台本のない「花より」シリーズ、支えているのはナ・ヨンソクだけではない!プロデューサーと作家の仕事とは?

OSEN |

写真=ミン・ギョンフン
「片付けたつもりだけど」(イ・ジンジュプロデューサー)「あ、片付けたの?」(イ・ウヒョンプロデューサー)

見たかった。そして会いたかった。tvN人気バラエティ番組「花より青春」をはじめ、これまで「花より」シリーズを作った制作陣との出会い。編集室をそっと覗いてみたいという取材陣の要請にイ・ウヒョン、イ・ジンジュプロデューサーがが照れ臭そうに笑った。

放送編集装備がある編集室には、予想通り歯ブラシと歯磨き、そしてコップなどの生活用品があった。それから、明け方に寝られるよう簡易ベッドが片隅に置かれていた。広い世界のあちこちを回る「花より」シリーズ。ひたすら編集だけが行われ、かろうじてひとりが横になることができるぐらいの小さな空間で「花より」シリーズが最終的に出来上がる。

ナ・ヨンソクプロデューサーが大きな絵を描き、総指揮を務め、2人のアシスタントディレクターが現場で演出を手伝い、編集を務める。彼らは細かなところまで気を配って肉付けする。このプロデューサーたちは現場の演出のみならず、「花より青春」で私たちを笑わせたり、泣かせたりする字幕と音楽など、全体的な編集に携わる。その後ナ・ヨンソクプロデューサーが最終的に編集を行う。

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また、他の主役であるチェ・ジェヨンとキム・デジュ作家も欠かせない。KBS 2TV「ハッピーサンデー-1泊2日」から今の「花より」シリーズまで彼らが手がけた。メイン作家イ・ウジョンと番組の大きな礎石から小さな仕上げ材まできちんと積み上げてきた。

もちろん、彼らは誤解されやすい。「1泊2日」から「花より」シリーズまで、出演者たちが自由に旅行をする番組であるため「作家たちは何をするんだ」と首を傾げる人も少なくない。いわゆる遊んでいるのではないかという意地悪な質問。「花より青春」の制作陣とのインタビューもその質問から始まった。

チェ・ジェヨン:最初の質問になるだろうと思いました。ハハ。いわゆるリアルバラエティ番組は、現場が重要です。制作段階において作る前の状況、作る過程、後半作業までプロデューサーと作家がパートナーのように協力する仕事が多いです。作家が何をしているかという質問には、左手と右手のように一緒に協議していると申し上げられることができます。一緒に意見を出します。

キム・デジュ:「花より」シリーズや「1泊2日」などで番組に入る前に、作家とプロデューサーが一番することが会議です。その次が踏査です。「花より」シリーズが訪れたところは、実はプロデューサーと作家が行ってみたところがほとんどです。私たちもラオスの踏査は少ないお金でしました。出演者たちのように安い宿所を探したり、予約せず行ったりしました。道端で食べてみたし。私たちが全部やってみたことです。

リアルバラエティでよく練られた構成はできません。できることがないので、現場で対応できるよう調査します。文章を書くより、体ですることが多いです(笑) 作家は何をしているかというと、主にそんなことをしています。「1泊2日」の時はおでんにカプサイシンを塗って食べられるかと食べてみたのが私たちです。カナリエキスの比率のようなものも私たちが決めました。番組に流れるすべてのものを事前にやってみます。作家やプロデューサーがやってみてこそ、現場で制作することができます。

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チェ・ジェヨン:ドラマの脚本家とは違い、私たちは現場にいてプロデューサーが編集するとき、意見を提示します。制作のAからZまで一緒にするわけです。作家が正確に「このようなことをしている」と申し上げることは難しいです。どうすれば出演者たちにより楽しく遊んでもらうか、その遊び場をどういうふうに作るか悩みます。実は私たちも何をしているのか分かりません(笑) 10年ほど作家をしてきましたが、最初はバラエティにも台本がありました。その時は台本を書きましたが、ある段階から台本を書かないようになりました。特に私たちがする労働集約的なバラエティには台本がありません。

「花より青春」では適材適所で活用される字幕や音楽が見事に大役を果たした。バラエティをドラマのように連続した話としてしっかりと繋げ、スターたちの旅行記をまるで私たちの話のように感じさせるのに字幕と音楽は相当大きな力を発揮する。可愛くて繊細な字幕と心の琴線に触れる音楽は「花より」シリーズの自慢であり、この番組が構築したブランドになった。

イ・ジンジュ:初めて「花よりおじいさん」でおじいさんたちと旅行をしながら思ったのが、意外と可愛いということでした。視聴者たちにも私が感じたようにおじいさんたちを可愛いと思って見て頂きたいと思いました。それで、可愛らしい字幕をつけました。

イ・ウヒョン:プロデューサーごとに好きな音楽ジャンルがあります。そして、状況に合わせて音楽を探して入れます。チェ・ジェヨン作家の言葉を借りれば、「花より」シリーズのプロデューサーたちは編集するときに限らず、普段からパソコンのフォルダに音楽を保存し、必要なときに使えるようにしている。制作陣が番組を始める時、ドラマといえばメインBGMに当たる音楽を選ぶ。「花よりおじいさん」の「大地の港」、「花より青春」の「君だけを感じながら」がそうだった。「花より青春」ペルー編はユン・サン、ユ・ヒヨル、イ・ジョクの歌で満たされた。「花よりおじいさん」はかばん持ちのイ・ソジンが出演した「本当に良い時代」の収録曲と絶妙に一致した。

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イ・ジンジュ:ミュージシャンたちへの愛情があります。私が聞いた音楽を、他の人たちも知ってほしいという気持ちがあります。イ・ソジンさんのBGMとしてチェ・ベクホさんの歌を使ったことは偶然でした。私はチェ・ベクホさんの音楽が好きです。それで入れましたが、それからすぐ「本当に良い時代」に出演することになりました。偶然です(笑)

チェ・ジェヨン:ペルー編では悩む必要がありませんでした。出演した歌手たちの歌を入れるだけで済みましたので。ユン・サン、ユ・ヒヨル、イ・ジョンさんのアルバムは音楽の宝庫じゃないですか。その方々も自分たちの歌がどれほど流れるか数えていました。ユン・サン氏が赤ちゃんみたいです(笑) 自分の歌が流れると喜びました。

「花より」シリーズは、リアルバラエティ番組である。最近では観察バラエティとも呼ばれる。制作陣は旅行という状況を設定し、出演者たちを観察する。視聴者たちが知りたいことは、出演者らが見せてくれる姿が本物なのか、制作陣は本当に如何なる状況でも介入しないのだろうかということだ。

イ・ウヒョン:手も出さないと思えばいいです。少しでもそばで手伝ってあげたらすぐに気づかれます。いきなり誰かが乱暴したり、危険的状況になれば、私たちが介入しなければなりません。そんな場合を除いて、ひとまず第一原則は彼らが集中できるよう介入しないことです。

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ほぼ一日中カメラが回っているだけに、どうしても放送できない密かな部分もあるはずだ。制作陣が予想しなかった突発的状況も多い。一体どこまで放送されるのだろうか。

イ・ウヒョン:意外と露出シーンが多いです。どう想像しても、それ以上です。

イ・ジンジュ:出演者たちは、ある瞬間カメラを認識しなくなります。集中するのです。そのため、そんな問題が発生してしまいます(笑) 彼らも3日ぐらい経つと忘れてしまうと言っています。若い出演者たちもそうなので、おじいさんたちはなおさらそうでしょう。3日ぐらい経てばカメラがあるのを忘れてしまうとユ・ヨンソクさんが言っていました。

チェ・ジェヨン:しかし、カメラの前でカメラを認識させないようにすることが制作陣のノウハウです。彼らにリアルな状況を作ってあげることや、どういうふうに現場の雰囲気を作ってあげるかが重要です。単純にカメラが隠れているわけではありません。撮影技法上の問題ではなく、出演者たちが感情に没頭できるような環境を作らなければなりません。

キム・デジュ:例えば、ラオス編では私たちが苦労して踏査しましたが、全て無駄でした。スタッフが予めその場所に行って綺麗なシーンを撮影しておき、出演者らが来るのを待っていましたが、彼らは来なかったです。本当にガイドブックにある旅行先は誰も見ませんでした(笑) だからといって、私たちが出演者たちにその旅行先に行ってほしいと要求することはできません。旅行というものは、人それぞれの楽しみ方が違うじゃないですか。ラオス編は私たちが思ったよりも、一般的な旅行先に行きませんでした。もちろん残念な部分もあります。それでもすぐに撤退し、出演者たちが行くところを撮るのです。最初から自分の予想通りになるとは思いませんでした(笑)

「花より」シリーズに出演したスターらは皆親近感があり、人間的だ。遠くに感じられた彼らとさらに近くなったような感じ。これは、スターの性格から親近感がにじみ出ているためだ。このようなスターたちの性格、いわゆるキャラクターは制作陣が作るのではないだろうか。

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キム・デジュ:「ユ・ヨンソクさんはキャラクターを母にしよう」のように決定できるわけじゃありません。もちろん制作陣が旅行に行ってたくさん話し合います。B1A4のバロさんはあまりにも楽しんでいた、ホジュンさんは親近感があった、こんな話をします。撮ってからの話です。撮影後、編集する過程で思い出すんです。キャラクターは自然に出ます。意図したものではありません。

イ・ジンジュ:人間が24時間カメラに写されれば、当然本来の姿が出るしかありません。キャラクターを把握することは本当に容易な仕事だと思います。意図したものではありません。友達の中で誰かを思い浮かべば、すぐにその人のイメージが頭に浮かんでくることと同じだと思えばいいです。それだけ長い間一緒にいましたので。

制作陣の介入を最小限にする番組である「花より」シリーズは、それだけ予想外の楽しみが多い。突然押し寄せてくる楽しみと感動。これが「花より」シリーズの魅力であり、人々を引き寄せる力だ。

イ・ジンジュ:「花よりお姉さん」撮影の時、展望台がありました。そこが重要な観光コースでした。ユン・ヨジョン、キム・ヒエ、イ・スンギさんだけがそこに行ってみると言い、他の人は行かないと言いました。それで、他の人はカフェでコーヒーを飲んでいましたが、その時ある観光客たちに出会ったのです。その中の一人がイ・ミヨンさんに「幸せになってほしい」と言い、イ・ミヨンさんが泣きました。実は制作陣は、旅行中に出演者が二つのグループに分かれると不安になります。たくさん集まっていてこそ放送分量を確保することができますので。しかし、予想しなかったところで胸に響くシーンが出来ました。

キム・デジュ:ラオス編はユ・ヨンソク、ソン・ホジュン、バロさんが楽しく遊んできたと思います(笑) 私たちよりもっと楽しく遊んできました。ヨンソクさんとホジュンさんの間に少し意見の衝突があったじゃないですか。しかし、それは制作陣が踏査に行った時と似ていました。私は踏査なのであちこち全て見なければならないと思い、他の人々を連れて行こうとしました。でも、一緒に行ったシン・ヒョジョンプロデューサーは疲れたから行かないと言いました。宿所だけ見て行こうと言ってきたのです。末っ子の作家は「喧嘩しないでください」と言いました。それで、3人の立場がそれぞれ違って対立があったとき、それが意外だとは思いませんでした。みんな似てるんだと思いました。出演者たちより、実際は制作陣が下見に行ったときがもっと喧嘩したと思います(笑)

3人とも周りにいるようなキャラクターです。ホジュンさんは、ネットの書き込みを見ても“共感のホジュン”となっています。ヨンソクさんは女性の理想のタイプです。あの人は全てを持っています。不思議です。バロさんは、誰が見ても末っ子です。ラオス編は「花よりおじいさん」の響きもなく、「花より青春」ペルー編の感動もなかったです。しかし、共感される方はより多かったです。

記者 : ユン・ガイ、パク・ヒョンミン、ピョ・ジェミン