2PM チャンソンの“本当の時間”が流れ始めた ― Vol.1

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チャンソンはゆっくり、そして地道に走りたい男だ。2PMの人気を足場にして人を追い越したい気持ちも、アイドルというタイトルを使って基本的なコースをうやむやにして次に行きたい気持ちもない。チャンソンはただ心が行くままに力を入れず走りたいだけだ。ここ1~2年間、変わった点があるとしたら、音楽と演技に臨む明確な態度だ。ただ前だけ見つめて思いっきり走ってきた青春は、もう立ち止って自分が何を望むのかを真面目に考えるようになった。チャンソンの本当の時間が流れ始めた。

―香港で開催された「2014 Mnet Asian Music Award」から帰国してすぐこのインタビューを行っている。また、2PMのワールドツアーは映画のプロモーションと重なったが、こんなにも忙しいスケジュールを消化する20代になると想像したことがあるのか?

チャンソン:まったく想像しなかった(笑)

―今の忙しい生活は何のためだと思う?未来のための投資?面白い仕事?それとも、ただスケジュールだからやらなければならないと考えている?

チャンソン:僕が消化するスケジュールにはすべて意味があると思う。もしそんなことを考えず、ただ体が疲れるだけだったら心も大変になるはずだからだ。そして、最近「この業界の仕事をやっていくことが僕の人生の目標だ」と考えているので、僕に与えられた仕事により集中している。

―つまり、「歌手という職業が僕が歩んでいくべき道だ」ということを今になって感じたということなのか?

チャンソン:最近、そんな考えが明確になっていると話した方がより正確だろう。僕ももうデビュー9年目だ。(2PMとしては7年)9年間、本当に色んなことがあった。そして、体が疲れたら、考えが否定的になった。例えば、スタッフに寂しさを感じる時は「この人たちは本当に僕のことを考えてくれる人たちだろうか?」と考えたりもした。でもある瞬間、そんな悩みはすべて無駄だということに気づいた。否定的な考えがむしろ僕を苦しめる毒だった。メンタル面に悪影響を及ぼすということに気付いた後、状況を見る視線がかなり変わった。

―否定的な考えは無駄だということに気付いても、その考え方を変えるのは決して簡単ではない。どんなきっかけがあったのか?

チャンソン:会社にメンタルケアをしてくれる心理学の先生がいる。メンタル面の管理は練習生から職員までJYPエンターテインメントの全員を対象に行われている。そして、僕はもともと楽天的な性格だ。先生に初めて会った日、心理状態を自己診断するチェックリストに応じた。先生は僕がチェックした項目を見た後、「最近働いていることが幸せでしょう?」「はい」「不満もないでしょう?」「はい」「特にケアする部分がないから、心理学に興味があると聞いたので一緒に勉強でもしてみましょう」と言われた。その時から先生と心理学を勉強し始めた。もう3年ぐらい経った。

―心理学に関心が高いのは他人の心理が知りたいからなのか?それとも、自分のことを知りたいからなのか?

チャンソン:両方ともだ。僕は普段自分自身に対する質問が多かった。「僕はどうしてあんな行動を取ったんだろう?」「あの時、どうしてあんなことを考えたんだろう?」ということを周期的に悩んだ。それで、先生からアドバイスを聞いてお勧めしてくれた本を読みながら、頭の中に複雑に絡んでいた考えが整理できた。

―他人に接する時も少し気楽になったのか?他人の心理を把握できるのか?

チャンソン:まだ他人の心理をのぞき見れるレベルではない。でも、より深く理解するようにはなった。例えば、ある人がとても特異な行動をしたとしよう。そしたら、今は「あの人はあの行動を通じて心が慰められるだろう」と思う。

―先ほど、「この仕事は僕が歩んでいくべき道だ」と感じてからはわずか1、2年ぐらいしか経っていないと話したが、それではその前は歌手ではなく、違う仕事をする可能性もあると考えたのか?

チャンソン:そんなこと自体をまったく考えなかった。ただ熱心に頑張った。でも、今は違う。僕が今やっている仕事に対する態度がより明確になった。

―その道には演技もあると思う。実は歌手より俳優を先に始めた。

チャンソン:その通りだ。「思いっきりハイキック!」に出演したからだ。

―この2ヶ月間、「レッドカーペット」「ダイナマイト・ファミリー」といった2本の映画で観客に会った。一つの映画の感興が冷める前、もう一つの映画が公開したわけだが、残念な部分も、逆に攻撃的で嬉しい部分もあると思う。どちらなのか?

チャンソン:「7級公務員」(2013)が終わってその夏にすぐ「レッドカーペット」を撮影した。そして、またまもなくしてから「ダイナマイト・ファミリー」の撮影に入った。実はこの2作品がこんなに近い公開日になると思わなかった。公開が延期されていたから「今年は公開しないみたい」と思った。2作品ともこのように公開されて嬉しいと思う。

―初の映画「レッドカーペット」ではアダルト映画の撮影現場の末っ子スタッフデユンを、「ダイナマイト・ファミリー」では諦めることを知らない4番目の息子スグンを演じた。2人ともコミカルで天然な部分があるキャラクターだ。それで、個人的には2人のキャラクターの雰囲気が違ったらどうかなと思った。

チャンソン:僕も気になった部分だ。観客が「あの人は演技のトーンが似ている」と考えるかもしれないからだ。そんな話を聞いたらとても悔しくなると思うが、僕の周りの知人たちは僕の演技が足りなかったと僕の前では話さないと思う(笑) それで、正確なフィードバックを得るために努力している。

―もし“好きなこと”と“上手くできること”のうち、一つをを選ばなければならないとしたら、どっちを選ぶ?

チャンソン:2つが同じなのが一番いいが、2つの中で一つだけ選ぶとなったら好きことを選んだ方がいいと思う。もちろん、変数はある。それは他の人の意志によって上手くできるようになったことか、自分の意志によって上手になったことかの違いだが、もし自分の意志で上手くなったとしたら、それを選択する。その場合、好きなことは趣味としてやればいいと思う。

―明快な答えだ。チャンソンにとって演技は“好きなこと”と“上手くできること”のうち、どっちだと思う?

チャンソン:演技は自分が好きでやりたいことだ。上手くやっているかどうかはまだよく分からない(笑)

―欲張る方なのか?

チャンソン:欲張る方だが、勝負欲はない。

―重要なポイントだと思う。どうして勝負欲はないの?

チャンソン:先ほど話したことの延長線になるかもしれないが、「他の人より上手くやらなければならない。また、他の人より良い結果を出さなければならない」という考えが自分を壊すということに気づいた。僕だけ熱心に頑張っているのではない。誰もが自分なりの方法で最善を尽くしているのに、それに勝つとむやみに頑張るのは果たして正しいのだろうかと思った。そして、結果は努力に比例するものではないのが事実だ。

―そうだ。結果と努力は比例しない。

チャンソン:僕が一生懸命努力するからといって成功するという保証はない。もちろん、毎瞬間努力はしている。ただ、結果は期待しないという意味だ。

―そんなことに気づくにはまだ若いと思う。まだ25歳じゃないか(笑)

チャンソン:あっ!そうかな(笑)

―心理学では、世の中には頑張ってもできないことがあるということを悟った時、そのことをどのように見つめるのが健康的だと言う?

チャンソン:認めなければならない。

―認めたら人は変わると思う?

チャンソン:僕はそうだったと思う。俳優も、歌手も、画家も、自分が持つカラーを通じて「僕はこんな人です」ということを見せる職業だ。だから、彼らが最も輝く瞬間は人々がそのカラーを分かってくれる時だが、その時期が来ないからといって落胆したり、自分の才能を壊すことはしないでほしいということだ。もしそんなことをしたら、さらに残念な状況が起こるはずだから。

―でも、芸能界は勝負欲が必要な世界だ。

チャンソン:僕もそう思う。多くの人が競争をそそのかす。それに心が揺れないことが重要だ。

―歌手になる前のチャンソンはどんな人だった?

チャンソン:テコンドーをやった。剣道も少し習った。実は幼い頃はこれといった夢がなかった。小学校の時によくやる夢を書く提出物に、僕は一度も自分の意志で職業を書いたことがない。同じクラスの友達が「僕は大統領になる」と言ったら「僕も大統領!」、「科学者になる」と言ったら「僕も科学者」のように真似して書いた。ところで、幼い頃、みんなが大統領や科学者を夢見るなんておかしいと思わない?

―詰め込み教育の問題だ。

チャンソン:あの時はあれがおかしいとまったく考えなかったが、今は僕が正常な子だったと思う(笑)

―チャンソンはチームの末っ子だ。そして、末っ子は大きく2種類に分けられると思う。一つは末っ子だからよりやんちゃになるか、もう一つは末っ子の扱いをされたくないからわざと大人っぽく行動する。チャンソンはどっちなのか?

チャンソン:2つとも違うと思う。2PMは友達のような雰囲気のチームだ。ミンジュン(Jun. K)、テギョン、ニックン兄さんは「僕が兄だから君は合わせて」のような態度を取らない。そして、末っ子ラインも「僕が弟だから~」と言わない。もちろん、人間対人間としての礼儀は守る。基本的な線を守りながら友達のように付き合っている。

記者 : チョン・シウ、写真:ク・ヘジョン、翻訳:ナ・ウンジョン