【アルバムレビュー】KARA“まだ私のこと、半分も見せてあげていないわ”

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写真=DSPメディア

KARAのミニアルバム「PANDORA」…頂点に立つガールズグループであることを確認

KARAは一時期「生計型ガールズグループ」と呼ばれた。韓国と日本を行き来し、活発な活動を展開している今は、そのときに比べると「大物」になった。

だからだろうか。舞台で派手なパフォーマンスを披露するKARAのメンバーの眼差しやモーションからは、ある程度の余裕と自信が感じられる。もちろん、当時も今も変わらないものもある。バラエティ番組でKARAは未だ身近で気さくな姿を見せる。

KARAが最近リリースしたミニアルバム「PANDORA」は、このようなKARAの位置付けを確認できるアルバムだ。今回のアルバムには全部で4曲の新曲が収録されているが、収録曲を貫くはっきりとしたコンセプトはない。しかし豊富かつ多彩なサウンドで、聴く人の耳を楽しませ、KARAのメンバーの魅力を最大化できる曲で構成された。

「Way」は誰かの陰謀で身を拘束された恋人を助けに出た女性の話を歌った曲だ。「青いリンゴ」「ベールに包まれたクリスタル」「壁に閉じ込められた涙」など、普通ではない歌詞の使用、茨の森と深い沼のような障害物を乗り越え、恋人を探しに行く主人公の道のりから分かるように、この曲はまるで1本の童話を読んでいるような気にさせる。

よく知られた童話に例えると、アンデルセンが書いた「雪の女王」と似たような物語だといえよう。だからか、多彩な楽器で構成されたサウンドが、全般的に漫画の主題歌のような印象を与える。ドラムのビート迫力があり、ストリングのサウンドはドラマチックだ。特に前奏と間奏、そして末尾に用いられたミステリアスな雰囲気を作るエレクトロニックサウンドが印象的な曲だ。

「PANDORA」はギリシャ神話に出るパンドラの物語をモチーフにした曲だ。違いがあるとすれば、男を待っている女性が、神話に出てくる彼女よりも挑発的との点だ。

「隠してきた真実を、全部見せてあげる」「私の心を掴んでみて」「全てを見せてあげる」「私を持って行って」などの歌詞は、開放的で自信に溢れる女性の姿を、「close to you and close to you」「close to me and close to me」などの歌詞は、いわゆるソウルメイトを探すために積極的に乗り出した彼女の積極性を見せてくれる。刺激的で挑戦的なサウンドは、このような歌詞とハーモニーをなす。

キーボード、ギター、ベース、ストリングなどが用いられ、所々存在感を現すギターの演奏と、まるで踊る心臓のようにも感じられるキーボードの音が印象的だ。「up and up ah ah」との歌詞が繰り返されるサビは、中毒性が強く、ここでのKARAのメンバーの魅力的なボイスには、人を魅了する力がある。最初から最後まで聴く人のアドレナリンの分泌を刺激しそうな曲だ。

「Idiot」は恋人としての確信を与えてくれない“彼氏”への不満を表した曲だ。「ある時は恋人のようで、ある瞬間友達に変わる」彼は、彼女にいわゆる一環した“信号”を送らない男だ。「好きだったり、そうじゃなかったり、ジェットコースターに乗る」との歌詞は、彼を見つめる女性の心を正確に表現している。歌詞にでる「idiot」は「このバカ!」に解釈できるが、悪意のない、愚痴に感じられる。

軽快さとコミカルさを強調したサウンドは、どうにも出来ないいわゆる“困った”状況に陥った女性の気持ちを愉快に伝える。エレクトロニックサウンドが奏でる軽快なリズムとノリが、可愛く愛らしい感じを強調したKARAのボーカルと最もよく似合う曲だ。

「恋しい日に(Miss U)」は、昔親しかったが、今は疎遠になた人を懐かしむ心を表現した曲だ。歌詞を見てみると「たまに憂鬱で寂しいとき」「なぜか複雑で心が塞がったような気分のとき」彼のことを思い出すと語られている。おそらくその人は、女性がそのような状態になるたびに力になってくれていた存在だったと思うが、友達かも知れないし、恋人だったかも知れない。

「あなたは更に遠ざかって行くでしょう」「自分しか知らない私は、またこのように堂々巡り」などの歌詞には、未練と愚痴、自責などの感情が共存しているが、その人は思い出だけで、依然として彼女を元気にさせる存在だ

このような女性の気持ちが、ドラムのビートやキーボード、ブラスなどが合わさった軽快なサウンドで表現された。特にトランペット、サクソフォーン、トロンボーンなどが織成すスウィング感が魅力的だ。歌いやすい馴染み深いメロディと、軽快な曲の雰囲気を勘案すると、いわゆる“カラオケステージ”で好まれる歌になりそうな気もする。

「PANDORA」には二つの柱がある。「Way」と「PANDORA」がファンタジーを歌っている一方で、「Idiot」と「恋しい日に(Miss U)」は日常を歌っている。

また前者がKARAの強く挑発的なイメージを見せる一方、後者はKARAの愛らしく可愛いイメージを強調している。このような組み合わせとバランスはサウンドでそのまま現れている。

たとえば「Idiot」と「恋しい日に(Miss U)」が、舞台の上でKARAの爽やかな魅力を最大化できる、愉快ではつらつとした曲だとすれば、「Way」と「PANDORA」は、「ミスター」「LUPIN」などの一連のヒットソングを手がけた作曲チーム「Sweetune」が参加した、強烈なサウンドが自慢の“KARA”流ダンス曲といえよう。

これに関し、評壇ではKARAよりSweetuneに対する評価が行われているそうだ。音楽ウェブマガジン「ボダ」の編集長キム・ハクソンは、これらの曲を「KARAの専属(?)作曲家Sweetuneの色が強い歌」だと評価し、音楽ウェブマガジン「ウェーブ」の編集長チェ・ミヌは「PANDORA」に対し「Sweetuneが全体を調律したアルバム」だと表現した。

いずれも一理のある意見だ。しかしこのような流れには、Sweetuneが作曲した曲が、誰でもなくKARAにより歌われたとき、発生する相乗効果への考慮が足りないと思われる。

例えば、大衆は新しい曲に接するとき、曲自体が持つ魅力だけでなく、その曲を歌った歌手が誰なのか、その歌手がどのような魅力とストーリーを持つ人なのかを勘案し、包括的に判断する傾向がある。もし「PANDORA」に収録された曲をSISTARやSecretが歌ったらどうだっただろうか。

おそらく「PANDORA」はまったく違うイメージのアルバムになっていたであろう。つまりこれは、聴く人によって感じる好感は異なると思うが、「PANDORA」に収録された曲自体を評価するに置いて、KARAは欠かせられない要素ということだ。

偶然にも「PANDORA」には「真っ直ぐに見て」「まだ私のこと、半分も見せてあげていないわ」との歌詞がある。このような状況を念頭に置いたわけではないだろうが、その代わり、まだまだ先は長いので見守って欲しいとのKARAの願いだと解釈することは出来るだろう。

「PANDORA」がKARAが今、頂点に立っているガールズグループだということを確認させてくれるアルバムだということは確かだ。

このレビューを書いたソ・ソクウォン記者は、歌手の名前でハングルを覚え、少年の頃ピアノを弾いていましたが、息子の将来を心配した母の決断で戻れぬ橋を渡り、今は平凡なリスナーとして暮らしている音楽愛好家です。現在は映画関連の仕事をしており、一生涯の著作を夢見ています。[編集者コメント]

記者 : ソ・ソクウォン