【ドラマレビュー】「7級公務員」ここは国家情報院なのか“国家情報高校”なのか

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情けない青春の在り来たりなストーリー展開、前作の限界を乗り越えられるのか

前作「会いたい」とは違い、放送スタートから順調に視聴率を上げているMBC「7級公務員」(演出:キム・サンヒョプ、オ・ヒョンジョン、脚本:チョン・ソンイル)の成功は、深刻なテーマや真面目なアプローチより、愉快・痛快・爽快なストーリーが今の大衆の好みであることを物語っている。しかし、高い視聴率がすなわち良いドラマを意味するわけではない。「7級公務員」も同じだ。より良いドラマになるためには、いくつか見直すところがあるように思える。

情けない青春たち、みっともなさ過ぎだ

写真=MBC
「7級公務員」は、既にお見合いで悪縁を結んだ、ジェームズ・ボンドのようなスパイを夢見るハン・ギルロ(チュウォン)と、88万ウォン世代(88万ウォン(約6万9千円)世代:韓国で平均給与額が88万ウォンである大卒の非正規雇用者を示す)の就職の苦痛を味わったキム・ソウォン(チェ・ガンヒ)が、国家情報院で遭遇しながら起こるエピソードを描いたドラマだ。そのため当然ドラマは、2人が国家情報院で集まり1年間訓練を受けるところから始まる。

しかし、ハン・ギルロとキム・ソウォンをはじめ、国家情報院に集まった人物たちは、KBS 2TV「ゆれながら咲く花」に集まった高校生よりもみっともない。高等教育を受けたはずの大人なのにだ。初めて訓練地に向かうバスで遭遇したキム・ソウォンとハン・ギルロが見せた行動は、大人というよりは、気に入らなければまず喧嘩してみる、幼稚園児のようだった。

そしてそのようなハプニングは、引き続きドラマをリードする。訓練の途中列に並び走る時も、2人は隊列から離れてしまい罰を受け、一緒に並びたくないとの理由だけで、保安宣誓の時もお互いに神経質な態度を取る。更に、2人はお見合いの席で起きた偶発の事故についても、一度もきちんと説明しようとせずに、「二度と会わないようにしよう」との覚書を書き、その場をしのぐだけだ。「ゆれながら咲く花」で仲が悪かったコ・ナムスン(イ・ジョンソク)とパク・フンス(キム・ウビン)もしなかった行動だ。

2人だけではない。難しい試験に合格したという女性エージェントたちは、群がり格好いい男性の観察に夢中になる。キム・ソウォンに怒鳴るシン・ソンミ(キム・ミンソ)は学校の不良顔負けで、キム・プンオン(ソン・ジニョン)はキム・ソウォンとハン・ギルロを笑いながらからかうだけだ。常に目を見開いているコン・ドハ(2PM チャンソン)以外は、ここは国家情報院の訓練場ではなく“国家情報高校”のクラスと言っても過言ではないほどだ。

もちろん制作スタッフは、このような“情けない青春”が訓練を受け、立派な国家情報院のエージェントに生まれ変わるということを表現しようとしたのだろう。しかし、ただ変化を待ちながら大目に見てあげるには、いつでもどこでもみっともない姿ばかりを見せる彼らが情けないだけだ。

陳腐と新鮮の妙なハーモニー

「7級公務員」のストーリーを導いていく力は、国家情報院のエージェントに生まれ変わる人物たちと、チェ・ウヒョク(オム・テウン)を巡るスパイ作戦にあるだろう。「7級公務員」が新鮮に受け入れられるかも知れない理由も、公式的に“スパイ”になれる国家情報院エージェントの世界を描いているという点にある。また同僚を失った訓育官キム・ウォンソク(アン・ネサン)の過去を通じて出た、チェ・ウヒョクの存在感だけでも、これから侮れない展開が繰り広げられるだろうと期待させる。

しかし、いざドラマを埋めていく要素は“陳腐”だということが心配だ。2人の主人公をはじめ、不本意に国家情報院に就職した娘を後押しするキム・ソウォンの親や、車を駄目にした息子を誤解し、家出までさせたハン・ギルロの親まで。このドラマでは相手の話には全く耳を傾けず、むしろその“不通”の状況を引っ張る。

つまり、ただドラマの進行のために、ドラマの人物たちは自身の立場を一方的に強要することを繰り返す。それによりドラマは事件を作り、ストーリーを展開させるのである。よって全体的には面白そうなドラマが、各エピソードになると、その次の状況があまりにも目に見えてしまう。これはコン・ドハのトラウマを説明する部分や、第2話でキム・ソウォンが嘘探知機をクリアする部分でも共通して見られる。

「7級公務員」を執筆しているチョン・ソンイル作家の前作で、このドラマに最も似ているのは「逃亡者 PLAN B」だ。ゆるく見える主人公のキャラクターだとか、騙し騙されるスパイ戦が繰り広げられることだとか、同じく華やかなキャスティングと興味津々なストーリーで話題を集めながらスタートしたという点からだ。しかし「逃亡者 PLAN B」は蓋然性の乏しいストーリー展開で成功はしなかった。その過去が「7級公務員」に示唆することは大きい。「7級公務員」が在り来たりなエピソードの限界を克服し、結局成功するのか、期待してみたい。

記者 : イ・ジョンヒ