「そして父になる」是枝裕和監督“子役俳優の演技を引き出すノウハウは…”

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是枝裕和(51)は今最も愛される日本映画監督の一人である。初の長編「幻の光」(1995)が第52回ベネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞して注目を浴びた彼は、2004年には「誰も知らない」の主演柳楽優弥(当時14歳)が第57回カンヌ国際映画祭で最年少で最優秀男優賞を受賞する快挙を達成し、日本を越えて世界を驚かせた。2009年には「空気人形」の主演ペ・ドゥナが第19回日本映画プロフェッショナル大賞の主演女優賞を受賞したことで韓国でも厚いファン層を確保した。

「そして父になる」で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、もう一度名前を世界に知らせた是枝裕和監督。第18回釜山(プサン)国際映画祭に「そして父になる」が公式招待されたことで釜山を訪ねた彼は、韓国取材陣とのインタビューで「釜山は何度来ても、来るたびに幸せだ」と感想を語った。

「誰も知らない」で証明したように、是枝裕和監督は俳優が持つ力を200%引き出す、優れた才能の持ち主だ。特に被写体が子役俳優である場合、彼の才能はさらに際立つ。生々しく生きている俳優の姿をスクリーンにそのまま表現し、観客の心を捉える。

「そして父になる」は、6歳になる息子が出生時に病院で取り違えられた子どもだったことを知らされた父親が抱く苦悩や葛藤、そして二つの家族の出会いを是枝裕和監督特有の考え深い視線で描いた作品だ。

第66回カンヌ国際映画祭の審査委員長のスティーヴン・スピルバーグが現在ハリウッドのメジャースタジオであるDream Worksと共にリメイク制作を進めている「そして父になる」。念頭に置いたハリウッドの俳優がいるかと聞くと、是枝裕和監督は「スピルバーグ監督との酒の席で、福山雅治が演じた良多役にはトム・クルーズ、リリーフランキーが演じたキャラクターにはジャック・ブラックはどうかと、私冗談半分に提案した」と微笑んだ。

以下は、是枝裕和監督との一問一答である。

-今回も家族の物語だ。家族という題材を特に好む理由があるのか。

是枝裕和:家族を題材にするのは、相変わらず面白い。「誰も知らない」は息子の視点で映画を作った。娘ができた今は、父親の視線で映画を作るようになった。もし私に孫ができれば、また異なる視線で家族を見つめる映画を作るだろう。自身が今人生のどの地点にいるのかによって異なる映画が生まれる。だからといって家族だけを描くつもりはない。

-映画の中で様々な家族の姿を見せてくれた。監督自身が考える家族の意味が気になる。

是枝裕和:意味か…さあ、答えになるかどうか分からないけど、家族は切っても切れぬ存在である同時に面倒な存在だと思う。両面性があるというわけだ。明るい部分と暗い部分が同時にあるのが家族なんじゃないかな。

-題材自体が非常に破格的だ。実話だと聞いた。このような題材を映画にしたきっかけは何か。

是枝裕和:私の娘が6歳だ。娘が4歳の時に脚本を書いたが、私が1ヶ月ぶりに帰宅すると、私に対する娘の記憶がリセットされていた(笑) 翌朝、娘が私に「また来てください」と挨拶した。ショックだった。それで息子と父親をつなげているのは血なのか、時間なのかを考えるようになった。私が感じた不安と実話を混ぜて映画にした。

-福山雅治にどのような演技ポイントを注文したのか。

是枝裕和:雅治が父親のように見えないことを求めた。後半になればなるほど父親のように見えてほしかった。ご存知の通り、福山雅治はこれまでかっこよく、鋭いキャラクターをたくさん演じてきた。ここまで子役俳優の変化球をうまく受けてくれるとは思ってもみなかった。すごかった。

-子役俳優から演技を引き出す腕前が素晴らしい。秘訣があるのか。

是枝裕和:(しばらく考えた後)子供たちそれぞれの個性に合う方法を見つけるのがノウハウと言えばノウハウだと思う。活発な子には自由に、おとなしい子にはそれなりの方法で接しながら少しずつ演技のトーンを作っていくのだ。もう一つ、自分だけの方法があるとすれば、子供たちが演技する時には途中で切らず、引き続きカメラにおさめる点だ。

-「これだけは逃さない」という演出哲学があるのか。

是枝裕和:ルールがないのが私だけのルールだ。たとえば、晴れた日のシーンを撮ろうとした撮影当日に雨が降ると、私は雨が降るシーンに設定を変える。突然降り始めた雨をどうすれば映画にうまく収めることができるか悩むタイプだ。子役俳優の場合も同様に、自由に演技しなさいと解き放つスタイルで、無理やり演技を教えようとしない。

-韓国では12月に公開される。観客にどのように見てほしいのか。

是枝裕和:子どもが変わった衝撃的な事件を題材にしているが、映画自体は家族たちがどうやってつながっているのか、家族をつなげるのは何かを考えさせる映画だ。子どもがいる観客はそれぞれの息子と娘を考えながら見てほしいし、そうでない観客は自身の親を考えながら見てほしい。

記者 : キム・スジョン