラマの主人公だったり、いずれも特殊な運命を背負っている女性だった。これに実際のキム・テヒの大雑把な性格や何でも頑張るという姿は、すべてを揃えているがキャラクターとして面白くないと判断されることが多い。ところが、CMのキム・テヒは世俗的だったりずる賢い姿を見せたり、時には平凡な日常を演じたりもする。キム・テヒの演技が自然だと感じられる時は、このような姿を気軽に見せてくれる時だ。もしかするとキム・テヒの問題は、演技の腕前よりも、大学に入る前まで平凡な女子学生として生きてきて、もうすぐ30歳を控えている女性に似合った役をまだ演じていないことではないだろうか。


ソル・ギョング

映画「喧嘩 -ヴィーナスvs僕-」でキム・テヒと共演した俳優。
キム・テヒにとってソル・ギョングは「一番、友達のように感じる相手俳優」であり、「喧嘩 -ヴィーナスvs僕-」は一生懸命演技の練習をするというよりは“心を空にする”方法を学んだ作品だ。ソル・ギョングもキム・テヒに対して「前作より楽しく撮影できたはず」と話した。実際、「喧嘩 -ヴィーナスvs僕-」でのキム・テヒの演技は、彼女の出演作の中でも最も優れたものとして数えられる。キム・テヒは「喧嘩 -ヴィーナスvs僕-」で自分と同じ年頃の女性を演じることができ、「子どもの頃から感情を抑えてきた」という普段の姿とは違って、思いきり怒ることもできた。また、彼女は演技について「何もやらないよりは失敗する方がましだと思うようになって、少し義務感を感じながら演じた過去とは違い、1年前くらいから女優の道を一生歩んでいかなくてはならないと考えるようになった」と話した。そして、「観客が見たくないと思う姿は絶対に見せたくはなく、スキャンダルなども絶対に出してはならない」と思うほど他人の視線を気にしていた姿から、「芸能活動をしながら、精神的苦労をしたくないと思うのは間違っていると思う」と言うくらいに変わった。「論理は強いけど、感性は足りない」といった彼女がようやく、自分がやりたいこと、表現したい感情が何なのかを理解するようになったからだろうか。


イ・ビョンホン

キム・テヒとKBS「IRIS -アイリス-」で共演した俳優。
大作ドラマ「IRIS -アイリス-」への関心と共に、キム・テヒの演技力の非難は再び始まった。実際、キム・テヒの演技は依然として不自然な部分が多い。特に、感傷的なストーリーを演じる時、彼女の表情は硬く、声のトーンにも変化がない。しかし「IRIS -アイリス-」でキム・テヒは会議中に足でイ・ビョンホンの足を触ったり、任務中にイ・ビョンホンに妙な微笑みを見せたりもする。このような姿はこれまでのキム・テヒの作品では見ることができなかった姿であり、彼氏をからかってるような彼女の表情は新しい発見だ。「IRIS -アイリス-」の賛否とは別に、キム・テヒがこの壮大な“アクションロマンス”で典型的な悲運の女性主人公を演じるには、様々な姿を持っている女性の姿を見つけ出すことが鍵になるのかもしれない。

顔が綺麗だという話は飽きるほど言われているし、知名度も充分ある。「演技に没頭したい。これまで演技が良くないという評価を受けていて申し訳ない」とまで話した彼女は今年、演技に対する負担を捨てて、より良い姿を見せることができるだろうか。

記者 : カン・ミョンソク、編集 : チャン・ギョンジン