「嘆きのピエタ」イ・ジョンジンが明かすベネチア国際映画祭の裏話

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世界3大映画祭の一つであるベネチア国際映画祭で、「嘆きのピエタ」が韓国映画初の最高賞(金獅子賞)を受賞した。しかし、主演俳優のイ・ジョンジンは閉幕式に参加することができなかった。周りの残念な気持ちも大きかったが、イ・ジョンジン本人が一番残念だったはずだ。

19日、ソウル鍾路(チョンノ)区にあるカフェで会ったイ・ジョンジンは、「一番残念なのは僕自身です」と、もう一度打ち明けた。

―多くの人が、閉幕式に参加できなかったことを残念に思った。

イ・ジョンジン:それでも一番残念なのは僕自身だ。ベネチア国際映画祭のシステム上、長く滞在することができなかった。ホテルから2泊招待されたが、僕が退室しなければ他の俳優たちが入室できないから、部屋を空けなければならなかった。すでに予約もいっぱいで、延長することもできなかった。もし良いことが起こったら連絡してくれと言ってパリへ向かった。監督はベネチアに残り、チョ・ミンスさんはフィレンツェへ行ったので、またベネチアに行くことができたが、僕は当日に連絡をもらったので、パリからベネチアに行くことができなかった。韓国に電話してとお願いする人もパリにはいなかった。結局、受賞後の電話で残念な気持ちを慰めた。チョ・ミンスさんが、「おめでとう」と言ってくださったので、「僕が言う言葉です。おめでとうございます。明日お会いしましょう」と言わなければならなかった(笑)

―今さらの話だが、主演男優賞を期待しなかったのか?

イ・ジョンジン:まったくなかった。行く前のインタビューでもそう言ったけど。監督は期待したかもしれないけれど、チョ・ミンスさんと僕はパーティーに招待され、楽しむために行く感じだった。コンペティション部門に正式招待されたことだけでもすごいことじゃないか。当時は知られていなかった話だけど、たった2週間で、1億5000万ウォン(約1000万円)で撮影した映画だ。

―幸い、映画が上手く行っている。

イ・ジョンジン:そうだね。予算が少ないからそう思うかもしれないけれど、公開14日で40万人の観客を動員した。他の映画だったら劇場から消えたはずだ。

―それでも、損益分岐点を超えて、ランニングギャランティー(俳優が作品の興行成績によって出演料を受ける形式)ももらうことになった。ギャラは入ったのか?

イ・ジョンジン:まだだ。映画祭も自費で行った。俳優の場合、一人で動くわけではなく、スタッフたちと一緒に動く。スタイリストさん、ヘアメイクさんなどと。でも今回は僕一人で行ってメイクも僕がやったし、衣装も僕が持って回った。

―興行成績の話が出たが、この間キム・ギドク監督は韓国の大手企業による配給システムを批判した。普段からこのようなことに関心があったのか?

イ・ジョンジン:関心があると言っても、変えるような力がまだ僕にはないから。キム・ギドク監督は映画制作もしているし、海外のシステムをよくご存じだが、俳優が「配給システムに問題が多いです」と言うのは申し訳ない気がする。でも、最近はこう考えている。「嘆きのピエタ」の他にも、2作の韓国の映画がベネチア国際映画祭で受賞した(批評家週間部門に招待されたチョン・ギュファン監督の「ザ・ウェイト(The Weight)」はクィア・ライオン賞を受賞、オリゾンティ部門に招待されたユ・ミニョン監督の「招待(Invitation)」も最優秀短編映画賞を受賞した)。短編映画の金獅子賞とも言えるが、誰もそれに触れない。そういう方々にとっては僕たちも一種の権力ではないか。僕たちは大きな賞を受賞し、多くの人たちがその姿を見ることになったが、他の低予算映画は、彼らだけの思い出に留まるしかない。

―外国での活動計画は?

イ・ジョンジン:韓国での活動と同じだ。いいシナリオがあれば海外でも構わない。僕のルールだ。

―突然だが、結婚は?作品とするわけではないだろう。映画「ワンダフルラジオ」で共演したイ・ミンジョンさんも今、熱愛中だが。

イ・ジョンジン:一人でするわけではないので。相手がいないから(笑) イ・ミンジョンさんにはおめでとうと言いたい。結婚しない先輩方も多いが、でも僕が先に結婚しなきゃ(笑) まあ、僕はアイドルでもないし、来月結婚しても不思議ではないと思う。

記者 : ペ・ソニョン、写真 : ハン・ヒョクスン