米映画プロデューサーテディー・ジー&イ・ジョンジン、2人の関係と映画「嘆きのピエタ」 ― Vol.2

OSEN |

イ・ジョンジンと共に「嘆きのピエタ」の話をしながら、気になっていたことを解消していったハリウッドの映画プロデューサーであるテディ・ジー(Teddy Zee)は、「嘆きのピエタ」の話では欠かせない、イ・ジョンジンの演技についての賞賛も惜しまなかった。しかし、賞賛に先立ち、映画の中のイ・ジョンジンの姿にびっくりしたと、笑って見せた。一度もイ・ジョンジンを俳優として認識したことがなく、ただ優しくて純粋な弟だった彼が、悪魔のような強盗に扮した姿が見慣れなかったのである。

「ジョンジンは僕の友達なので、役者として認識したことはありません。でもこの前ベネチア国際映画祭で格好よくキメている写真をTwitterで見た瞬間『あ、そうだ、ジョンジンは俳優だったんだ』と初めて思いました。ジョンジンの格好よくキメた姿を見て、当然「嘆きのピエタ」もそのような内容だと思ったのですが、見て本当に戸惑いました。(ジョンジンが)温かくて優しい男だから仲が良いのに、本当に驚きました。冒頭の15分を見て、本当に私の知り合いのジョンジンなのかと驚きましたし、怖いほどでした。しかし、驚いたのはもともとジョンジンを知っていたからで、作品を先に見てジョンジンに出会っていたら、そこまで驚かなかったと思います」(テディ・ジー)

「LAの知り合いが『嘆きのピエタ』を見たら気絶すると思います。僕がLAに行くと必ず会う人たちがいます。その人たちが映画を見たらおそらくびっくりすると思います。この前、僕の祖母がニュースを通じて孫の映画が映画祭で受賞したことを知って、『嘆きのピエタ』が見たいと話していましたが、絶対に駄目だと言いました(笑)」(イ・ジョンジン)

最初の15分間は衝撃的であったが、テディ・ジーは自身の弟が大きな映画祭で賞を受賞した映画に出演したこと、そしてその映画で重みのある存在感を見せつけたことを、何よりも誇らしく思っていた。イ・ジョンジンの演技を率直に評価してほしいと頼むと、彼は「ジョンジンは映画に良い影響を与えたと思う」と答えた。

「最初は衝撃的でした。でも次第に魅力的に感じ、誇らしく思いました。僕が重視するのは演技よりも、どれだけ映画にプラスの影響を及ぼしたのかということです。実はこの様に話す前までは、考えられなかったことを、今話しながらたくさん思い出したのですが、ジョンジンはプラスの影響をたくさん映画に及ぼしたと思います。これからもさらに良い役割がたくさんあると思います」(テディ・ジー)

イ・ジョンジンの熱演と共に、共演した女優チョ・ミンスの好演、そしてキム・ギドク監督の演出力に後押しされ「嘆きのピエタ」は8月に開かれた第69回ベネチア国際映画祭で、最高賞である金獅子賞を受賞する快挙を成し遂げた。残念ながらアカデミー賞の外国語映画賞候補にはノミネートされなかったが、世界3大映画祭の中の一つで最高賞を獲得したのは、韓国映画史上初のことだ。テディ・ジーは「嘆きのピエタ」がアカデミー賞のノミネート候補として考慮されたこと自体がとても意味のあることだとし「嘆きのピエタ」を賞賛した。

「『嘆きのピエタ』がアカデミー賞の外国語映画賞ノミネート候補作品として考慮されたことだけで、多くの人々から注目を浴びるので、様々な意味で良いことだと思います。映画祭に出品された作品を見ると、世界には本当に素晴らしい映画、俳優たちが存在します。そんな中でこの様にアカデミー賞のノミネート候補として名乗れるだけでも『嘆きのピエタ』自体に、そしてジョンジンに良い影響を及ぼすと思います」(テディ・ジー)

イ・ジョンジンはアカデミー賞に進出する初の韓国映画が自身の映画になることを願ったが、残念ながらその願いは叶わなかった。しかしテディ・ジーはイ・ジョンジンが誇らしいと言う。愛する弟として、そして素晴らしい俳優として「嘆きのピエタ」という作品に出演したこと自体が喜ばしいのである。そしてベネチア国際映画祭で最高の座に上った俳優は一握りしかないとし、今を楽しんでほしいという兄としてのアドバイスも忘れなかった。

「ジョンジンが本当に誇らしいです。兄ではなく父親になったような気持ちです。ジョンジンに伝えたい言葉は、今を楽しんでほしいということです。ベネチア国際映画祭で受賞した映画に出演した俳優はほんの僅かなはずです。韓国としても、全世界的に見てもそうです。だから、ただ今を楽しんでほしいです」(テディ・ジー)

記者 : キム・ギョンジュ、写真 : パク・ジュンヒョン