【REPORT】「花様年華」シリーズ完結編でネクストを提示した防弾少年団…ARMY史上、最も美しい瞬間となったエピローグ・ファイナル

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5月7日のソウル公演からスタートし、3ヶ月をかけて、マカオ、中国、タイ、台北、フィリピン、そして日本を巡ってきた7人組HIP HOPボーイズグループ防弾少年団の「2016 BTS LIVE <花様年華 on stage : :epilogue> Asia Tour」。その日本版「2016 BTS LIVE <花様年華 on stage : epilogue> ~Japan Edition ~」の最終公演にしてアジアツアーのファイナル公演が8月14日、東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された。


防弾少年団の未来を提示する「FIRE」で圧倒!

青春の美しさや危うさを描いた「花様年華」シリーズは昨年4月から始まり、年末には日本でも「2015 BTS LIVE <花様年華 on stage> ~Japan Edition~」というライブが開催された。そしてシリーズは今年5月にリリースされたスペシャル・アルバム『花様年華Young Forever』にて完結。本ツアーはこの『花様年華Young Forever』を引っ提げて行われ、最終公演は約1年4ヶ月をかけて歩み続けてきた「花様年華」活動の集大成となった。

開演前、スクリーンには『花様年華Young Forever』のタイトル曲「FIRE」のPVが大きく映し出され、フロアはさながら予行演習のように大盛り上がり!アーティスト写真撮影のメイキングビデオ風メンバー紹介を挟み、ステージ上の紗幕には赤く彩られた「花様年華」の文字が大きく浮かぶ。そしてその紗幕が落ち、日本盤「花様年華」第二弾シングルとなる「RUN - Japanese Ver.-」から本編がスタート。駆け抜けていく青春がテーマのこの曲は約2時間45分に及ぶライブのオープニングにぴったりで、ここで早くも銀テープが発射され、大舞台に相応しい贅沢な演出が会場を沸かせていく。その後、赤く染まったステージで緊迫感たっぷりに「Danger - Japanese Ver.-」を演じるのだが、さびをフロアに委ねれば、フロアの歌声と緑色のカクテル光線がミラクルに絡まり、一層スリリングに。「今日は最高に盛り上がって下さい」(ジミン)との声を待たずとも、積極的に一体感を作っていく演出に場内はヒートアップした。

その後、メンバーは白のトップス&黒のパンツにチェンジし、雰囲気は一転。スモークが立ち込める中、歌った「枯葉」では大人びたステージとなり、続くエレクトロニカ・タッチのヒップホップ・チューン「Tomorrow」も安定のクールネスを光らせ、ラストで全員が人差し指を掲げるところまで格好良さ満点!そして一羽の蝶をバックに歌った「Butterfly」では蝶の舞いのような優雅さを練り込み、時にはバレエダンサーのような華麗さで魅せる。

出し惜しみのないチームに対し、J-HOPEは「初めから、こんなにスペシャルで大丈夫?」と心配するが、ジョングクは胸を張って「心配しないでくださ~い。これからもっとスペシャルですよ」とキッパリ。彼の言葉通り、中盤はこのツアーで本邦初披露となった注目曲で大きな山場を作っていく。

まずは全員が横一列に並んで歌った「Love is not over」から。バックには再び「花様年華」の文字が浮かび、彼らはさらに成熟した姿を見せ、ジョングクのもの憂げな表情もタマラナイ。続く「House of Cards」もこの日の大注目曲。前回のツアーはこの曲のインストルメンタルで始まり、そして終わっていた。つまり、この曲は前回のツアーとの連関性を色濃く示すもの。曲名の意は“カードで出来た家”で、テーマは儚い青春。それをジン、V、ジミン、ジョングクのボーカルチームで演じる。モニターには4人の映像がモノクロで映し出され、最後はピアノの音色が深い余韻を残していた。

学校の始業のチャイム音からスタートしたのはRAP MONSTERのソロ曲「What am I to you」。センターステージも活用し、ラブリーな詞をスキルフルなラップで演じていく。学校という舞台は続く「BOY IN LUV -Japanese Ver.-」でもキープされ、RAP MONSTERに白のジャケットを羽織ったメンバーが合流。彼女への愛を鮮烈なビートにのせて歌うと、エンディングにはゴールドのテープが発射された。

その後、映された、ドレッシングルームで黒のスーツに着替えるというビデオは次なるクライマックスへのちょっとしたブレイク。それが終わるとメンバーは光沢のある白のジャケットをまとい、新曲「Save ME」を披露。スピーディーなダンスが展開されるとステージ上にはキラキラ感が充満し、中盤ではRAP MONSTERがサムアップを決める。続いたのは『花様年華Young Forever』のタイトル曲「FIRE」! トラップサウンドにのせてキレキレのダンスパフォーマンスを演じるメンバーたちは、親指と人差し指でL字サインを作って顎に当ててみたり、センターに立つジミンが楽しんでいる表情を見せたりと、緊迫感の中に遊び心を忍ばせる。そしてラストにSUGAが「ヨンソヘジュルケ(許してやるよ)」というセリフを吐く迄、息もつかせぬノンストップの格好良さに襲われることに。これぞ「花様年華」を経て辿り着いた彼らの新境地、そう実感させる見事なステージングだった。


A.R.M.Yと出会った時が花様年華の始まり

後半はファンにはお馴染みのアグレッシブな鉄板曲をから幕開け。「We are Bulletproof Pt.2」では花道やセンターステージを使ってワイドに魅せ、RAP MONSTER、SUGA、J-HOPEの3MCで演じた「BTS Cypher Pt.3 : Killer」はキリキリと攻めが特徴。それまで裏方に徹していたバンドが前面に出てフュージョンタッチな極上サウンドをプレイした後は、メンバーが上下黒にチェンジし、「If I Ruled the World」をパフォーマンス。Vはカメラ越しにマイクをフロアに向けてコール&レスポンスを演出し、ジミンはダブルピースを披露するなど、それぞれがライブを楽しんでいる。また「ペップセ」のラストではJ-HOPEがキレキレのダンスで見せ場を作り、「DOPE」ではVがドラムのアテブリをしながらラップを演じるなど、見どころも満載だ。その後、J-HOPEの呼びかけで会場のみんながWAVEを作れば、あまりの熱気と風圧でジミンとVが倒れ込む場面も! メンバーがフロアの興奮を鎮めるように、ペットボトルの水を撒き散らすが、水を浴びたファンは尚もヒートアップ。「進撃の防弾-Japanese Ver.-」も水を撒きながらのスタートだったが、彼らは勢いで勝負することなく、生の音を大切にしファンキーに演じた。

テーマ曲とも言うべき「進撃の防弾-Japanese Ver.-」を歌い終えたRAP MONSTERはこう自問自答した。
「花様年華の始まりはいつだろう? もしかしたら、それは特別な瞬間じゃなくて、防弾少年団とA.R.M.Y(防弾少年団のファン)の皆さんが初めて出会った瞬間じゃないかな?」
その答えが間違いではないことを確認するかのように、彼らは本編最後にデビュー曲「No More Dream」をチョイスする。ここでのキモはジミンが他のメンバーの背中を蹴って駆け抜けていく通称マトリックスダンスだが、この日はバックダンサーも背中を貸し、“ここぞ”という時に見せる<超ロング・バージョン>を披露。見事成功すると、それを祝うかのように、白いロングテープが発射された。


ファンと過ごす美しい時間は永遠に終わらない

彼らは「花様年華」活動を通して、自分たちの変化や成長、そして人気の広がりを感じたという。それゆえ、アンコールの1曲目は彼らを成長させた「花様年華」シリーズの新曲「EPILOGUE : Young Forever」でキマリ! 夕焼け色に染まった浜辺で一日を振り返るように、この日の公演を振り返る……そんな雰囲気を持つこの曲は、7人の合唱が壮大に響くエモーショナル・ソング。メンバーがマイクを会場に向ければ、客席も唱和し、彼らの「夢に向かって、止まることなく走り続ける」という想いを後押ししていた。

サインボールを投げ入れながら歌った「MISS RIGHT - Japanese Ver.-」でも、RAP MONSTERが「一緒に歌っていきますか」と呼びかけると、フロアは共にシングアロングし、防弾少年団と一つに。さらにアンコール・ラストの「I NEED U(Japanese Ver.)」もメンバーのコーラス&フロアのボーカルで構成されるエレガントなイントロからスタート。その後、エレクトロサウンドはヘビーロックなアレンジに変換されて、その演奏はエンドレス。桜吹雪が舞う中、ステージ上にはまたもピンク色の「花様年華」の文字が現れ、SUGAは指ハートをプレゼントし、Vは「叫べ~」と煽りながら、最後は「コマッスムニダ」と感謝。ジョングクとジミンは投げキッスでフィナーレを飾り、メンバーは最後まで元気いっぱいのはっちゃけぶりでファンを魅了した。

そして終盤、彼らはファンにこう述べた。

V「A.R.M.Yがいるから、いつでも笑顔になれます。今日でツアーが終わりますが、またすぐ会いに来るから。(アンコール時に着けていた伊達メガネをとり、ためを作って、唇に人差し指を当てた後に)浮気するなよ!」
SUGA「僕たちの花様年華は終わりじゃないです。これからもずっとついてきて!」
ジミン「たくさん愛されてきた花様年華シリーズが最後になることで、寂しく思う方も多いと思います。でも、僕はこれからがもっと楽しみ。A.R.M.Yと一緒に成長していく防弾少年団をこれからもよろしくお願いします!(サランヘ・ポーズ付きで)サランハムニダ」
ジン「ここにいるA.R.M.Yはみんな僕の宝物です。A.R.M.Yの薬指は僕のものだよ。こっちにおいで(投げキッス)」
ジョングク「人生で一番美しい瞬間、今日の日を絶対に忘れません。(お茶目なハングルース付きで)また会える日まで待っててね」
J-HOPE「僕の愛。貴女の愛。花様年華のラストを迎えられて、本当に幸せでした。僕たちの花様年華はまだまだ終わりません。いつまでも僕たちの心の中で永遠に残ります」
RAP MONSTER「始めて東京に来たとき、渋谷で300人くらいのファンの皆さんと出会ったことを思い出します。その時の応援の声が今ここで輝いているA.R.M.Yになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。この光を皆さんと一緒に守っていきたいです。皆さんがいない花様年華は無意味です」

「花様年華」とは人生の中で最も美しい瞬間を意味するという。青春の一ページのようにも思われる言葉だが、メンバーらは「花様年華」が終わることはないと話してくれた。
「花様年華」は本当は旧字体で書かれている。そのため“様”の旁(つくり)は下の部分が<永久>の<永>になっているだが、これも果たして偶然だろうか?
エンディングロールの最後にはThanksとして「The Most Beautiful Army」の文字が刻まれていた。ファンは彼らに声援や応援コールを送るだけでなく、防弾少年団と共に歌を歌っていた。それゆえメンバーは「こんなに皆さんと一緒に歌うことが出来て、本当に嬉しいです」(ジミン)、「全ての曲を一緒に歌ってくれて、本当に感動しました」(ジンJIN)と感謝し、贅沢な演出でファンに応えた。例えば、恒例になっているJ-HOPE主導の「お疲れ様でした」音頭も今回は生バンド演奏付きの長尺豪華版。こんな細かなことにもメンバーのファンを愛する気持ちが見てとれる。

防弾少年団とA.R.M.Yが互いを愛する時間こそが「花様年華」。シリーズは終われど、この日の思い出は永遠となり、両者が互いに愛情を寄せる限り、「花様年華」の時間に終わりはない。

ライター:きむ・たく

「2016 BTS LIVE <花様年華 on stage : epilogue> ~Japan Edition~」
会場:国立代々木競技場 第一体育館
日時:2016年8月14日(日) 開場15:00/開演16:00

【SETLIST】
01. RUN -Japanese Ver.-
02. Danger -Japanese Ver.-
03. 枯葉
04. Tomorrow
05. Butterfly
06. Love is not over
07. House of Cards(ジン、V、ジミン、ジョングク)
08. What am I to you(RAP MONSTER)
09. BOY IN LUV -Japanese Ver.-
10. Save ME
11. FIRE
12. We are Bulletproof PT.2
13. BTS Cypher Pt.3 : Killer(RAP MONSTER、SUGA、J-HOPE)
14. If I Ruled the World
15. ペップセ
16. DOPE
17. フンタン少年団(Japanese Ver.)
18. 進撃の防弾 -Japanese Ver.-
19. 2 Cool 4 Skool
20. No More Dream

<ENCORE>
21. EPILOGUE : Young Forever
22. Whalien 52
23. MISS RIGHT -Japanese Ver.-
24. FOR YOU
25. I NEED U (Japanese Ver.)

防弾少年団オフィシャルサイト:http://bts-official.jp/index.html

記者 : Kstyle編集部