パク・ジョンミン「『君たちは包囲された!』のチ・グクは失敗作…ものすごく情けなかった」

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写真=キム・ジェチャン
思ったより冷たくて、予想よりはるかに真剣だった。メガネをかけて「テグテグ」を叫んでいたチ・グクの姿とは確かに異なる。テレビとスクリーン、舞台を離れたパク・ジョンミン(27)の姿ははるかに静的だった。

テレビでは馴染みのない顔。しかしすでに映画界では“有望株”で、固定的なファン層が形成されている。2007年に「世界の果て」でデビューし、2010年には独立映画界に大きな足跡を残した映画「Bleak Night(原題:番人)」でも線の太い演技を披露した。演劇界でも同じだった。最近自ら投資した演劇を舞台に上げるほど演劇に臨む姿勢も特別だ。この俳優をテレビで見ることができるというニュースに、彼のファンの心も躍った。

SBS水木ドラマ「君たちは包囲された!」(脚本:イ・ジョンソン、演出:ユ・インシク)を通じて“有望株”というレッテルを剥がすいう覚悟を語ったパク・ジョンミンは記者の質問に「完全に失敗した」と首を横に振った。自分に厳しいこの男が気になりはじめた。

「『君たちは包囲された!』のチ・グク、正直失敗だ」

地上波ドラマの主演だった。この、ときめく初挑戦にパク・ジョンミンの胸もドキドキしたはずだ。ところが彼は「君たちは包囲された!」を通じてドラマの魅力を感じたという。ドラマに出演する前は「二度とドラマには出演しない」と「NOドラマ」を叫んだ彼だが、実はちゃんとした作品に出会えなかったという。しかし、パク・ジョンミンが「君たちは包囲された!」の中の自身につけた演技点数はわずか65点だった。思ったより点数が厳しい理由が気になった。

「このドラマには視聴者が分からないところがあります。演技的にあまりにも大変な部分が多かったです。その日は忘れられないと思います。演技的に何かが出なくて、スタッフも同僚も私を待ってくれた日がありました。その日は死んでも忘れられないと思います。ぎゅっと抑えていた弱点がバレた日です。このスタッフに迷惑をかけた自分自身を受け入れることができないと思いました。その時、自身が本当に下手だということに気づきました」

自身をけなすタイプだというパク・ジョンミンは、自身に低い点数を与えると同時に厳しかった。自分自身に「生意気だった、足りなかった」と気兼ねなく話す姿から彼のプレッシャーと気苦労が伝わってきた。特に「君たちは包囲された!」の中のチ・グクというキャラクターに対して「完全に失敗した」と話すこの男には自身だけの確固たる基準があった。

「私とチ・グクは完全に違います。私の中にチ・グクみたいなところはほとんどないと思えばいいです。チ・グクを演じる時、私は何かに閉じ込められていました。欲を出したんです。パク・ジョンミンを消してチ・グクを作ってみようと思い、声から走る姿、鉛筆を持つ姿までチ・グクのように作りました。そうしていると楽ではなくなりました。視聴者の方々は面白いと言ってくれたけど、先輩たちには『なんで作るのか』と言われました。高段者の目には全部見えていたようですね。その時から自分を離しました。そしたら、第20話からは本当のチ・グクの姿が出ました。私が見ても第1話から4話までの演技は恥ずかしいです。試行錯誤も多かったし、たくさん学びました」

パク・ジョンミンは自分に対するはっきりとした基準を持っている俳優だ。チ・グクという人物をきちんと表現できなかったということも自ら打ち明けた。視聴者の目にはキュートで明るいチ・グクの姿が残っているだろうが、その中でチ・グクと絶えず衝突していたパク・ジョンミンにとってその時間は悟りであり、学びの瞬間だった。

「お金をもらって演技をするのに、見せることができず自分の経験で終わらせるのはとても恐れ多いことです。視聴者をもっと面白くさせることもできたはずなのに、自身の怠慢な姿だけを見せたのではないかという申し訳ない気持ちもありました。今回はその後悔がちょっと大きかったです。でも、個人的には『君たちは包囲された!』に出演してよかったと思います。神の一手ですね」

「撮影現場の雰囲気は最高だった。良い人たちを得た」

彼はドラマを通じて良い人たちを得たという。「君たちは包囲された!」に出演する前は自身のことを知らない俳優も多かったという。ソン・ジル、ソ・イスク、イム・ウォニ以外の俳優たちはみんなパク・ジョンミンという俳優の名前を初めて聞いたという。

「みんな私を知らないので最初は『どうやって切り抜けていくか』が主な悩みでした。外向的な性格でもないのでたくさん悩みましたが、幸い同僚たちが先に近づいてきてくれました。とてもありがたいと思いました。自分が生意気に思えるくらいうまくやっている同僚を見て感嘆しました。私が演技の面で大変だった時も私を待ってくれたし、かばってくれました」

パク・ジョンミンは特にソン・ジルに対する大きな信頼を表した。P4の中でも特にソン・ジルと一緒に演じるシーンが多かったパク・ジョンミンは、映画などでよく会ったソン・ジルのアドバイスを信頼し、従った。ソン・ジルはパク・ジョンミンと彼のキャラクターに対するアドバイスを欠かせなかったという。

「ソン・ジルという方は心にもないお世辞は絶対言わないタイプです。客観的に話してくれる方です。ソン・ジル先輩に言われました。こんなスタッフと同僚に会うのは10年に1回あることだと。みんなそう言いました。私はドラマが初めてだから全部同じだと思っていましたが、絶対そうではないと言われました。私は本当にラッキーだと思いました」

「2014年上半期はすごくつまらなかった」

「不慣れなくせに何だか生意気だった」というパク・ジョンミンは、自身の状況を振り返りながら初めて主演を務めた地上波ドラマだった「君たちは包囲された!」がむしろ自分の自信感を一度折るきっかけになったと明かした。生意気になる自身を引き締める作品だったというのだ。

「ここで一度間違ったら、二度と回生できない過渡期にいました。その時に『君たちは包囲された!』に出会ったのはラッキーなことでした。5~6ヶ月ほど休んで、焦っていました。ちょうどそんな時に楽々とドラマの主演になり、すぐに生意気になれると思いました。今この瞬間を思うと『君たちに包囲された』に出演してよかったと思います。かなり謙遜するようになりました。これまで『上手だ、けっこううまい』とたくさん言われましたが、今回はその高ぶった態度がすっかり消えました」

彼が言う2014年上半期は“つまらなさ”だった。「すごくつまらなかった」というパク・ジョンミンの2014年は、思ったより充実したものだったが、本人にとってはむち打ちができる時間だったという。直接投資した演劇「Gコードの脱出」はもちろん、「君たちは包囲された!」でも「良い意味でつまらなかった」と話した。一度つまらなかったから、これからはつまらなくならないというのがパク・ジョンミンの覚悟だ。

「今年上半期まですごくつまらなかったです。でも、どうしてつまらなかったのかが分かるような気がします。この過程がなかったら、人生の中でいつかは来たでしょう。今年の上半期がそうだったと思います。この時間を早めに経て30歳になる前に何かを成し遂げればいいと思います」

パク・ジョンミンははっきりとした目標を持っており、欲がある俳優だった。自身が進む道に対する意識がはっきりとしているからよそ見をすることもないはずだ。そのため、好き嫌いがはっきりとしていて、進もうとする方向も確実だった。

「私の足りないところを満たすことができるものに出会ってやってみたいです。まだもっと勉強をしたいです。演技を遅めに始めたほうですが、むしろ全部知っていると思ったのが誤算でした。傲慢でした。私は中身のない木でした。早く埋めなければならない瞬間が来たわけです」

何年も“有望株”というレッテルが付けられている。パク・ジョンミンは、プロ野球では“有望株”のまま年老いた人を“老望株”だと言われると話しながら「まだパク・ジョンミンの時ではない。いつかは一度来るだろう」と気長だけど確かな話も付け加えた。「着実にするのが大事だ。上にいる人を羨ましがるな」というイム・ウォニの話を繰り返して思いながら、パク・ジョンミンはいつか来る時を待っている。

「今すぐ時が来てほしいと思ったこともたくさんありました。でも『君たちは包囲された!』を通じて考えが変わりました。むしろもう少し後で来てほしいです。このドラマに出演して私があまりにも下手だということに気づいてしまったからです。この状態では時が来ません。いつかは誰かが私を羨ましがる時期が来るでしょう。今はその時を待っています」

記者 : ムン・ジヨン