Vol.1 ― 韓国版「家政婦のミタ」放送終了…消せなかった原作の影“それにもかかわらず”

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※この記事にはドラマ「怪しい家政婦」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「怪しい家政婦」スクリーンショット
SBS月火ドラマ「怪しい家政婦」(脚本:ペク・ウンチョル、演出:キム・ヒョンシク)が韓国で26日に放送された第20話を最後に幕を下ろした。日本テレビ系列のドラマ「家政婦のミタ」を原作にしたこのドラマは、放送序盤から「原作から抜け出せていない」という評価と受けると共に、月火ドラマの視聴率競争で3位を記録するという屈辱を味わったが、今の韓国が直面している現実を描きながら最後にはハッピーエンドを迎えた。


現実を反映したストーリー“崩壊した家族、孤独な人々”

「怪しい家政婦」の舞台となったウン・サンチョル(イ・ソンジェ)の家は家庭崩壊の危機に瀕していた。妻と子供たちが海外で勉強する間、家長として、夫として、父親としての立場を認知しないまま社内で不倫をしていたウン・サンチョルは、妻と3人の子供たちが韓国に戻ってきた後も迷走し続けた。

結局、不倫相手のユン・ソンファ(ワン・ジヘ)が妻に会って離婚してほしいと要求し、これにより子供たちから母親を奪う結果をもたらした。その後もウン・サンチョルは自分の子供たちに愛を寄せることができず、むしろ「君たちのせいで結婚したんだ」と苦しんだ。怪しい家政婦パク・ボクニョ(チェ・ジウ)の登場以来、ウン・サンチョルは徐々に父性に目覚め、父親としての居場所を見つけた。

ドラマの所どころには、現実においてよく見られる苦しみが存在した。しっかりしている長女ウン・ハンギョル(キム・ソヒョン)は初恋に目覚めた思春期の少女で、ウン・ドゥギョル(チェ・サンウ)は自身の将来を心配する少年、ウン・セギョル(ナム・ダルム)は頭は良いものの学校ではいじめられる少年だった。末っ子のウン・ヘギョル(カン・ジウ)は母親が必要な子供として登場した。

パク・ボクニョのストーカーだったソ・ジフン(ソン・ジョンホ)は、歪んだ執着のために自分が愛した女性のすべてを奪いながらも、結局彼女の笑顔を取り戻してあげようとした。他人のことに興味がある隣の家の女性(パン・ウニ)は浮気をする夫のことで心を痛めていたし、毎日笑顔を見せていたおばさん(シム・イヨン)は自分の気持ちをすべて表すことができずに苦しんでいた。

崩壊の危機に晒されていた家族はパク・ボクニョによって“家族の絆”を感じながら少しずつ親しくなり、ストーカーのせいで夫と子供を失い、笑えなくっていたパク・ボクニョは、ウン・サンチョルの家族のそばで自分が教えた“家族の絆”を自ら学んで笑顔を取り戻した。

原作のキャラクターをそのまま移したロボットのような話し方と行動で視聴者の心を得ることができなかったパク・ボクニョは、自身だけの方法で周りの苦しむ人々を癒した。何でもてきぱきと、どんな難しいことも「それは命令でしょうか」と聞き返しながら実行するパク・ボクニョのキャラクターは現実的ではなかったが、視聴者はドラマを見ながら小さな慰めを得た。


2013年最後の日本ドラマリメイク作、結果は?

「怪しい家政婦」は「その冬、風が吹く」「オフィスの女王」「女王の教室」に続き、今年4番目の日本ドラマのリメイク作品だった。「怪しい家政婦」はその中でも「オフィスの女王」や「女王の教室」と似ている設定で関心を集めた。主人公が感情を無くしたまま生きていること、彼らを中心にストーリーが展開されること、主人公にはそうするしかなかった大きな事情があったなどの設定が似ていたため、3作品が比較されたのである。

主人公のチェ・ジウは「オフィスの女王」のキム・ヘス、「女王の教室」のコ・ヒョンジョンとは違い、演技の面で高い評価を受けたことがないため、懸念の声もあった。最初はロボットのような人生を生きているパク・ボクニョのキャラクターに共感できないとして、チェ・ジウに対する演技力議論が浮上したのも事実だ。しかし、ドラマの中盤からはパク・ボクニョの事情が明らかになり、怒りと後悔などの様々な感情が現れながらチェ・ジウの演技力議論は収まった。

先に放送された作品とは異なり、「怪しい家政婦」には夫の不倫とそれによる妻の自殺、すべてのことに気づいた長女の家出と援助交際をしていると誤解されたことによる自殺の試み、脅迫、復讐など、刺激的な設定がたくさん盛り込まれていた。

これらの要素は確かに家族を一つにし、主人公が怪しい人生を生きるしかなかったことを説明するためには必要だったが、韓国で容認されるレベルを超えていたために“どんな風に描かれるのか”と人々の好奇心を刺激した。だが蓋を開けてみると、「怪しい家政婦」は大きな脚色はなく、原作の刺激的な設定がそのまま反映されたため、“韓国の情緒には会わない”という指摘もあった。

その結果、日本で最高視聴率40%を突破した原作とは異なり、残念ながら「怪しい家政婦」は10%弱の視聴率に止まった。これも月火ドラマの視聴率競争で強敵だったKBS 2TV「グッド・ドクター」が終了し、MBC「奇皇后」が始まる前までの2週間の記録に過ぎなかった。


たくさん残る物足りなさ…“それにもかかわらず”

すべての視聴者の共感を得ることはできなかったものの、パク・ボクニョの最後の姿はお茶の間に静かな感動を与えた。今まで理解しにくかったキャラクターだったためか、やっと見せてくれた淡い笑顔だけでも視聴者はパク・ボクニョの真心を受け入れることができた。

チェ・ジウの再発見、それぞれの場所で自分のキャラクターを演じきった子役たち、日本のドラマをリメイクした作品でありながら日本のテレビ局に逆輸出されることになった「怪しい家政婦」。豪傑に笑うことはできなかったが、パク・ボクニョの最後の姿のように淡い微笑みを浮かべることはできた。

「怪しい家政婦」の後番組として新ドラマ「温かい一言」(脚本:ハ・ミョンヒ、演出:チェ・ヨンフン)が放送される。

記者 : チョ・ヘリョン