韓国バンドNELLが5度目の日本ライブへかける思い ― 日本初ワンマンから10年「来日を続けることは“本能的な理由” 」

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“NELLらしい”と形容される繊細で叙情的な感性、アリーナ会場も熱狂させるスケールと迫力満点のパフォーマンスで長きに渡って支持を集めるロックバンド、NELL。デビューから20年以上経った今でも、韓国ではフェスティバルのヘッドライナー常連で、K-POPアーティストが楽曲をカバーすることも珍しくない。「記憶を歩く時間」「Stay」「Ocean Of Light」など多数のヒット曲と共に愛され続けている。

そんなNELLが今月末、4年半ぶりのジャパンツアーを開催。今年は初の来日公演から節目の10年でもあり、ファンにとっても感慨深いツアーになりそうだ。今回インタビューに答えてくれたのは、ベースのジョンフンと、ギターのジェギョン。日本でのライブにかける思いや、”NELLらしさ”を維持し続ける音楽性などについて話を聞いた。

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――8月から韓国のライブハウスで全国ツアーをされていますね。アリーナでもライブを行うNELLが、ライブハウスツアーを続けるのは何故でしょうか。

ジェギョン:ライブハウスは大きな会場とエネルギーが違います。ファンを目の前に演奏をする時のエネルギーがすごく好きだし、近くでコミュニケーションをすることが一番大事だと思うので。それに昔ライブハウスだけでやっていた時期の曲も演奏できるので、1~2年に一度はやりたいですね。

ジョンフン:大きな会場ではLEDやステージ演出を派手にできたり、それに似あう曲もありますが、小さい会場ではファンの皆さんと呼吸を合わせながら演奏するのに似合う曲もあるかなと。

――今回の日本ツアーも、韓国でのライブハウスツアーの延長線になるのでしょうか。

ジェギョン:日本のファンの皆さんは、僕たちをディープに好きでいてくれている方が多いと思うんですよね。なので日本に行くからといってセットリストも特に変える必要はないと思っていて、気楽な感じで会えればという思いで準備中です。

――今回は、2013年の原宿アストロホールでの日本初ライブから節目となる10年、さらに5度目の日本公演となります。こうして日本でのライブを続けている韓国バンドも数少ないですし、すごいことですよね。

ジョンフン:日本は近いし、幼い時から素敵なカルチャーを持っている国だと思ってきたので、機会があるなら継続的にライブをやりたいという“本能的な理由”だと思います。

ジェギョン:日本のロックシーンが好きですし、日本のファンがどれだけ応援してくれているかも知っているので、何度でも頻繁に行きたくて。今回をきっかけに数年に一度ではなく、何ヶ月に一度とか、もっと頻繁に行けるといいですね。

――NELLの音楽からは曲が持っているムード、雰囲気を大事にしようという意識を感じます。メンバーの皆さんが考えるNELLの音楽の核はどんな部分でしょうか。それは20年を超える活動の中で変わってきましたか。

ジョンフン:核という部分を言葉にするのが難しいですが、強みという意味ではいくつかあります。まず曲やアルバムを作る時、特にジョンワン(vo/gt)はこだわりが強いので、最後まで完璧に作ろうとします。また、ファンの皆さんが歌詞から癒されたりする曲もあるので、歌詞の力もすごく強いのではと。そして「最近こういうサウンドが注目を浴びているけれど、どうすれば僕らの音楽に溶け込ませることができるかな?」なども考えながら音楽を作りますが、流行りばかり意識して僕らの色がなくなってしまってもダメなので、その匙加減をいつも気にしていますね。アルバムごとにサウンドの変化がありますが、その中で変わらないアイデンティティがあって、本質的な部分は変わっていないと思います。

ジェギョン:“NELLの音楽はNELLにしか出来ない”という言葉を聞くと誇らしいです。メンバーだけのアイデンティを音楽に昇華して来たところもありますからね。

――NELLの皆さんは、流行はあまり意識しない方かと思っていました。

ジョンフン:流行とどう向き合うかという悩みは当然すべきだと。もちろん流行とは関係なく自分たちだけの道を行くのもかっこいいですが、僕らは新しい流行を楽しむ方なので、取り入れてみたくなるんでしょうね。

――8月に発表された新曲「Wanderer」には驚きました。プログラミングを使わず、ギター・リフが繰り返されるのが印象的で、ロックの原始的な魅力を感じました。

ジェギョン:僕らの曲はデモからかなり変化することが多いですが、今回はジョンフンの作って来たデモに少しだけ味付けした感じです。ギターソロをもっと綺麗にも出来るけれど、より粗く、ただ弾いて、歌詞も最初に書いたものを変えずに。ジョンワンは元々ギターマニアなんですが、彼はギターソロだけで6時間も同じフレーズを、「もう少し、もう少しやろう」とまるで高校生みたいに何度も録っていて楽しかったですね。ジョンフンはつまらなかったかもしれないけれど。

ジョンフン:3時間を超えてから帰りたくなったよ(笑)。



――自分たちと同じくらいキャリアのあるアーティストで、共感できたり、憧れたりするようなアーティストはいますか?

ジェギョン:最近メンバー内でよく話すのはメタリカです。僕たちより2倍長く活動して来た人たちが、いまだに全世界をツアーして、60歳を超えても、むしろ今が第二の全盛期を迎えていて。年を重ねてアップグレードしているようで、衰退している感じがしないんですよ。

ジョンフン:メタリカはアティチュード(態度)もかっこいい。いまは白髪混じりですが、基本的な体の管理からしっかりしているし、ステージ・マナーも含めて「まだ俺たちは若いんだ」と言いながらやっているようで。それを見てファンたちも熱狂的になる。僕たちが歳をとっても年齢にあぐらをかかず、彼らのような生命力をキープしていきたいです。

ジェギョン:日本だとMr. ChildrenやBUMP OF CHICKEN、SEKAI NO OWARIのようなバンドが地道に活動しているのこと自体、かっこいいと思うようになりましたね。

――20年を超えるキャリアになりましたが、この先やってみたいと思うことは?

ジェギョン:日本でのドーム・ツアーはやりたいです! 夢ではなく、現実的にやってみたいです。

ジョンフン:自然に囲まれたところでライブをしてみたいです。景色が良い場所や森の中で、温かく幻想的な雰囲気のなかファンの皆さんと一緒に楽しめたらいいなと前から思っていて、いつかやってみたいですね。

(取材:山本大地 / 構成:筧真帆)

■公演情報
「NELL LIVE IN JAPAN 2023」

【大阪】
日程:2023年9月26日(火)
OPEN 18:00 / START 19:00
会場:梅田 TRAD

【東京】
日程:2023年9月28日(木)・29日(金)
OPEN 18:00 / START 19:00
会場:代官山 UNIT

<チケット>
価格:¥8,800(税込/オールスタンディング/1ドリンク別)
※未就学児入場不可
発売中

主催:SPACE BOHEMIAN
制作・招聘:クリエイティブマン

■関連リンク
・「NELL LIVE IN JAPAN 2023」公演ページ
・NELL公式サイト

記者 : Kstyle編集部