【REPORT】ミュージシャンとしての成熟を見せたチャン・グンソク「ついて来いよ。浮気したら蒲焼」と、温かな毒舌キャラ炸裂

Kstyle |

6月3日、チャン・グンソクが日本全国ツアー「2015 JANG KEUN SUK THE CRI SHOW III」の最終公演を日本武道館で開催した。本ツアーは3月14日、大阪オリックス劇場から幕を開け、ホール公演とアリーナ公演からなる全8都市16公演。約3ヶ月に渡るツアーのファイナルであるとともに、彼にとって武道館初単独という意義深いものになった。


モノクロームでディープなミュージシャン、チャン・グンソク

このツアーは3rdアルバム『モノクローム』を引っさげてのもの。前作『Nature Boy』が奔放なグンちゃん(チャン・グンソクも「『グンちゃん』と呼ばれると気持ちよい」と語っていたので、以下、グンちゃんで統一) を表現していたのに対し、今作は落ち着いた味わいのある作品になり、成熟した彼を表現している。それゆえ、彼も「(THE CRI SHOWの) I、IIとは違うアナログ的な世界、モノクロームの世界をみんなと探して行きたい。キラキラだったグンちゃんを卒業しなきゃいけない。だから今回はもっとシンプルに、もっとディープに」と語り、序盤はモノトーンな色彩を感じるじっくりとした展開が光った。

オープニングもノスタルジックな記憶を呼び覚ます白黒映像だ。彼はオープニング・トラック「ひだまり」の世界観をなぞるように「さあ、これからどうするんだ?」と自問する手紙をしたためる。そしてファンに「僕と僕らの本当のストーリーを始めてみよう」と呼びかけ、ライブがスタート。「モノクローム」のコンセプトに合わせるように、黒のパンツ、グレーのインナーに黒のジャケットを重ね、ペーパー・ボートを模したブランコに乗っての登場だ。後で「ブランコはアリーナ・ツアーだけ。(高い場所で乗って) ハンパじゃないよ。チョー、ブルブルしてたよ」と笑わせるのだが、そんなそぶりは微塵も見せない。爽やかな笑顔を振りまき、ブランコごと左右に大きく移動しながら歌ったのは「ひだまり」。そして「Honey, Honey」という詞を観客に歌わせ、自ら一体感を作り上げていく。

続いた「春になれば」では舞台に薄い白のスクリーンが設置され、グンちゃんが公園のベンチに座りながら歌っているかのような演出に。映画のワンシーンをイメージさせるシアトリカルなステージで魅せる。エレクトロニカ・タッチのイントロから始まる「一つ傘の下」ではスクリーンに雨を降らせ、その後は雨に濡れた街をドライブするようなイメージを背景に「Rain」と「ByeByeBye 」をメドレーで。映像とサウンドがグンちゃんの大人な雰囲気を存分に引き出していた。

成熟していく音楽性とは反対に、彼のSキャラは変わらない。座って聞くファンに「よく、座ってるな。立っていいよ」と笑いながら声をかけ、フロアを強制スタンディング状態に。そして「踊りながら歌ってみましょう」と話してダンサブルな曲を披露すれば、モノクロームな世界は一変。ファンキー&ロッキングな演奏にあわせ、グンちゃんも客席も体を揺らした。

歌い終えるとまたも「座ってもいいよ。今からバラードだから」とSな口調で座らすが、すぐさま「今回のセットリストはうなぎ(グンちゃんのファンのこと) の体力を考えて作りましたから」と笑わせる。そして歌ったのは「CRI SHOW I」で作った思い出の「In my dream」。グンちゃんはイントロで頭を揺らしながら曲の世界に入り込み、続いて「僕が一番好きな歌」と紹介した「My Precious」で自らギターをプレイ。共に、広がりのあるブリット・スタイルの幻想的なサウンドで雰囲気はガラリと変化。後者では館内に星が散りばめられ、夢幻的でトリッピーな世界を構築。前半部最後はグンちゃんが「My Precious」といううっとりするような囁きで締めた。


サスペンスタッチの演出からアコースティックバージョンまで

後半はサスペンス調のステージから幕開け。ライトを手に潜入するバックダンサーに続いてステージ入りしたグンちゃんは髪をアップし、肩幅広めのロングコート風ジャケットでショーアップ。アドベンチャラスな「お願い My bus」、高層ビルの窓を粉々にぶち壊すほど重厚感のある叫びが東京の街を揺らす「Let me cry」、そしてゾンビ・ダンサーと競演した「Crazy Crazy Crazy」を三連発。派手なステージで沸かせ、彼が去った後は、戦いの終焉を物語るようなピアノの演奏が観客の興奮を鎮めていく。

髪のセットはそのままに、再びモノトーンなファッションに着替えて登場したグンちゃんは観客を改めてモノクロームな世界に誘う。アコースティック・バージョンの「Driving to the highway」から、ドラマ「メリは外泊中」のワンシーンを想起させる「I Will Promise You 」にスライドし、後者では大きなチャン・グンソク・コールが! グンちゃんが星の煌く夜空の下、隣で歌っているかのよう……そんな雰囲気に酔いしれていく。そして「Save me」「Turn Off」とロックな歌を披露するが、後者ではモニター画面に映し出されたテレビがすべてアナログ・テレビってのがミソ。こんな細部へのこだわりがニクイ。

本編は彼の綺麗な歌声が伸びやかに広がるロック・バラード「セレナーデ」と、歌と映像がドラマティックに一体化した「風」で幕締め。その後、バンド・サウンドに合わせ、ストゥールに腰掛けたグンちゃんが体でリズムを刻み、最後は鳩の飛び立ちでピースフルなエンディングを迎えた。


歓喜するファンにエンドレスのアンコール

アンコールは「さあ、新しい航海を始めてみよう」というモノクロ映像から。グンちゃんはバンダナをお洒落&ワイルドにキメ、ファンと一緒の時間を楽しむように、アッパーでハッピーなチューンを次々に放つ。さらには華麗なスタンドマイク裁きや、ギターのアテぶりも披露し、会場はジャンプ、ジャンプの大興奮。ラストの「一緒につくったメロディ」では歓喜の紙吹雪が降り注ぎ、グンちゃんの目にはうっすらと涙が? ダンサーがグンちゃんの目の下に紙片をペタンと貼り付けたのだが、その紙が漫画チックな涙に見えたのもファンにはいい思い出。一度ハケた後も、再びアリーナ上手から登場し、アンコールはエンドレスに続く。

そして「今日は最後だから帰したくない。ホームは、うなぎと僕、互いに信じられる人のためのもの。帰れば心が温かくなる。だから、(僕にとって) うなぎがいるここがホーム」と語り、「僕の家に帰ろう」と囁きながら「家に帰ろう」を披露。最後は「ただいま」と甘く締めた。

そう、配布されたセットリストでもここまでのはずだった。が、バンドも観客もまだまだやる気満々。まさかのダブルアンコールはTEAM Hの「Feel the beat(Japanese ver.)」でグンちゃんが悩ましい腰の動きでハッチャけ、ラップもかまして、絶頂へ。「お疲れ、みんな!」とシャウトした後はカメラ越しに投げキッス。どこまでもファンを愛するグンちゃんだった。

「歌手としては足りないし、今回のアルバムは日本人のプロデューサーが歌詞を作ったので、すごく発音もむずかしかった」と振り返るが、この日の舞台は歌手チャン・グンソクの音楽性を多面的に見せ、彼の成熟を実感した。

「CRI SHOW10までついて来いよ。浮気したら蒲焼」なんてS調トークも彼流の愛のメッセージ。「今日でショーは終わりだけど、終わりは新しい始まりじゃない?」とグンちゃんは早くも、CRI SHOW4への期待を高めていた。

 

ライター:きむ・たく

2015 JANG KEUN SUK THE CRI SHOW III
会場:日本武道館
日時:2015年6月3日(水) 18:00 開場 / 19:00 開演

【セットリスト】
01. ひだまり
02. 春になれば
03. 一つ傘の下
04. Rain
05. ByeByeBye
06. 夜明け前
07. 淡い雪のように
08. In my dream
09. My Precious + お願いMy Bus
10. Let me cry
11. Crazy Crazy Crazy
12. Driving to the highway + I Will Promise You
13. Save me
14. Turn Off
15. Serenade
16. 風
<ENCORE>
17. Beautiful change
18. Indian Summer
19. 陽の射す方へ + 一緒につくったメロディ
20. 家に帰ろう
21. Feel the beat(Japanese ver.) / TEAM H ※DOUBLE ENCORE

THE CRISHOW III HALL TOUR BOOK & DVD 発売決定!
2010年 JAPAN TOURから始まったチャン・グンソクの挑戦は、CRI SHOW I、CRI SHOW IIを経て彼のアーティストとしての一つの集大成を成し遂げた。あれから3年……全国8都市16公演で新たなるストーリーの幕が上がりさらなる成長を感じさせたCRI SHOW III。そのライブの模様やここでしか見る事が出来ないオフショットなど贅沢に盛り込んだ作品をDVD&ツアーブックで販売!

DVD
・2015 JANG KEUN SUK THE CRISHOW III ~MONOCHROME~ HALLver.
【収録内容】
・disc 1:CRISHOW III HALL 札幌 ファイナル公演を収録
・disc 2:ホール公演6都市(大阪、新潟、福岡、岡山、静岡、札幌)のダイジェスト&
メイキング収録

・2015 JANG KEUN SUK THE CRISHOWIII ~MONOCHROME~ ARENAver.
【収録内容】
・disc 1: CRISHOW III 武道館のアリーナ最終公演
・disc 2:アリーナ公演(武道館・神戸) ダイジェスト&メイキング収録

2015年10月10日発売予定 各6,980円(税込)

■ツアーブック
ホール公演6都市の全記録を1冊のフォトブックに!
2015年6月5日発売予定 2,160円(税込)

詳細ページ:http://www.jang-keunsuk.jp/crishow3_dvd/

記者 : Kstyle編集部