「シンイ-信義-」キム・ヒソンさん、ラブコメディのイメージはもう捨てませんか?

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写真=SBS

「シンイ-信義-」というドラマのタイトルにふさわしい人物像がほしい

「Dr.JIN」と「シンイ-信義-」は、タイムスリップという共通点を持つ医療ドラマだ。現代の医師が過去にタイムスリップし、その中で歴史上の人物と遭遇するという設定だけは同じだ。だからといって、「Dr.JIN」と「シンイ-信義-」が似たようなドラマだと思うことは適切ではない。

「Dr.JIN」のジン・ヒョク(ソン・スンホン)は、朝鮮末期という混乱した状況でも医術を手離さない。医療器具が不足すれば自ら医療器具を作ることさえする。そして自身が持っている現代の医術を医女であるヨンレお嬢さん(パク・ミニョン)やホ・グァン(チョン・ウンピョ)に躊躇せず伝授する。

朝鮮時代の人物である彼らに現代医学の技術を教えることは、将来ジン・ヒョクがまたタイムスリップする場合に備えるためだ。タイムスリップでジン・ヒョクが消えるとしてもヨンレお嬢さんやホ・グァンに伝授した現代医術で病気で苦しんでいるより多くの人を救い出すための対策とのことだ。

だが「シンイ-信義-」は違う。「シンイ-信義-」でユ・ウンス(キム・ヒソン)は、魯国大長公主の首の傷を縫ったこと以外にはこれといった医術を発揮できずにいる。チェ・ヨン(イ・ミンホ)の腹の貫通傷や先王である慶昌君(キョンチャングン:チェ・ウォンホン)にも適切な治療もできずにいる。

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もちろん、ユ・ウンスにも言い分はある。オ・デマン(キム・ジョンムン)が間違って消毒薬の入った瓶を破ったため、医薬品のない状況で形成外科医としての腕を発揮することはできないというそれなりの言い分はある。

だが、「Dr.JIN」のジン・ヒョクもタイムスリップをする中で現代の医薬品を持ってこられたわけではなかった。それにもかかわらず、ジン・ヒョクは医師としてのアイデンティティに忠実なキャラクターだ。彼は、病人のためにいつもメスを離さなかった。激しい頭痛に苦しみながらも。

一方、ユ・ウンスは医師というタイトルが恥ずかしくなるほど、手術または治療に貢献できずにいる。薬剤師でもないのに必要な医薬品がなくて適切な治療ができないと言っている。これは、ユ・ウンスの専門が外科ではなく、形成外科だという特殊性から起因するものなのだろうか。

また、ユ・ウンスはドラマの流れを導いていく力がない。キム・ヒソンならではのハツラツとしたキャラクターは目立つが、ドラマの流れに影響することは何もないキャラクターだ。

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逆に、同ドラマの流れを最初から最後までリードしていく人物は、ユ・ウンスではないチェ・ヨンだ。現代のユ・ウンスを高麗に連れてくることも、王さえ無視する“傍若無人な臣下”キチョル(ユ・オソン)に政局の主導権を奪われないため最善を尽くす恭愍王(コンミンワン:リュ・ドクファン))に精神的な刺激を与えることも、王の護衛武士グループ迂達赤(ウダルチ)の精神的な頼りになることも全部チェ・ヨンの役割だ。

「シンイ-信義-」という題名とは別に、これまでドラマの主導権はチェ・ヨンが握っている。チェ・ヨンがなかったがら多分恭愍王の精神的成熟も、ユ・ウンスのタイムスリップも、傍若無人なキチョルへのけん制も想像できなかったのだろう。

「シンイ-信義-」でユ・ウンスのアイデンティティは、医師というよりはラブコメディのヒロインのキャラクターを踏襲しているように見える。もう少しひどい言い方をすれば“迷惑キャラクター”になるかもしれない。

例えば、ユ・ウンスがキチョルの人質にならなかったら、江華島(カンファド)でチェ・ヨンがキチョルが仕掛けた罠にかかることはなかったはずだ。ユ・ウンスは、チェ・ヨンの未来や恭愍王の国政運営に邪魔な存在になっている。

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実際に「シンイ-信義-」というタイトルにふさわしいドラマは他にあると思う。同時間帯に別のチャンネルで放送されているライバルドラマだ。実利だけを追求する医師や、医療事故のリスクを回避する医師ではなく、患者の命を救うためなら躊躇なく血まみれの救急室に駆けつける医師のチェ・イニョク(イ・ソンミン)に「シンイ-信義-」というタイトルを付けたいくらいだ。

ユ・ウンスが医師としてのアイデンティティを失わず、さらに迷惑をかけるキャラクターに転落しないためには、ラブコメディのキャラクター以上の姿を視聴者にアピールしなければならない。医師としてのユ・ウンスのアイデンティティに関する真剣な考慮が伴わなければ、このドラマのタイトルは「シンイ-信義-」ではなく「チェ・ヨン」にした方がより適切であるだろう。

記者 : パク・ジョンファン