チョン・ユミ「ただの女優と言われるのはイヤです」

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多様な作品で多様なカラーを見せる女優チョン・ユミ「私の人生はシンプルです」

うっかり「ヨルメさん」と呼んでしまった。すると向こうに座っている女優チョン・ユミがにっこりと笑った。慌てて訂正しようとしたら「大丈夫ですよ」という答えが帰ってきた。このようにtvN「ロマンスが必要2」で映画音楽を作るチュ・ヨルメの姿がそのまま残っている彼女に出会った。

「インタビューが下手だという言葉をよく聞く」と心配していた彼女は、一つ一つの質問に対し慎重に言葉を選んだ。自分の考えにぴったり合う言葉を探すため慎重に考える彼女の姿には、自身の感情を隠そうとせず、そのままストレートにアピールするあのチュ・ヨルメはなかった。


「チュ・ヨルメという人物は、そうあるべきキャラクターだった」

「それは分かりません。どんな状況が繰り広げられるのか。相手の俳優と会って私が考えていたことと違う方向に行く場合もありますので、心を開きました。私が前もって想像したことと違うように演技してみると、何か出てくるものがあります。それは、事前には計れないことですから。だから、現場に頼る方です」

彼女が伝えた「ロマンスが必要2」の撮影場所は、計画が外れて逆に即興性が輝いたケースだったという。島に遊びに行ったユン・ソクヒョン(イ・ジヌク)とチュ・ヨルメが夜になってお互いの愛が終わったことに気付き、別れるシーンも本来は昼に撮影する予定だった。だが、撮影スケジュールの都合で夜に延ばされ、“台詞を言うことさえ厳しいほど”非常に暑い日だったにもかかわらず、少し低くなった気温のおかげでで無事に撮影を終えることができた。

「最終話のレコードショップでシン・ジフン(キム・ジソク)と目で交わした会話も、本来はシーンが分かれていました。新村(シンチョン)にある公園で対話するところを撮影する予定でしたが、人があまりにも多くて考えに考えた末にそのように変えましたが、むしろいい感じになりました。ジフンとの出会いも美しかったですね。よくまとまったような感じでした」

結局ソクヒョンのもとに戻るヨルメの選択もドラマの後半になって決まったという。チョン・ユミは「そのようになることが正しいと思った。ヨルメが差し出した手をソクヒョンが掴んでくれるなら、彼のもとへ行くことが正しいと思った」と語った。ジフンとの恋も確かに大切だったが、「その方がさらに早く理解できるだろうと思った」と説明した。

「ジフンとの恋も大事で、ヨルメも彼にはまっていたと思います。でも、ソクヒョンが突然『愛してる、戻ってきて』と言ったのでヨルメもかなり当惑したのでしょう。一般的には、ジフンに行くこともできたと思います。でも、ソクヒョンと別れたのは飽きたからではなく、他の理由があったためでしたね。

ヨルメが変わった理由もソクヒョンが自身を憎んでいると思ったからですが、そうでないことが分かりました。毎日顔を合わせる家族も、喧嘩する時は喧嘩しても仲直りする時は必ず『仲直りしよう』と言うわけではないですよね。ヨルメとソクヒョンは、そういう関係だったと思います。幼い頃から隣りに住んでいて様々な感情を交わしたと思います」

だが、個人的にはストレートすぎるチュ・ヨルメに共感できない時もあった。「率直で良い面もあるが、相手のことを考えるなら、自分の感情だけを考えるわけにはいかない」ということがその理由だった。そのギャップを埋めるためチョン・ユミは制作陣とたくさん話をしたし、それで得た結論が「ヨルメはそうあるべきキャラクター」ということだった。チョン・ユミは「ヨルメは、チョン・ユミではないのではないか」と考え「それこそ劇中の関係が作られるものであるだけに、私を前面に出さないようにした」と明かした。


「多様な作品での演技は、私の単純な人生を豊かにした」

「尻軽って悪いこと?」と無垢に聞く「家族の誕生」のチェヒョンや、真実を探すために奮闘する「トガニ 幼き瞳の告発」での人権活動家ユジン、そして何気なく幼虫をいじめる「チャウ」の生態研究員スリョンまで。数えられないほどチョン・ユミの中には多くの人物が生きてきた。チョン・ユミは「ある意味では誰より特別な職業だと思う。厳しい時もあるけど、好きな仕事をしている今がいい」と話した。

「実は、女優という職業自体も、色々な人に会うけれど、閉じ込められています。会う人も限られているし、一回一緒に働いた人と永遠に一緒にいられるわけにはいかないので。そう考えると少し悲しいことのように思えます。家族のように何ヶ月も一緒に過ごして、また離れて。それを繰り返すことを運命のように受け入れなければなりませんから。

それで、実際の人間関係が制限されることが多いけれど、多様な作品で多様なキャラクターを演じながら『私の単純な人生がこの人物によってより豊かになる』と思うようになりました。もっと正直に言うと、恋愛や恋に関することはキャラクターを通じて成長した部分も多くあります(笑)」

彼女の希望は、より多くの人物を演じること。大々的な目標を立てるよりは、自分の目の前に置かれていることに集中したいと考えている。それで、これからは映画であれ、ドラマであれ、作品を選ばないというチョン・ユミだった。

「ケ・セラ・セラ」(2007年)を通じてドラマへの偏見をなくしたという彼女は、「その時その時に合う作品があって、したい作品があれば出演したい」と目を輝かせた。これからさらに多様なカラーを見せるであろう彼女の姿を期待させる眼差しだった。

「演技をする理由ですか?分からないです。一応私の目の前に置かれたこと、私がしたいことがこれだから、この中で考えるしかないですね。これからどんなことに出会うか分からないけれど、その中で悩んで……執拗になってもその中でするのが正しいと思います。

ただの“女優”と言われるのはイヤです。本当に女優らしく仕事をしながら女優と言われたいです。今も自分を満たしていく過程ですが、今後ずっと行かなければならないと思います。行くべき道は遠いですね(笑)」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ミナ